架け渡すための屋根
北から5番目、大学開放センターのギャラリー棟には、列の中でも最も巧みな構造が納まる。各倉庫の内部はもと東西2室に分かれ、各室とも中央に2列の柱を立てて通路とした。
昭和9年に、これほどの幅を木で覆うには、通常とは異なる工夫が要った。造り手は二つの大工の伝統を一つの屋根に組み合わせた。
和と洋の小屋組
中央の柱列間には方杖で補強した和小屋を架け、両脇には三角のハウトラスを洋風に組む。この和洋の複合構造が、長大なスパンに木造の屋根を架け渡すことを可能にした。
内部の伸びやかで見通しのよい空間は、この形式から生まれている。平成12年の登録は、重要文化財の指定ではなく登録の区分のもと、倉庫群を歴史的景観のうちに位置づける。
ギャラリーで見上げる
今は美術を展示する場となったことで、構造を観察しやすい。柱を辿って視線を上げると、二つの小屋組が頭上で出会うところに行き着く。
展示は替わっても、その上の骨組みは常設の見どころである。作品を見に来て、そのまま架構を読み解いていきたい。
Q&A
- ギャラリー棟の構造はどこが珍しいのですか。
- 中央に和小屋、両脇に洋風の三角ハウトラスを組んだ和洋複合の小屋組で、幅の広い倉庫を木造で架け渡しています。
- 「和小屋」「ハウトラス」とは何ですか。
- 和小屋は日本の伝統的な小屋組、ハウトラスは洋式の三角トラスです。ここでは両者を一つの屋根に併用しています。
- 現在は何に使われていますか。
- 大学開放センターのギャラリーとして、企画展示などに用いられています。
- 国宝ですか。
- いいえ。登録有形文化財で、歴史的景観への寄与を評価された区分です。
基本データ
| 名称 | 秋田公立美術工芸短期大学大学開放センターギャラリー棟 |
|---|---|
| 所在地 | 秋田県秋田市新屋大川町12-3 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 2000年(平成12)9月26日(登録第25回) |
| 登録番号 | 05-0061 |
| 員数 | 1棟 |
| 年代 | 昭和9年(1934) |
| 構造 | 木造平屋建、鉄板葺、建築面積660㎡ |
| 登録基準 | 国土の歴史的景観に寄与しているもの |
| 所有者 | 公立大学法人秋田公立美術大学 |
| 公開状況 | 大学キャンパス施設として使用(見学は大学へ要確認) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース — 秋田公立美術工芸短期大学大学開放センターギャラリー棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001828
- 文化遺産オンライン — 秋田公立美術工芸短期大学大学開放センターギャラリー棟
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/137598
- 秋田公立美術大学 公式サイト
- https://www.akibi.ac.jp/
最終更新日: 2026.07.08