如庵とは

如庵は、愛知県犬山市犬山御門先の日本庭園有楽苑に建つ元和4年(1618年)ごろの茶室で、昭和26年(1951年)6月9日に国宝に指定された。読みは「じょあん」。織田信長の実弟、織田有楽斎が京都建仁寺の塔頭正伝院に建てたもので、京都山崎妙喜庵の待庵、大徳寺龍光院の密庵とともに、現存する国宝の茶席3件の一つに数えられる。

指定の経緯は二段階である。昭和11年(1936年)4月20日に当時の国宝保存法による国宝(いわゆる旧国宝)となり、文化財保護法の施行後、昭和26年(1951年)に改めて国宝に指定された。

建物は茶室と、三畳の水屋の間、廊下の間からなる。一重で、屋根は入母屋造のこけら葺。茶室の広さは二畳半台目で、文化庁はこの間取りの好典型と評している。

国宝に指定された理由

文化庁の詳細解説は、如庵の内外の意匠がきわめて優れていること、建物の保存がよいこと、二畳半台目の茶室の好典型であることを挙げる。解説文はまた、にじり口の脇の意匠にも斬新な趣向が凝らされていると記す。

如庵には二つの別名がある。室内の壁の腰に古い暦を貼っているので「暦の席」と呼ばれ、特徴のある間取りから「筋違いの席」とも称される(文化庁)。有楽苑の公式サイトによれば、床の脇にウロコ板を入れて斜めの壁をつくっているところから「筋違いの囲」と呼ばれる。

来歴も如庵の価値の一部である。正伝院は、有楽斎が大坂夏の陣の後に隠居所とした寺で、如庵は明治時代の末に露地と書院とともに三井家の所有となって東京へ移された。昭和13年(1938年)に神奈川県へ、昭和47年(1972年)に現在地へと移築を重ねながら、建物はよく保たれてきた。

見どころ

如庵の外観で目を引くのは正面の構えである。公式サイトの説明では、こけら葺の入母屋風の屋根の妻を正面に向け、左手に入り込んだ土間庇をつくり、そこに「如庵」の額を掲げている。庭から近づくと、屋根の三角形の妻と、その下に深く切れ込む庇の影が、小さな建物に端正な輪郭を与えているのが分かる。

にじり口の位置にも注目したい。文化庁がにじり口脇の意匠を特記し、公式サイトも躙口の位置を独創的な工夫の一つに挙げている。外から見える部分なので、庇の下をのぞき込むようにして確かめるとよい。

内部に入れる特別見学会では、竹を詰めて打ち並べた有楽窓、古暦を腰張りにした暦張り、斜めの壁と中柱の構えを間近に見ることができる。いずれも庭からは見えない部分で、文化庁と公式サイトが如庵の特徴として挙げる意匠の多くは室内にある。

見学方法

如庵の外観は、有楽苑の開苑時間中に庭から見ることができる。犬山市観光協会は、現存する国宝茶席三名席のうち、常に間近で見られるのは如庵だけだと紹介している。建物の内部は普段は公開されていない。

内部に入れるのは予約制の「如庵内部特別見学会」のときだけで、愛知県と犬山市観光協会によれば月に1度開かれる。内容は如庵の説明と内部の見学、弘庵での抹茶で、料金は入苑料・呈茶料込みで1人4,000円、定員は20名。旧正伝院書院の襖絵の特別公開と組み合わせた見学会は1人6,000円である。申し込みは公式サイトの応募フォームから行い、参加日は苑から連絡がある。公式サイトは2026年8月に、8月から11月の開催分が満席になったと告知している。

見学会では建物内での撮影と録音が禁じられている。室内では畳に座り、とくに如庵の茶室は狭いため杖などの補助具は使えず、介助が必要な場合は介助者の同伴が求められる。壁や柱に手を触れないよう注意したい。有楽苑への行き方と開苑時間は有楽苑のページにまとめてある。

Q&A

Q如庵の内部は見学できますか?
A普段は非公開です。月に1度の予約制の「如庵内部特別見学会」で入ることができ、料金は入苑・呈茶込みで1人4,000円、定員は20名です。旧正伝院書院の襖絵も見られる回は1人6,000円です。
Q如庵はいつ国宝に指定されましたか?
A昭和26年(1951年)6月9日に国宝に指定されました。それ以前、昭和11年(1936年)に旧国宝保存法による国宝となっています。
Q如庵が「暦の席」「筋違いの席」と呼ばれるのはなぜですか?
A室内の壁の腰に古い暦を貼っていることから「暦の席」、床脇にウロコ板を入れて斜めの壁をつくった特徴ある間取りから「筋違いの席」(筋違いの囲)と呼ばれます。
Q如庵はなぜ京都ではなく犬山にあるのですか?
A元和4年(1618年)ごろ京都建仁寺の正伝院に建てられた後、明治末に三井家の所有となって東京へ、昭和13年(1938年)に神奈川県へ移り、昭和47年(1972年)に名古屋鉄道によって犬山の現在地へ移築されました。
Q如庵の特別見学会で写真は撮れますか?
A建物内での撮影と録音はできません。室内では畳に座り、狭い茶室のため杖などの補助具は使えないので、介助が必要な人は介助者と参加します。

基本情報

名称如庵(じょあん)
所在地愛知県犬山市大字犬山字御門先1番地(日本庭園 有楽苑内)
指定区分国宝(建造物)
指定年昭和26年(1951年)6月9日国宝指定(昭和11年(1936年)4月20日旧国宝指定)
員数1棟
寸法茶室二畳半台目、水屋の間三畳、廊下の間からなる。一重、入母屋造、こけら葺
所有者名古屋鉄道株式会社
公開状況外観は有楽苑の開苑時間に見学可。内部は予約制の特別見学会のみ(4,000円)

参考文献

如庵(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/1240
如庵(文化遺産オンライン)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/193900
国宝茶室如庵(日本庭園 有楽苑 公式サイト)
https://www.meitetsu.co.jp/urakuen/joan/index.html
有楽苑について(日本庭園 有楽苑 公式サイト)
https://www.meitetsu.co.jp/urakuen/guide/index.html
如庵内部特別見学会(日本庭園 有楽苑 公式サイト)
https://www.meitetsu.co.jp/urakuen/kengaku/index.html
日本庭園 有楽苑(国宝茶室「如庵」)(愛知県公式観光サイト Aichi Now)
https://aichinow.pref.aichi.jp/spots/detail/179/
日本庭園 有楽苑(犬山観光ナビ 犬山市観光協会)
https://inuyama.gr.jp/experience/detail/9/

最終更新日: 2026.10.03