川がつくった地面の上に
新屋の倉庫列で北から2番目に立つのが実習棟二号棟である。この一帯はかつて湿地で、大正6年から昭和13年まで続いた雄物川改修工事の廃土によって埋め立てられ、平坦な土地となった。
その造成地に、昭和9年、8棟の米穀倉庫が建てられた。二号棟は北端の一号棟のすぐ南に位置し、同じ木造の骨組みと長く低い姿をもつ。
農業倉庫からキャンパスへ
二十世紀の大半、二号棟は米を収めていた。平成2年に農業倉庫としての用途を廃止したのち、秋田市は建物を取り壊さず教育の場へと転じた。
8棟のうち7棟が秋田公立美術工芸短期大学、現在の秋田公立美術大学の前身のキャンパスとなる。平成12年の登録は、この倉庫群を歴史的景観に結びつく文化財として位置づけるもので、重要文化財の指定とは区分が異なる。
二番目の倉庫を近くで見る
各棟はほぼ同じ寸法でつくられており、二号棟は反復する列の一部として目に映る。その反復こそが見どころで、標準化された倉庫が造成地の上に増えていった様子を示す。
壁の足元、埋立地の水平面と木の土台が接するあたりを見ると、線はまったく平らである。建物が建つ前に、まず土地が均されたことがうかがえる。
Q&A
- 二号棟の敷地には何か特徴がありますか。
- 雄物川改修工事の掘削土で湿地を埋め立てた土地に建ちます。地面そのものが大正から昭和の土木事業の産物です。
- 米倉庫としての使用はいつ終わりましたか。
- 平成2年に農業倉庫としての用途を廃止し、その後8棟のうち7棟が美術系短大のキャンパスへ転用されました。
- 登録有形文化財とはどういう意味ですか。
- 歴史的景観への寄与を評価して倉庫群を保護する制度で、重要文化財の「指定」とは区別されます。
- 8棟はすべて同じ形ですか。
- いずれもほぼ同一の寸法と形式で、そのため列が均質に見えます。転用に伴う細部の違いは棟ごとにあります。
基本データ
| 名称 | 秋田公立美術工芸短期大学実習棟二号棟 |
|---|---|
| 所在地 | 秋田県秋田市新屋大川町12-3 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 2000年(平成12)9月26日(登録第25回) |
| 登録番号 | 05-0058 |
| 員数 | 1棟 |
| 年代 | 昭和9年(1934) |
| 構造 | 木造平屋建、鉄板葺、建築面積660㎡ |
| 登録基準 | 国土の歴史的景観に寄与しているもの |
| 所有者 | 公立大学法人秋田公立美術大学 |
| 公開状況 | 大学キャンパス施設として使用(見学は大学へ要確認) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース — 秋田公立美術工芸短期大学実習棟二号棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001825
- 文化遺産オンライン — 秋田公立美術工芸短期大学実習棟二号棟
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/148435
- 秋田公立美術大学 公式サイト
- https://www.akibi.ac.jp/
最終更新日: 2026.07.08