県道に東面する塗屋造の町家

小柳酒造主屋は、佐賀県小城市小城町903-1にある江戸後期(1751〜1829年)の町家で、平成14年(2002年)2月14日に国の登録有形文化財に登録された。

県道に面して東を向いて建つ。この地方に見られる切妻造・妻入の塗屋造で、屋根は瓦葺、木造2階建、建築面積205平方メートル。主体部は桁行7間、梁間4間半をとり、南面に1間半幅の下屋を設け、北側には8畳の座敷を角屋状に張り出す。

妻入というのは、屋根の三角形の面を通りに向けて建てる形式である。小柳酒造主屋も同じで、通りからは切妻の妻面が正面として見える。小城の街道筋にはこの形の町家が並んでいた。

白い壁の下に隠された木

塗屋造とは、外に現れる木部を土と漆喰で塗り込めた造りをいう。柱も梁も壁の中に埋まり、外からは白い塊に見える。目的は延焼を防ぐことにあった。町家が軒を接して並ぶ市街では、隣家の火が柱に取りつくかどうかが家の生死を分ける。小柳酒造主屋の白壁は意匠である前に防火の装置である。

間取りは商家の型を踏む。通りに面した側が店舗、奥が住まいで、北に張り出す8畳座敷が客を通す場になる。角屋状というのは、主体部の矩形から一部を横に突き出させた形を指す。この張り出しの北東端に、大正10年(1921年)頃の離れが接続する。

建物には欠落がある。近年の道路拡幅により、正面の下屋が失われた。下屋は主屋の軒から前へ差し出した低い屋根で、店先に日陰と雨よけをつくる。それが無くなったぶん、現在の小柳酒造主屋は壁面が直接通りに立つ格好になっている。南面には1間半幅の下屋が残っており、失われたものの寸法と役割はそちらから推し量れる。

登録の理由と、桁行をめぐる食い違い

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。小柳酒造主屋は敷地内13棟のうち登録番号41-0027、つまり連番の先頭を与えられている。文化庁の解説はこの建物を小柳酒造の顔となる建物と位置づけており、通りに対する施設の表構えとして評価されたことが読み取れる。

年代は敷地内で最も古い。江戸後期、西暦にして1751年から1829年の間とされる。背後の醸造場が昭和3年(1928年)に一新されたのに対し、主屋だけは建て替えられずに残った。商家にとって店構えは信用そのもので、動かしにくい部分だったのだろう。

寸法については資料間に食い違いがある。文化庁の解説は主体部を桁行7間とするが、小城市の文化財ページは桁行8間と記す。梁間4間半は双方一致する。本記事は一次資料である文化庁データベースの7間を採ったが、実測値の確認が要る点として記しておく。

見どころは通りに立って見上げる妻面である。棟から軒へ落ちる屋根の輪郭と、その下に広がる塗り込めの壁面が一続きの面をつくる。北側へ回れば、8畳座敷の角屋が主体部から横に出ているのが分かり、その先に離れの屋根が続く。

見学方法

小柳酒造主屋は現役の店舗である。建物のうち立ち入れるのは通りに面した売店部分で、住まいの部分は非公開。営業は午前9時から午後6時、日曜が定休日で、見学可能時間は午前10時から午後4時、見学料は無料である。

店内には代表銘柄「高砂」「高砂金漿」が並び、酒造りに使われていた道具や陶製の酒樽も置かれている。江戸後期の建物の内側に入れるのはこの範囲になる。団体で訪ねる場合は事前の予約が要る。

外観は県道側から正面全体が見える。妻面をまっすぐ捉えるなら道路の反対側へ渡るとよい。撮影について明文の規則は公表されていないので、店内を撮る場合は売店で声をかけるのが確実である。敷地への行き方、駐車場、小城蒸溜所の条件は小柳酒造のページにまとめてある。掲載した時間は2026年9月14日時点の情報。

Q&A

Q小柳酒造主屋の内部は見学できますか。
A通りに面した売店部分に入れます。住まいの部分は非公開です。営業は午前9時から午後6時、日曜定休、見学可能時間は午前10時から午後4時で、見学料はかかりません。団体は事前予約が必要です。
Q小柳酒造主屋はいつ建てられましたか。
A江戸後期、西暦1751年から1829年の間の建築とされます。敷地内の登録建造物13棟のなかで最も古い建物です。
Q小柳酒造主屋はどのような構造ですか。
A木造2階建、瓦葺、建築面積205平方メートル。切妻造・妻入の塗屋造で、主体部は桁行7間、梁間4間半。南面に1間半幅の下屋、北に8畳座敷を角屋状に張り出します。なお桁行は小城市の文化財ページでは8間とされ、資料間で食い違います。
Q小柳酒造主屋の指定区分と登録年を教えてください。
A登録有形文化財(建造物)です。登録年月日は平成14年(2002年)2月14日、告示は同年3月12日、第32回登録。登録番号は41-0027です。
Q小柳酒造主屋の正面が今の形になった理由は何ですか。
A近年の道路拡幅で正面の下屋が失われたためです。下屋は軒から前へ差し出した低い屋根で、現在は南面にのみ1間半幅のものが残っています。

基本情報

名称小柳酒造主屋(こやなぎしゅぞうしゅおく)
所在地佐賀県小城市小城町903-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成14年(2002年)2月14日登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積205平方メートル。主体部は桁行7間、梁間4間半
所有者不明(文化庁データベースに所有者名の記載なし)
公開状況売店部分のみ立入可。午前9時から午後6時、日曜定休、見学可能時間は午前10時から午後4時、無料

参考文献

国指定文化財等データベース 小柳酒造主屋(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00002712
小城市の文化財(登録有形文化財) 小城市教育委員会文化課
https://www.city.ogi.lg.jp/main/9887.html

最終更新日: 2026.09.13