6本の柱脚をアーチで繋いだ水槽

小柳酒造東貯水槽は、佐賀県小城市小城町903-1にある昭和16年(1941年)建造の煉瓦造の貯水槽で、平成14年(2002年)2月14日に国の登録有形文化財に登録された。

西貯水槽の東方に位置し、釜場の南面に接して建つ。平面は2.5メートル×1.6メートルの長方形、高さ4.4メートル、建築面積4平方メートル。敷地内の登録建造物13棟のうち最も小さい。

支持の作りが西貯水槽と異なる。煉瓦造の柱脚を6本立て、その上部をアーチで繋いで水槽の支持体とする。頂部には釜場の南面から生子鉄板の片流れ屋根を架ける。

アーチが担う荷重の受け渡し

小柳酒造東貯水槽の見どころは柱脚まわりに集中している。柱を6本立てて上をアーチで繋ぐという構成は、単に脚を並べるのとは働きが違う。水を満たした槽の重さは槽底の全面にかかるが、それを支えるのは6点だけである。アーチは、面で受けた荷重を曲線に沿って柱の頭へ流す。煉瓦は圧縮に強く引張に弱い材料なので、部材のすべてが圧縮で働くアーチは、この材料に最も適した架け方になる。

西貯水槽が柱脚の上に槽を直接載せるのに対し、こちらは1層のアーチを挟む。2基は同じ昭和16年(1941年)の建造で、用途も同じでありながら、構法の解が違う。並んで残っているために、その比較が現地でそのまま成り立つ。

屋根は片流れである。釜場の南面から一方向に流す形で、独立した棟を持たない。西貯水槽の招き屋根が南北に棟を通すのとは対照的で、隣の建物に取り付いて済ませる分だけ簡略である。素材は同じ生子鉄板。

高さ4.4メートルは西貯水槽の4.5メートルとほぼ同じで、水面の高さを揃える意図が読める。平面は2.5メートル×1.6メートルと、西貯水槽の1.7メートル×2.8メートルに対して向きが90度違う。釜場の南壁に沿って置ける形が選ばれた結果と考えられる。

外構をつくる要素として

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、登録番号は41-0034である。文化庁の解説は、小柳酒造東貯水槽を煙突や西貯水槽と同様に外構の主要素と位置づけている。建物ではなく外まわりの構築物として、敷地の見え方を決めているという評価である。

建築面積4平方メートルは、畳2枚半ほどの広さにあたる。この規模の構築物が単独で登録有形文化財となるのは、13棟が工程の一連として扱われているからで、小柳酒造東貯水槽は水の供給という工程の一段を占める。

建造は昭和16年(1941年)。煙突、西貯水槽と同年で、この3件が同じ工事でまとめて整備されたと見てよい。昭和3年(1928年)の一連の改良施設から13年後にあたり、生産設備の更新のあとに給排水と排煙の設備が続いた順序が確認できる。

見どころはアーチの列である。6本の柱脚の間に生じる弧を横から見ると、煉瓦が放射状に積まれているのが分かる。荷重を伝えるためにどの向きへ煉瓦を並べたかが、目地の向きに出ている。

見学方法

小柳酒造東貯水槽は工作物で、内部の見学という形はとらない。外観のみを見ることになり、単独の案内板や観覧料はない。

探すときは西貯水槽から東へ目を移すとよい。釜場の南面に沿って2基が並んでおり、柱脚の作りの違いで見分けられる。アーチがある側が小柳酒造東貯水槽である。低い位置から見上げると、アーチの弧と煉瓦の目地の向きが読める。

敷地内へは小城蒸溜所の営業時間(午前11時から午後5時、定休日不定)に合わせて入れる。釜場の南側は生産設備の側にあたるため、近づける範囲は当日の状況による。撮影について明文の規則は公表されていないので、受付で確認するのが望ましい。敷地への行き方と駐車場は小柳酒造のページにまとめてある。掲載した内容は2026年9月14日時点で確認した。

Q&A

Q小柳酒造東貯水槽はどのくらいの大きさですか。
A平面は2.5メートル×1.6メートル、高さ4.4メートル、建築面積4平方メートルです。敷地内の登録建造物13棟のうち最も小さい構築物にあたります。
Q小柳酒造東貯水槽と西貯水槽はどう違いますか。
A支持の作りが違います。東貯水槽は6本の煉瓦造柱脚の上部をアーチで繋いで水槽を支えるのに対し、西貯水槽は柱脚の上に槽を直接載せます。屋根も東は片流れ、西は招き屋根です。
Q小柳酒造東貯水槽にアーチが使われているのはなぜですか。
A煉瓦が圧縮に強く引張に弱い材料だからです。アーチは面で受けた荷重を曲線に沿って柱の頭へ流し、部材をすべて圧縮で働かせます。煉瓦に適した架け方といえます。
Q小柳酒造東貯水槽はいつ建てられましたか。
A昭和16年(1941年)です。煙突・西貯水槽と同じ年で、昭和3年(1928年)の一連の改良施設から13年後にあたります。
Q小柳酒造東貯水槽の指定区分と登録年を教えてください。
A登録有形文化財(建造物)です。登録年月日は平成14年(2002年)2月14日、告示は同年3月12日、第32回登録。登録番号は41-0034です。

基本情報

名称小柳酒造東貯水槽(こやなぎしゅぞうひがしちょすいそう)
所在地佐賀県小城市小城町903-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成14年(2002年)2月14日登録
員数1棟
寸法煉瓦造、建築面積4平方メートル。2.5メートル×1.6メートル、高さ4.4メートル
所有者不明(文化庁データベースに所有者名の記載なし)
公開状況工作物のため内部なし。外観のみ、敷地内から

参考文献

国指定文化財等データベース 小柳酒造東貯水槽(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002719
小城市の文化財(登録有形文化財) 小城市教育委員会文化課
https://www.city.ogi.lg.jp/main/9887.html

最終更新日: 2026.09.13