延暦寺大書院とは

延暦寺大書院は、滋賀県大津市坂本本町の比叡山東塔、根本中堂の東方にある大正時代の書院建築で、大正8年(1919年)ごろ東京・赤坂に建てられ、昭和3年(1928年)に現在地へ移築されたもので、平成13年(2001年)8月28日に登録有形文化財に登録された。登録番号は25-0145。延暦寺は大書院を寺の迎賓館と位置づけている。

文化庁の登録解説によれば、延暦寺大書院はもと東京・赤坂にあった村井氏の別邸「山王荘」の一部で、設計は武田五一、棟梁は小林富蔵である。武田五一は京都を拠点に多くの近代建築を手がけた建築家で、ここでは洋風ではなく本格的な和風の書院を設計している。

建物は昭和3年に比叡山へ移された。比叡山の堂の多くが元亀2年(1571年)の焼き討ち後の江戸時代の再建であるなかで、延暦寺大書院は近代の東京の邸宅建築が山上に移されたという、まったく別の来歴をもつ。

延暦寺大書院の構成と登録の価値

文化庁の記録では、延暦寺大書院は木造2階建て、屋根は瓦葺で一部を銅板葺とし、建築面積は839平方メートルである。建物は三つの棟からなる。唐破風の車寄を構えた玄関棟、「旭光の間」と呼ばれる大客室の棟、そして観月台をもつ2階建ての居間棟である。

登録の基準は「造形の規範となっているもの」で、文化庁は延暦寺大書院を、洗練された書院造であり、技術的にも優れた質の高い和風建築と評価している。玄関の唐破風、大客室、月見のための観月台と、客を迎えてもてなすための空間が棟ごとに役割を分けて配されている。

大書院と同じ日には、大客室棟の背後の塀に設けられた大書院庭門も登録有形文化財に登録されている。移築の前と同じ位置関係で門まで移されており、山王荘の構えを門を含めて比叡山に移したことが分かる。

見どころ ― 旭光の間と観月台

延暦寺大書院の外観でまず目を引くのは、玄関棟の唐破風の車寄である。車で乗り付ける客を迎えるための構えで、大正時代の邸宅らしい格式を示している。

大客室の「旭光の間」は、その名のとおり朝の光を意識した部屋名をもつ。居間棟の2階には観月台が設けられ、朝と夜それぞれの眺めを楽しむことを考えた構成になっている。比叡山の上に移されたことで、東京の邸宅として設計された眺めとは違う景色を、いまは窓の外に見ることになる。

見学方法 ― 通常非公開の迎賓館

延暦寺大書院は通常公開されていない。延暦寺の催し「比叡探訪」では、通常非公開の大書院で坐禅を行う回や、東塔の建築を巡る回で大書院を特別拝観として案内する回が設けられている。内部を見たい場合は、延暦寺の公式サイトでこうした催しの予定を確かめたい。

撮影の可否は公式案内に明記がないため、催しの際は案内する僧侶の指示に従うこと。東塔への行き方と巡拝時間・料金は延暦寺のページにまとめてある。

Q&A

Q延暦寺大書院はもともとどこにあった建物ですか?
A東京・赤坂にあった村井氏の別邸「山王荘」の一部です。大正8年(1919年)ごろに建てられ、昭和3年(1928年)に比叡山へ移築されました。
Q延暦寺大書院を設計したのは誰ですか?
A設計は建築家の武田五一、棟梁は小林富蔵です。
Q延暦寺大書院はどのような文化財ですか?
A平成13年(2001年)8月28日に登録有形文化財に登録された建物です。登録基準は「造形の規範となっているもの」です。
Q延暦寺大書院の内部は見学できますか?
A通常は非公開です。延暦寺の催し「比叡探訪」で、坐禅体験や特別拝観として案内されることがあります。
Q延暦寺大書院はどんな構成の建物ですか?
A唐破風の車寄をもつ玄関棟、「旭光の間」と呼ぶ大客室棟、観月台をもつ2階建ての居間棟の三つからなる、木造2階建ての書院造です。

基本情報

名称延暦寺大書院
所在地滋賀県大津市坂本本町4220(比叡山東塔)
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成13年(2001年)8月28日登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦一部銅板葺、建築面積839平方メートル
所有者宗教法人延暦寺
公開状況通常非公開(延暦寺の催しで特別拝観の例あり)

参考文献

国指定文化財等データベース「延暦寺大書院」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002269
文化遺産オンライン「延暦寺大書院」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/193269
国指定文化財等データベース「延暦寺大書院庭門」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002270
比叡探訪(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/experience/tanbou.html

最終更新日: 2026.09.25