比叡山延暦寺とは

延暦寺は、滋賀県大津市坂本本町の比叡山一帯に広がる天台宗の総本山で、延暦7年(788年)に最澄が開き、元亀2年(1571年)の焼き討ちの後、寛永17年(1640年)の根本中堂再建を軸に再興された寺である。最澄が最初に建てた一乗止観院が、のちの根本中堂にあたる。延暦寺の案内によれば、約1,700ヘクタールの境内に約100の堂塔が点在する寺の総称で、延暦寺という名の建物が一棟あるわけではない。山内は東塔(とうどう)・西塔(さいとう)・横川(よかわ)の三塔に分かれ、山麓の門前町坂本には里坊と呼ばれる寺院群が並ぶ。

このうち建造物では、国宝の根本中堂のほか、根本中堂廻廊、大講堂、戒壇院、転法輪堂、常行堂及び法華堂、相輪橖、瑠璃堂、そして文殊楼や浄土院など11棟を一括した「延暦寺」が重要文化財に指定され、大書院と大書院庭門が登録有形文化財に登録されている。平成6年(1994年)には「古都京都の文化財」の構成資産として世界遺産に登録された。

開創から焼き討ち、江戸時代の再興まで

最澄は比叡山で修行を重ね、延暦7年(788年)に一乗止観院を創建した。延暦寺という寺号は、最澄の没後、弘仁14年(823年)に嵯峨天皇から与えられたと延暦寺は伝える。その後、円仁・円珍が伽藍を広げ、天禄3年(972年)に良源が横川を再整備して、三塔の体制が整った。平安京の北東にあたることから、都を守る寺としても重んじられた。

元亀2年(1571年)、織田信長の焼き討ちで山上の堂舎はほぼすべて失われた。文化庁の解説は、天正12年(1584年)に豊臣秀吉が再興を許したことで復興が始まり、慶長12年(1607年)に東塔の南光坊に入った天海が再興を率いて、寛永17年(1640年)に根本中堂が再建されたとまとめている。その後の半世紀で主要な堂が整えられ、現在の山上の建物の多くはこの時期のものである。焼き討ちを逃れた建物として延暦寺が案内しているのは、西塔の北にある瑠璃堂だけである。

三塔と坂本 ― 境内の配置と巡る順序

延暦寺の文化財は、山上の三塔と山麓の坂本に分かれて建つ。延暦寺の案内では、見学の目安は東塔が1時間以上、西塔と横川がそれぞれ40分以上とされる。

  • 東塔:根本中堂とその廻廊を中心に、大講堂、戒壇院、文殊楼、山王社、阿弥陀堂鐘楼、大書院と庭門が集まる。延暦寺バスセンターとケーブル延暦寺駅がこの地区にある。
  • 浄土院:東塔と西塔の境の尾根にある最澄の廟所。所属は東塔で、東塔から西塔へ歩く道の途中にある。
  • 西塔:東塔の西約1キロメートル。石段の上に常行堂及び法華堂、下に転法輪堂(釈迦堂)が並び、北の丘に相輪橖、南の斜面に西塔鐘楼、さらに北の飛地に瑠璃堂が建つ。
  • 横川:西塔から北へ約4キロメートル。横川中堂の東に四季講堂(元三大師堂)と横川鐘楼、北の奥に元三大師の御廟がある。
  • 坂本:山麓の門前町。滋賀院門跡の南西に、天海を祀る慈眼堂が建つ。

1日で回るなら、ケーブルで東塔に上がり、根本中堂と周辺を見てから浄土院を経て西塔へ歩き、シャトルバスで横川へ向かう順序が組みやすい。坂本の慈眼堂は、ケーブルに乗る前か下りた後に寄るとよい。

拝観時間と料金

山上の三塔は東塔・西塔・横川共通券で巡拝する。料金は大人1,000円、中高生600円、小学生300円(20名以上の団体は大人800円、中高生500円)。国宝殿(宝物館)は別料金で大人500円である。

巡拝時間は、東塔が通年で午前9時から午後4時まで。西塔と横川は3月から11月が午前9時から午後4時、12月から2月は午前9時30分から午後4時までとなる。巡拝受付はいずれも午後3時45分で締め切られる。法要や行事、暴風や降雪により、閉堂時間や巡拝時間が変わることがある(2026年9月確認)。

アクセスと山内の移動

滋賀県側からは、京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅またはJR湖西線の比叡山坂本駅から坂本ケーブルに乗り、ケーブル延暦寺駅で降りて東塔へ歩く。延暦寺の案内では駅から約40分である。京都側からは、JR京都駅や京阪三条駅から比叡山ドライブバスで延暦寺バスセンターまで約70分。叡山電鉄の八瀬比叡山口駅から叡山ケーブルと叡山ロープウェイで比叡山頂へ上がり、シャトルバスで延暦寺バスセンターへ向かう経路もある。

車の場合は、名神高速道路の京都東インターチェンジから西大津バイパスと比叡山ドライブウェイを経由して約30分。湖西道路の仰木・雄琴インターチェンジからは奥比叡ドライブウェイで約35分である。

山内の移動には山内シャトルバスが便利で、東塔から西塔まで約5分、西塔から横川まで約10分。シャトルバスは冬期に運休する。東塔から西塔へは歩いても約20分だが、未舗装の坂や階段がある。山麓の慈眼堂と滋賀院門跡は、坂本比叡山口駅から歩いて約5分である。

参考文献

国指定文化財等データベース「延暦寺」詳細解説(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00004892
文化遺産オンライン「古都京都の文化財」推薦書 内容説明 E 延暦寺
https://online.bunka.go.jp/suisensyo/kyoto/MAINTEXT/3b-E-j.html
境内の概要(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/grounds/overview.html
東塔(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/grounds/toudou.html
西塔(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/grounds/saitou.html
横川(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/grounds/yokawa.html
霊場・山麓寺院(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/grounds/shrine.html
国宝根本中堂大改修(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/renovation/overview.html
巡拝時間・料金(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/tickets/
交通案内(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/access/

最終更新日: 2026.09.25

基本情報

名称延暦寺
所在地滋賀県大津市坂本本町
所有者延暦寺
指定国宝 1件・重要文化財 8件・登録有形文化財 2件
座標35.07188, 135.83850