列の北端に立つ倉庫
雄物川の河口に近い秋田市新屋、大川町の一角に、鉄板葺の長大な木造倉庫が南北に並ぶ。その北端に位置するのが実習棟一号棟である。昭和9年(1934)、旧秋田県販売購買組合連合会、のちの秋田経済連が米穀の売渡し操作のために建てた8棟の倉庫群の、最初の1棟にあたる。
各棟の奥行きは約45メートルに及び、鉄板葺の低い屋根が続く。倉庫群の用途はただ一つ、米を収めることであった。北から近づけば、一号棟が最初に目に入る。
国立倉庫から登録文化財へ
昭和14年、この倉庫群は政府に寄付され、「国立新屋倉庫」と改称された。以後、平成2年に用途を廃止するまで、秋田県一帯の米の需給調整を担う公共施設として使われ続けた。
平成12年(2000)、文化庁は8棟を登録有形文化財に登録する。区分は国土の歴史的景観に寄与するものとしての「登録」であり、重要文化財の「指定」や国宝とは制度が別である。北端の一号棟は、この列全体の起点となる。
北の妻面から読む
北側の妻面に立つと、写真では掴みにくい規模が体感できる。長い側壁は南へ一続きの面として退き、棟の上には換気用の越屋根が走る。
内部は木の骨組みがそのまま見え、柱と梁の組み方を目で追える。北から近づくと、8棟の妻面が一つずつ視界に開けていく。
Q&A
- 実習棟一号棟とはどのような建物ですか。
- 昭和9年建設の旧米穀倉庫8棟のうち最北端の1棟で、現在は秋田公立美術大学の実習棟として使われ、登録有形文化財に登録されています。
- 国宝や重要文化財とは違うのですか。
- 異なります。本棟は登録有形文化財で、歴史的景観への寄与を評価して登録される区分です。国宝・重要文化財の「指定」とは制度が別です。
- 内部を見学できますか。
- 現役のキャンパス施設のため自由な立ち入りは制限されます。見学を希望する場合は事前に大学へお問い合わせください。
- なぜこの場所に倉庫が建てられたのですか。
- 雄物川改修工事の掘削土で湿地を埋め立てた土地で、河口に近く鉄道引込線も利用できたため、米の集積地として適していました。
基本データ
| 名称 | 秋田公立美術工芸短期大学実習棟一号棟 |
|---|---|
| 所在地 | 秋田県秋田市新屋大川町12-3 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 2000年(平成12)9月26日(登録第25回) |
| 登録番号 | 05-0057 |
| 員数 | 1棟 |
| 年代 | 昭和9年(1934) |
| 構造 | 木造平屋建、鉄板葺、建築面積660㎡ |
| 登録基準 | 国土の歴史的景観に寄与しているもの |
| 所有者 | 公立大学法人秋田公立美術大学 |
| 公開状況 | 大学キャンパス施設として使用(見学は大学へ要確認) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース — 秋田公立美術工芸短期大学実習棟一号棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001824
- 文化遺産オンライン — 秋田公立美術工芸短期大学実習棟一号棟
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/114704
- 秋田公立美術大学 公式サイト
- https://www.akibi.ac.jp/
最終更新日: 2026.07.08