小田井灌漑用水路中谷川水門とは
小田井灌漑用水路中谷川水門は、和歌山県伊都郡かつらぎ町中飯降で小田井灌漑用水路が中谷川と交わる地点に、明治45年(1912年)に築かれた煉瓦造の伏越(サイホン)で、平成18年(2006年)3月2日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「おだいかんがいようすいろなかたにがわすいもん」。文化庁のデータベースでは延長13メートル、幅員6.4メートルで、所有者は小田井土地改良区である。
登録番号は30-0088、登録基準は「再現することが容易でないもの」。登録された小田井灌漑用水路の4基のうち最も上流にあたる。紀の川とほぼ平行に西へ流れてきた水路は、ここで和泉山脈から下る中谷川を横切る。
川の下をくぐる小田井灌漑用水路中谷川水門
名前は「水門」だが、水をせき止めたり開け閉めしたりする門ではない。文化庁の解説は小田井灌漑用水路中谷川水門を、用水路と中谷川が交わる地点で川の下に築いた暗渠と説明し、サイホンの原理を使っていると記す。農林水産省も、川の下を横断するために設けたサイホンとしている。
伏越では、水路の水が川の手前でいったん低い管路へ下り、川床の下を通って対岸で元の高さの水路へ戻る。入口側の水面が出口側より高ければ水は押し出されるので、動力は要らない。登録された4基のうち、川の上を渡る渡井が3基であるのに対し、川の下をくぐるのはこの中谷川水門だけである。
農林水産省によれば、開削当初は木造で、大雨による被害を受けることが多かったため、明治45年(1912年)に煉瓦造へ改められた。同省は両端の水門の間を13.3メートル、水路の幅を6.4メートルとしており、文化庁の延長13メートルとほぼ重なる。和歌山県の河川整備計画は、この川を同じかつらぎ町内の別の中谷川と区別して「中谷川(中飯降)」と呼んでいる。
小田井灌漑用水路中谷川水門の煉瓦と評価
文化庁の解説によれば、小田井灌漑用水路中谷川水門のアーチは煉瓦4枚分の厚さで組まれ、壁面はフランス積、頂部にはパラペットを立ち上げている。フランス積は1段のなかに煉瓦の長い面と短い面を交互に並べる積み方で、壁には長短の模様が規則正しく続く。
文化庁はこの施設を、藩政時代に開削された大規模な灌漑用水路が近代化された姿を示すものと評価している。農林水産省によれば、現在もほぼ完成時の姿を保ち、約610ヘクタールの水田に水を送る小田井用水の一部として使われ続けている。
小田井灌漑用水路中谷川水門の見どころと見学
小田井灌漑用水路中谷川水門は現役の農業用水路の施設で、見学の受付や見学料はない。外観は周りの道から眺める形になる。水路の中や縁には入らないようにしたい。
見ておきたいのは、煉瓦のアーチと、その上に立ち上がるパラペット、フランス積の壁面である。川をくぐる管路そのものは見えないが、水が地上の水路から姿を消す位置を確かめると、伏越の仕組みが実感できる。
最寄りはJR和歌山線の中飯降駅で、座標で測った直線距離は約250メートルである。農林水産省のページは笠田駅から徒歩10分としているが、笠田駅は約5キロメートル西にある。4基の巡り方は小田井灌漑用水路のページにまとめてある。
Q&A
- 小田井灌漑用水路中谷川水門はいつ造られましたか?
- 明治45年(1912年)です。江戸時代の開削のときは木造でしたが、大雨で傷むことが多かったため煉瓦造に改められました。平成18年(2006年)3月2日に国の登録有形文化財に登録されています。
- 小田井灌漑用水路中谷川水門は「水門」なのに何をする施設ですか?
- 用水路を中谷川の下にくぐらせる伏越(サイホン)です。文化庁は、川の下に築いた暗渠でサイホンの原理を使っていると説明しています。水の量を調節する門ではありません。
- 小田井灌漑用水路中谷川水門の大きさはどのくらいですか?
- 文化庁のデータベースでは延長13メートル、幅員6.4メートルです。農林水産省は両端の水門の間を13.3メートル、水路の幅を6.4メートルとしています。
- 小田井灌漑用水路中谷川水門ではどこを見ればよいですか?
- 煉瓦4枚分の厚さのアーチ、長手と小口が交互に並ぶフランス積の壁面、頂部のパラペットです。水路の水が地上から消える位置を見ると、川の下を通る仕組みが分かります。
- 小田井灌漑用水路中谷川水門へはどう行けばよいですか?
- JR和歌山線の中飯降駅が最寄りで、直線距離は約250メートルです。見学の受付や料金はなく、周りの道から外観を見る形になります。水路には近づきすぎないでください。
基本情報
| 名称 | 小田井灌漑用水路中谷川水門(おだいかんがいようすいろなかたにがわすいもん) |
|---|---|
| 所在地 | 和歌山県伊都郡かつらぎ町中飯降 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成18年(2006年)登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 延長13メートル、幅員6.4メートル(煉瓦造) |
| 所有者 | 小田井土地改良区 |
| 公開状況 | 現役の農業用水路の施設。周辺から外観を見学できる(見学料なし) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)小田井灌漑用水路中谷川水門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005354
- 農林水産省 水土里の文化遺産 小田井灌漑用水路中谷川水門
- https://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/museum/m_bunka/yuukei10/index.html
- 和歌山県 紀の川水系紀泉圏域河川整備計画
- https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/080400/keikaku/seibikeikaku_d/fil/kisenkeniki_keikaku.pdf
最終更新日: 2026.10.07