中庭にまつられた小さな社
河鹿園稲荷社は、東京都青梅市御岳本町の元割烹旅館・河鹿園で枕流亭の北の中庭にまつられた昭和30年(1955年)頃の木造の小社で、令和2年(2020年)8月17日に登録有形文化財に登録された。
河鹿園稲荷社は一間社流造で、北西を正面とする。屋根は銅板葺、面積は0.36平方メートル。畳1枚の4分の1にも満たない大きさで、河鹿園の登録8棟ではもっとも小さく、建てられた時期ももっとも新しい。
旅館や商家の敷地に稲荷をまつるのは珍しいことではない。河鹿園稲荷社の価値は、その小ささにもかかわらず、社殿としての部材と手順を一通り備えていることにある。
小社ながら本格的な造り
河鹿園稲荷社は「造形の規範となっているもの」として登録された。登録番号は13-0447で、河鹿園の連番の最後にあたる。文化庁の解説文は「小社ながら本格的な造り」と評している。
足元から見ていくと、まず石積みの基壇があり、その上に布基礎を回して土台を据え、柱を立てる。正面には浜床と浜縁を付け、浜床の上に庇を支える柱を立てる。社殿へ上がる木の階段は5段。
正面上部では、柱の間に渡した水引虹梁の上に蟇股を据える。側面の妻飾りは、虹梁の上に大瓶束を立て、その左右に笈形と呼ばれる彫刻の板を添えた形である。大きな神社の本殿で使われる部材の組み合わせを、縮尺だけ小さくしてそのまま再現している。
河鹿園稲荷社で見ておきたいところ
河鹿園稲荷社を見るときは、正面に回って木階の段数を数えてみたい。5段の階段が、これだけ小さな社にきちんと付いていることが分かる。
次に側面へ回り、妻飾りの大瓶束と笈形を確かめる。社全体が小さいぶん部材も細かく、笈形の彫りは近づかないと見えない。北西を正面とするので、午後の光が正面に当たる時間のほうが細部を追いやすい。
河鹿園稲荷社の見学
河鹿園稲荷社は枕流亭の北の中庭にあり、単独の拝観の案内は出ていない。美術館として公開される企画展示期間中に、渡廊下や周囲の建物から中庭の様子を見られる場合がある。
河鹿園稲荷社は現在もまつられている社である可能性があるため、近くで見る場合は静かに、手を触れずに見てほしい。撮影の可否は受付で確認したい。
Q&A
- 河鹿園稲荷社はいつ建てられたものですか?
- 昭和30年(1955年)頃に建てられた木造の小社です。河鹿園の登録8棟の中でもっとも新しい建物です。
- 河鹿園稲荷社はどのくらいの大きさですか?
- 面積は0.36平方メートルで、河鹿園の登録8棟でもっとも小さい建物です。屋根は銅板葺です。
- 河鹿園稲荷社はなぜ登録有形文化財になったのですか?
- 一間社流造の小社ながら、浜床・浜縁、木階五級、蟇股、虹梁大瓶束笈形付の妻飾りなど本格的な造りを備える点が評価され、「造形の規範となっているもの」として令和2年(2020年)8月17日に登録されました。
- 河鹿園稲荷社はどこにありますか?
- 河鹿園の敷地内、枕流亭の北の中庭にあり、北西を正面としています。
- 河鹿園稲荷社は見学できますか?
- 単独の拝観の案内はありません。美術館としての企画展示期間中(午前11時〜午後4時、月・火曜休館)に、中庭の様子を見られる場合があります。
基本情報
| 名称 | 河鹿園稲荷社(かじかえんいなりしゃ) |
|---|---|
| 所在地 | 東京都青梅市御岳本町335 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 令和2年(2020年)8月17日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造、銅板葺、面積0.36平方メートル |
| 所有者 | 個人 |
| 公開状況 | 企画展示期間中に公開(午前11時〜午後4時、月・火曜休館) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース ― 河鹿園稲荷社
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013369
- 青梅市 ― 青梅市の文化財(登録有形文化財)
- https://www.city.ome.tokyo.jp/site/provincial-history-museum/3143.html
- おうめ観光ガイド ― 旅館建物室礼美術館「河鹿園」
- https://www.omekanko.gr.jp/spot/11301/
最終更新日: 2026.09.23