安楽寺山門とは

安楽寺山門は、徳島県美馬市美馬町の安楽寺に建つ江戸時代中期の楼門で、宝暦6年(1756年)に建てられ、平成21年(2009年)8月7日に登録有形文化財に登録された。本堂の南方に位置し、朱に塗られた姿から地元では「赤門」と呼ばれている。

形式は三間三戸二階二重門。柱間を三つとり、そのすべてを通り抜けられる開口とし、上下二層の屋根を重ねる。屋根はいずれも入母屋造本瓦葺で、面積は41平方メートル。二重門としては小ぶりだが、寺町の細い道から見上げると、二層目の軒が想像より高い位置に来る。

安楽寺そのものは、寺伝で正元元年(1259年)に天台宗の真如寺から浄土真宗へ改まったと伝えられる古い寺である。「赤門寺」という通称が示すとおり、安楽寺山門はこの寺を外から識別する目印として長く働いてきた。

安楽寺山門が登録された理由

文化庁の国指定文化財等データベースは、安楽寺山門の登録基準を「造形の規範となっているもの」とし、登録番号を36-0077としている。評価の核心は上層と下層で組物の性格がまったく違うことにある。

上重は本格的な禅宗様三手先詰組で、正統な作りをしている。ところが下重は斗を使わず、肘木や直材を組み合わせた変わった組物を用いる。同じ門の上下で流儀を切り替えているわけで、これは全国的にも珍しい。垂木も上重が二軒扇垂木、下重が二軒繁垂木と作り分けられている。

さらに扉の上部、中備の位置には鬼面が据えられている。文化庁の解説はこれを「奇矯な表情」と書く。整った禅宗様の上層と、規範を外れた下層と、表情の強い鬼面が一つの門に同居している点が、安楽寺山門の評価につながっている。

安楽寺山門の見どころ

門の正面に立ったら、まず視線を上下に往復させてほしい。上重の組物は水平方向に三段せり出し、軒を深く支える。下重は同じ位置に斗が見当たらず、部材が直接組み合う。この差は写真より肉眼のほうが分かりやすい。

次に扉の上を見る。鬼面はこちらを向いており、通り抜けようとする人の頭上に置かれている。三間三戸の門なので、左右どの間からくぐっても構造の中を通ることになり、見上げる角度によって鬼面の印象が変わる。

朱の色にも来歴がある。美馬市の観光サイトによれば、平成21年(2009年)から安楽寺山門の改修工事が行われ、翌年3月に色鮮やかな赤門が姿を現した。文化庁の記録では昭和11年(1936年)にも改修を受けており、江戸時代中期の骨組みを、時代ごとの手入れが支えてきたことが分かる。徳島県内の重層門を代表する「県下五大門」の一つに数えられているのも、この維持の積み重ねと無関係ではない。

安楽寺山門の見学方法とアクセス

安楽寺山門は境内の入口に建っており、外からも境内側からも自由に見上げることができる。拝観時間や拝観料を定めた案内は公表されていない。門の上層は通常公開されていないので、内部を見たい場合は安楽寺(電話0883-63-2015)に事前に相談してほしい。

撮影については、門の外観撮影を禁じる掲示は確認できていない。参道をふさがない位置から撮るのが望ましく、法要のある日は参列者の動線を優先したい。

アクセスは、JR徳島線の貞光駅からタクシーで約10分、徳島自動車道の美馬インターチェンジからは車で約5分。美馬市観光サイトは、寺町の駐車場として「寺町なんまつの丘」に30台分があると案内している。寺町案内人による案内は要予約で、電話090-4336-8882が窓口である。

Q&A

Q安楽寺山門は拝観できますか。拝観時間と拝観料は?
A境内の入口に建っているので、外観はいつでも見上げることができます。拝観時間・拝観料を定めた公表資料はありません。門の上層は通常公開されていないため、内部を見たい場合は安楽寺(電話0883-63-2015)へ事前にご相談ください。
Q安楽寺山門はいつ建てられましたか?
A宝暦6年(1756年)の建立です。昭和11年(1936年)に改修を受け、平成21年(2009年)8月7日に登録有形文化財に登録されました。翌年3月には朱の塗り直しを終えた姿が公開されています。
Q安楽寺山門はなぜ「赤門」と呼ばれるのですか?
A門が朱塗りであることによります。美馬市の観光サイトは、この門があまりに親しまれているため安楽寺自体が「赤門寺」と呼ばれると説明しており、徳島県内の重層門を代表する「県下五大門」の一つにも数えています。
Q安楽寺山門の建築で特に珍しい点はどこですか?
A上重と下重で組物の作り方が違う点です。上重は禅宗様の三手先詰組という正統な形式ですが、下重は斗を使わず肘木や直材を組み合わせた特異な組物になっています。扉上部の中備に据えられた鬼面も見どころです。
Q安楽寺山門へのアクセスと駐車場を教えてください
AJR徳島線の貞光駅からタクシーで約10分、徳島自動車道の美馬インターチェンジからは車で約5分です。美馬市観光サイトは、寺町の駐車場として「寺町なんまつの丘」に30台分があると案内しています。

基本データ

名称安楽寺山門
所在地徳島県美馬市美馬町字宮西11
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成21年(2009年)登録
員数1棟
寸法面積41平方メートル
所有者宗教法人安楽寺
公開状況外観の見学可。上層は非公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「安楽寺山門」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007805
美馬市観光サイト「寺町 - 安楽寺」
https://www.city.mima.lg.jp/kanko/map/list/11521.html
美馬市観光サイト「安楽寺(あんらくじ)〔国登録有形文化財〕」
https://www.city.mima.lg.jp/kanko/map/list/4055.html
美馬市観光サイト「寺町」
https://www.city.mima.lg.jp/kanko/map/list/11519.html

最終更新日: 2026.09.09