安楽寺鐘楼とは

安楽寺鐘楼は、徳島県美馬市美馬町の安楽寺に建つ明治時代の鐘楼で、明治44年(1911年)に建てられ、平成21年(2009年)8月7日に登録有形文化財に登録された。本堂の東南にあたる位置を占め、面積は21平方メートルである。

切石を積んだ高い基壇の上に載る、方一間の吹放ち鐘楼。壁を持たないので、四本の柱と屋根だけで梵鐘を覆う構えになる。屋根は入母屋造本瓦葺で、棟には鯱が据えられている。

基壇が高いぶん、地面から見上げる角度が急になる。安楽寺鐘楼は境内でもっとも背の高い建物ではないが、床面が持ち上げられているために、参道を歩いていると視界の右手にはっきりと立ち上がって見える。

安楽寺鐘楼が登録された理由

文化庁の国指定文化財等データベースは、安楽寺鐘楼の登録基準を「国土の歴史的景観に寄与しているもの」とし、登録番号を36-0076としている。同じ境内の本堂と山門が「造形の規範となっているもの」で登録されたのに対し、鐘楼は景観への寄与という別の観点で評価された。

構造の作り込みは細かい。柱は断面が四角い方柱だが、まっすぐではなく湾曲させてあり、しかも四方転び、つまり四本とも外側へ傾けて立てられている。組物は三斗組、中備には蟇股を置く。垂木は二軒の扇垂木。壁のない小さな建物に、これだけの手数が投じられている。

撞木を吊る西側には軒唐破風が付く。鐘を撞く人が立つ側だけ軒の形を変えているわけで、安楽寺鐘楼の正面がどちらを向いているかが、この一点で分かる。

安楽寺鐘楼の見どころ

吹放ちの建物なので、内部を外から見通せる。天井を張らずに済ませてもよさそうなところに、安楽寺鐘楼は格天井を張っている。基壇の下から見上げれば、格子に区切られた天井面がそのまま目に入る。屋根裏を隠す必要のない小屋で、あえて整った天井を用意した判断が読み取れる。

柱の傾きも足元から確かめたい。四方転びは真正面から見ると分かりにくく、斜めに回り込むと急に効いてくる。湾曲と傾きが重なるため、柱の輪郭は位置を変えるたびに違う線を描く。

棟の鯱は、火除けの願いを込めて城郭や寺社の屋根に置かれる飾りである。明治44年(1911年)という建立年を思うと、近世以来の意匠が近代に入ってなお選ばれていたことになる。西側の軒唐破風とあわせて、小さな屋根の上で意匠が二重に効いている。

安楽寺鐘楼の見学方法とアクセス

安楽寺鐘楼は境内に建ち、周囲を歩いて外から見学できる。拝観時間や拝観料を定めた案内は公表されていない。基壇上への昇段や梵鐘を撞くことができるかどうかも公表されていないため、希望する場合は安楽寺(電話0883-63-2015)へ事前に問い合わせてほしい。

撮影について、境内での撮影を禁じる掲示は確認できていない。吹放ちの建物なので、基壇の斜め下から見上げる位置と、少し離れて本堂との位置関係が入る位置と、二つの立ち位置を試すとよい。

アクセスは、JR徳島線の貞光駅からタクシーで約10分、徳島自動車道の美馬インターチェンジからは車で約5分。美馬市観光サイトは、寺町の駐車場として「寺町なんまつの丘」に30台分があると案内している。寺町案内人は要予約で、電話090-4336-8882が窓口となっている。

Q&A

Q安楽寺鐘楼は見学できますか。拝観時間と拝観料は?
A境内に建っており、周囲から外観を見学できます。拝観時間・拝観料を定めた公表資料はありません。基壇上に上がれるか、鐘を撞けるかについても公表がないため、安楽寺(電話0883-63-2015)へ事前にお問い合わせください。
Q安楽寺鐘楼はいつ建てられましたか?
A明治44年(1911年)の建立です。木造、瓦葺で面積は21平方メートル。平成21年(2009年)8月7日に登録有形文化財に登録されました。
Q安楽寺鐘楼はどこにありますか?
A徳島県美馬市美馬町字宮西11、安楽寺の境内です。文化庁のデータベースは、本堂の東南にあたる位置と記しています。切石積の高い基壇に載っているため、参道からもすぐに見分けられます。
Q安楽寺鐘楼の建築で注目すべき点はどこですか?
A湾曲した方柱を四方転びに立てている点、三斗組と蟇股、二軒の扇垂木、そして内部に張られた格天井です。撞木を吊る西側だけに軒唐破風が付き、棟には鯱が据えられています。
Q安楽寺鐘楼へのアクセスと駐車場を教えてください
AJR徳島線の貞光駅からタクシーで約10分、徳島自動車道の美馬インターチェンジからは車で約5分です。美馬市観光サイトは、寺町の駐車場として「寺町なんまつの丘」に30台分があると案内しています。

基本データ

名称安楽寺鐘楼
所在地徳島県美馬市美馬町字宮西11
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成21年(2009年)登録
員数1棟
寸法面積21平方メートル
所有者宗教法人安楽寺
公開状況境内から外観の見学可。基壇上は要問い合わせ

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「安楽寺鐘楼」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007804
文化遺産オンライン「安楽寺鐘楼」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/154405
美馬市観光サイト「安楽寺(あんらくじ)〔国登録有形文化財〕」
https://www.city.mima.lg.jp/kanko/map/list/4055.html
美馬市観光サイト「寺町」
https://www.city.mima.lg.jp/kanko/map/list/11519.html

最終更新日: 2026.09.09