荒川第四床固工とは
荒川第四床固工は、福島県福島市上名倉字大石前~字玉後の荒川中流域に昭和29年(1954年)に築かれた重力式コンクリート造の床固工で、平成20年(2008年)7月8日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。長さ184メートル、高さ2.7メートルで、表面を谷積の石積で仕上げている。
荒川砂防堰堤群として登録された15基のうち、床固工はこの1基だけである。位置も15基のなかで最も下流にあたり、扇状地の扇頂に立つ地蔵原堰堤より下手の中流域に置かれている。登録番号は07-0102、第60回の登録で、告示は平成20年(2008年)7月23日。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
堰堤ではなく床固工であること
床固工は、川底の高さを固定するために川を横切って築く低い構造物である。文化庁の解説は、荒川第四床固工について、土砂をためる機能は持たず、河床の固定や河床勾配の緩和などに役立つと説明している。
上流の砂防堰堤が堤高10メートル前後の壁で土砂そのものを受け止めるのに対し、荒川第四床固工の高さは2.7メートルにとどまる。役割は、流れが川底を削り下げるのを止め、川の傾きを段差でなだらかにすることにある。そのぶん横には長く、184メートルは荒川砂防堰堤群のなかで最長である。堰堤で最も長い荒川第五堰堤の150メートルをも上回る。
国土交通省福島河川国道事務所は、荒川遊砂地の河道を安定させる施設として、半径3メートルの暗渠9門を備えた第1床固を紹介している。床固工という種類の施設は、時代を変えて今も荒川の治水を担っている。
荒川第五堰堤と同じ角石の工夫
文化庁の解説によれば、荒川第四床固工では、石材が抜け落ちるのを防ぐため、天端の下流側の角石を流れに対して斜めに積んでいる。文化庁はこれを珍しい造りとしている。
同じ工夫は、上流の荒川第五堰堤にも記録されている。2基はともに昭和29年(1954年)の完成で、片や高さ12メートルの堰堤、片や高さ2.7メートルの床固工と規模も役割も異なるが、越流する水が最も強く当たる角の守り方は共通している。同じ年に同じ考え方で角を処理したことが、二つの解説から読み取れる。
表面の谷積は、石を斜めに傾けて互い違いに組む積み方で、石どうしが噛み合って外れにくい。低く長い堤体の全面がこの積み方で覆われている。
荒川第四床固工の見どころと見学
荒川第四床固工は現役の河川施設で、見学料はなく、周辺から外観を眺める形になる。構造物の上に乗ることや河床に降りることはできない。
見どころは、川幅いっぱいに184メートル続く低い段差と、その天端の下流側に並ぶ斜めの角石である。水量の少ない時期には、谷積の面と角石の並びが見えやすい。土湯温泉の周辺に集まる他の堰堤とは離れており、荒川資料室のある荒井地区よりも下流の上名倉にある。
荒川第四床固工の所有者は、文化庁のデータベースにも福島市の文化財一覧にも記載がない。見学用の案内や駐車場の情報も公表されていないため、周辺の道路や農地に立ち入らないよう注意したい。雨の後は増水するので、河原には近づかないこと。荒川資料室と堰堤群への行き方は荒川砂防堰堤群のページにまとめてある。
Q&A
- 荒川第四床固工とは何ですか?
- 川底の高さを固定し、川の傾きを緩めるために荒川を横切って築かれた低い構造物です。土砂をためる砂防堰堤とは役割が異なります。
- 荒川第四床固工はいつ造られ、いつ登録されましたか?
- 昭和29年(1954年)に築かれ、平成20年(2008年)7月8日に国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。
- 荒川第四床固工の大きさはどのくらいですか?
- 長さ184メートル、高さ2.7メートルです。荒川砂防堰堤群の15基のなかで最も長く、表面は谷積の石積です。
- 荒川第四床固工の珍しい造りとは何ですか?
- 天端の下流側の角石を流れに対して斜めに積み、石が抜け落ちるのを防いでいることです。同じ年に完成した荒川第五堰堤にも同じ工夫があります。
- 荒川第四床固工はどこにあり、見学できますか?
- 福島市上名倉の荒川中流域にあり、周辺から外観を見学できます。見学料はかかりませんが、見学用の案内や駐車場の情報は公表されていません。
基本情報
| 名称 | 荒川第四床固工(あらかわだいよんとこがためこう) |
|---|---|
| 所在地 | 福島県福島市上名倉字大石前~字玉後 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成20年(2008年)登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 長さ184メートル、高さ2.7メートル(重力式コンクリート造) |
| 所有者 | 不明(文化庁データベースに記載なし) |
| 公開状況 | 屋外の砂防施設。周辺から外観を見学できる(見学料なし) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)荒川第四床固工
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007171
- 国土交通省東北地方整備局福島河川国道事務所 荒川流域の砂防事業
- https://www.thr.mlit.go.jp/fukushima/sabo/100/110.html
- ふくしまインフラツーリズム(福島県)荒川砂防堰堤群(土木遺産)
- https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/infra/arakawa.html
最終更新日: 2026.10.02