旧多良往還に面した飯盛酒造主屋

飯盛酒造主屋(いいもりしゅぞうしゅおく)は、佐賀県鹿島市古枝甲122で旧長崎街道多良往還に北面して建つ大正末期の酒造家の主屋で、平成18年(2006年)8月3日に国の登録有形文化財に登録された。木造2階建、瓦葺で、建築面積は347平方メートルある。

間口は10間半。屋根は入母屋造の桟瓦葺で、建物の東側を土間、西側を家族の居室部に分けている。土間の背面の南側には釜場がつながる。火を扱う釜場、通りに面した土間、家族の居室部が、一続きに並んでいたことになる。

飯盛酒造の登録有形文化財5件のうち、旧多良往還に正面を向けているのはこの飯盛酒造主屋だけである。

飯盛酒造主屋が登録された理由

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。旧多良往還に沿って10間半の間口を連ねる飯盛酒造主屋は、酒蔵通りの町並みの一部をなす建物として登録された。

文化庁の解説がとくに書き分けているのは、壁のつくりが東西で切り替わる点である。土間部の外壁は、柱まで壁土で塗り込めた塗屋造。塗屋造は町家の防火のために用いられてきたつくりで、釜場に続く東側がこの形をとる。西の居室部は、柱を壁の表に見せる真壁造になっている。

居室部の間取りは、1階が2列に6室、2階が10畳の3室。どちらの階も表と裏の両方に縁を設ける。通りから見れば商家の店構え、奥に入れば縁をめぐらせた座敷が続く住まいという二つの顔を、飯盛酒造主屋は一棟で持っている。

年代には異なる記録がある。文化庁のデータベースは大正末期とするが、鹿島市の歴史的風致維持向上計画は1999年の調査報告書を引き、飯盛酒造主屋を昭和3年(1928年)の建築としている。このページは登録の根拠である文化庁の記載に従った。

飯盛酒造主屋の見どころ

通りの向かい側に立ち、飯盛酒造主屋の正面を東から西へ目で追ってみたい。東の土間部では壁が平らに塗り込められているが、西の居室部に移ると柱の線が壁面に現れる。入母屋の大屋根が両方を一つにまとめているため、壁の切り替わりがかえってよく目立つ。

土間部の東の外壁には、煉瓦の煙突が寄り添って立つ。煙突は同じ日に登録された別の文化財で、位置は主屋の東、釜場の北にあたる。主屋の軒先と煙突を一緒に視野に入れると、住まいのすぐ隣で火を焚いていた酒蔵の構成が見えてくる。

飯盛酒造主屋の見学方法

飯盛酒造は粕漬と地酒の店として営業しており、営業時間中は店に入ることができる。ただし、飯盛酒造主屋の居室部や2階の座敷を公開しているという案内は見当たらない。見学は外観と店先までと考えておきたい。

飯盛酒造主屋の正面は、旧多良往還の路上から見通せる。間口が10間半と長いので、全体を一度に眺めるには通りの反対側まで下がるとよい。店内で写真を撮りたいときは、店の人にひと声かけてからにしたい。店への行き方と営業時間は、飯盛酒造のページにまとめてある。

Q&A

Q飯盛酒造主屋はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースは大正末期(西暦表記は1912〜1925年)としています。鹿島市の歴史的風致維持向上計画は1999年の調査報告書を引いて昭和3年(1928年)としており、資料によって年代が異なります。
Q飯盛酒造主屋はなぜ登録有形文化財なのですか?
A旧多良往還に10間半の間口を見せる酒造家の主屋として、町並みの景観に寄与していると評価されたためです。平成18年(2006年)8月3日に「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準で登録されました。
Q飯盛酒造主屋の中に入れますか?
A飯盛酒造は粕漬と地酒の店として営業しているので、営業時間中は店に入れます。居室部や2階の座敷を公開しているという案内はありません。
Q飯盛酒造主屋の間取りはどうなっていますか?
A東側が土間、西側が居室部です。居室部は1階が2列6室、2階が10畳の3室で、どちらの階も表と裏に縁があります。土間の背面の南側には釜場がつながっています。
Q飯盛酒造主屋の外壁で注目すべき点は何ですか?
A東の土間部が柱まで塗り込めた塗屋造、西の居室部が柱を見せる真壁造で、一つの建物の中で壁のつくりが切り替わります。通りの向かい側から正面を眺めると違いがわかります。

基本情報

名称飯盛酒造主屋(いいもりしゅぞうしゅおく)
所在地佐賀県鹿島市古枝甲122
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号41-0060
指定年平成18年(2006年)8月3日登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積347平方メートル
所有者飯盛酒造株式会社
公開状況店舗として営業(午前9時〜午後5時、不定休)。居室部の公開案内はなし

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):飯盛酒造主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005676
文化遺産オンライン:飯盛酒造主屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/118554
鹿島市歴史的風致維持向上計画 第2章 肥前浜宿に息づく人々の営みにみる歴史的風致(PDF)
https://www.city.saga-kashima.lg.jp/site_files/file/toshikeikaku/2-1hamashuku.pdf
鹿島市観光協会 かしまいろ:飯盛酒造
https://saga-kashima-kankou.com/souvenir/6440

最終更新日: 2026.09.30