延暦寺転法輪堂とは

延暦寺転法輪堂は、滋賀県大津市坂本本町の比叡山西塔の本堂で、貞和3年(1347年)に建てられた室町時代前期の仏堂であり、明治33年(1900年)4月7日に国の指定を受け、現在は重要文化財となっている。本尊の釈迦如来にちなみ、一般には釈迦堂の名で知られる。

この堂は、もとから比叡山にあった建物ではない。元亀2年(1571年)の焼き討ちの後、豊臣秀吉のもとで進められた再興のなかで、文禄4年(1595年)に園城寺(三井寺)から移された。移築前の堂について、文化庁の解説は「旧園城寺弥勒堂」とし、延暦寺の案内は園城寺の金堂だったとしており、呼び方が分かれる。

建物自体の建立は1347年までさかのぼり、延暦寺と大津市はともに、延暦寺に現存する建物のなかで最も古いものと案内している。焼き討ちの後、失われた西塔の本堂を補うために、他寺の古い堂を運び上げて転用したという経緯そのものが、比叡山の復興の一場面を示している。

延暦寺転法輪堂の形式と指定の価値

文化庁の記録では、延暦寺転法輪堂は「桁行七間、梁間七間、一重、入母屋造、とち葺形銅板葺」である。7間四方の大きな堂で、屋根は銅板を栩葺の板のような形に加工して葺いている。遠目には板葺に見えるが、材料は金属である。

大津市の案内によれば、延暦寺転法輪堂は天台宗の本堂の基本的な平面構成をとる純和様の建物である。禅宗様の要素を混ぜない和様だけの構成で、室町時代前期の本堂建築の姿をよく残す。世界遺産推薦書によれば、昭和33年(1958年)に解体修理が行われている。

指定の価値は二つの面から説明できる。一つは、14世紀の本堂建築として年代が古く、和様の本堂の典型を示すこと。もう一つは、焼き討ち後の比叡山が他寺の建物を移して伽藍を立て直した歴史を、建物そのものが示していることである。

見どころ ― 西塔の石段の下に構える大堂

延暦寺転法輪堂は、西塔の石段の下に建ち、石段の上には常行堂及び法華堂(にない堂)が並ぶ。石段の上から見下ろすと、7間四方の大屋根の広がりがよく分かる。

近づいたら軒先を見上げたい。栩葺形の銅板は板葺の段差を写して加工されており、軒の厚みの見せ方に工夫がある。正面に立って柱間を数えると、7間の広さが和様の端正な比例でまとめられていることが確かめられる。

転法輪堂の南の斜面には西塔鐘楼、北の丘には相輪橖が建ち、西塔の中心をなす建物の配置が一望できる。

見学方法 ― 西塔の本堂

延暦寺転法輪堂は西塔の中心にある。西塔の巡拝時間内に参拝でき、東塔・西塔・横川共通券が必要である。延暦寺の西塔の案内では、常行堂・法華堂と瑠璃堂には内部非公開と明記されているのに対し、転法輪堂にはその記載がない。

法要のときは入堂が制限されることがある。撮影の可否は公式案内に明記がないため、堂内では現地の掲示や係員の指示に従いたい。西塔への行き方と巡拝時間・料金は延暦寺のページにまとめてある。

Q&A

Q延暦寺転法輪堂と釈迦堂は同じ建物ですか?
A同じ建物です。正式名は転法輪堂で、本尊の釈迦如来にちなんで釈迦堂と呼ばれています。
Q延暦寺転法輪堂はいつ建てられましたか?
A貞和3年(1347年)の建立で、延暦寺に現存する最古の建物とされます。文禄4年(1595年)に園城寺から現在地へ移されました。
Q延暦寺転法輪堂はなぜ園城寺から移されたのですか?
A元亀2年(1571年)の焼き討ちで西塔の堂が失われ、秀吉のもとで進められた再興の際に、園城寺の堂を移して西塔の本堂としたためです。移築前の堂は、文化庁は弥勒堂、延暦寺は金堂としています。
Q延暦寺転法輪堂の屋根は何でできていますか?
A栩葺の板の形に加工した銅板で葺いた「とち葺形銅板葺」です。
Q延暦寺転法輪堂は参拝できますか?
A西塔の巡拝時間内に参拝できます。東塔・西塔・横川共通券が必要です。

基本情報

名称延暦寺転法輪堂(釈迦堂)
所在地滋賀県大津市坂本本町(比叡山西塔)
指定区分重要文化財(建造物)
指定年明治33年(1900年)4月7日
員数1棟
寸法桁行7間、梁間7間、一重、入母屋造、とち葺形銅板葺
所有者延暦寺
公開状況西塔の巡拝時間内に参拝可(共通券が必要)

参考文献

国指定文化財等データベース「延暦寺転法輪堂」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/1322
国指定文化財等データベース「延暦寺」詳細解説(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00004892
延暦寺 転法輪堂(大津市 文化財保護課)
https://www.city.otsu.lg.jp/bz/a/03/15/60694.html
文化遺産オンライン「古都京都の文化財」推薦書 内容説明 E 延暦寺
https://online.bunka.go.jp/suisensyo/kyoto/MAINTEXT/3b-E-j.html
西塔(天台宗総本山 比叡山延暦寺)
https://www.hieizan.or.jp/grounds/saitou.html

最終更新日: 2026.09.25