列でいちばん高い、茶のための蔵

小見家住宅(水村園)新蔵は、群馬県高崎市本町の茶舗・水村園の敷地に明治20年(1887年)に建てられた土蔵造2階建の蔵で、平成12年(2000年)12月4日に国の登録有形文化財に登録された。建築面積は23平方メートル。敷地の西側に並ぶ土蔵群のうち、味噌蔵の北に建つ。

規模は桁行3間半、梁行2間。棟を南北に通した切妻造桟瓦葺平入で、東面に観音開きの扉を付ける。文化庁の解説によれば、棟の高さは土蔵群のなかでもっとも高い。

北側の妻壁には前蔵が接して建ち、東には路地をはさんでレンガ蔵が向かい合う。

登録の理由と、壁に造り付けた茶箱

小見家住宅(水村園)新蔵の登録番号は10-0047、登録基準は「再現することが容易でないもの」である。文化庁は種別を商いの建物に分類しており、家の暮らしに寄り添う新座敷・着物蔵・味噌蔵とは役割が分かれる。

評価の核心は内部にある。2階の西と北の2面に、茶箱が造り付けで並んでいる。茶は湿気や匂いを吸いやすく、専用の箱に納めて保管するのが一般的である。その箱を壁と一体につくり込んだ内部は、この蔵が茶の商いのために建てられたことを直接示している。文化庁の解説も、茶舗の歴史を伝える土蔵として貴重だと評価している。

階段は、解説の記述では「現在は」南側の妻壁に取り付けられているという。わざわざ「現在は」と断っていることから、建てられた当初とは階段の位置が違っていた可能性がうかがえる。

小見家住宅(水村園)新蔵の見どころ

外から見るなら、まず棟の高さである。小見家住宅(水村園)新蔵の棟は列のなかで一番高く、南の新座敷から始まった屋根の高まりは、ここで頂点に達する。

北隣の前蔵は梁行が同じ2間でありながら、棟は新蔵より低い。前蔵の入口が引戸の簡素なつくりであるのに対し、新蔵は観音扉を構える。同じ幅の2棟を並べたとき、新蔵のほうに重い構えが与えられていることが分かる。

店の説明によれば、土蔵の茶箱には明治14年(1881年)産の茶葉が保管されてきたという。それがどの蔵の茶箱なのかは公表されていないが、壁一面の茶箱を持つ新蔵は、茶を寝かせて守るという店の仕事がもっともはっきり形になった建物である。

見学方法

小見家住宅(水村園)新蔵は、営業中の茶舗の奥にある私有の蔵で、内部は公開されていない。2階の造り付けの茶箱も、一般に見学できる状態にはない。見学や撮影を希望するときは店に相談したい。

敷地に入ることができた場合は、路地に立って東面の観音扉と、その上に高く伸びる妻の輪郭を見たい。北の前蔵と見比べると、2棟の格の違いが扉と屋根の両方に表れている。

Q&A

Q小見家住宅(水村園)新蔵とはどんな蔵ですか。
A明治20年(1887年)に建てられた土蔵造2階建の蔵です。桁行3間半、梁行2間の切妻造・桟瓦葺・平入で、東面に観音扉を付け、棟は土蔵群のなかで最も高くなっています。
Q小見家住宅(水村園)新蔵はいつ登録有形文化財になりましたか。
A平成12年(2000年)12月4日に登録されました。登録番号は10-0047、登録基準は「再現することが容易でないもの」です。
Q小見家住宅(水村園)新蔵の内部には何がありますか。
A2階の西と北の2面に、茶箱が壁と一体に造り付けられています。文化庁は、茶舗の歴史を伝える土蔵として貴重だと評価しています。
Q小見家住宅(水村園)新蔵と前蔵はどう違いますか。
A梁行はどちらも2間ですが、新蔵のほうが棟が高く、入口も前蔵の引戸に対して観音扉と重い構えです。新蔵は前蔵の南側の妻壁に接して建っています。
Q小見家住宅(水村園)新蔵の内部は見学できますか。
A一般公開はされていません。茶舗の奥にある私有の建物のため、見学や撮影を希望する場合は店に相談してください。

基本データ

名称小見家住宅(水村園)新蔵(こみけじゅうたく(みずむらえん)しんぐら)
所在地群馬県高崎市本町123-1
指定区分国登録有形文化財(建造物) 登録番号10-0047
指定年平成12年(2000年)12月4日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積23平方メートル、桁行3間半・梁行2間
所有者個人
公開状況内部非公開(表の茶舗は営業中)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):小見家住宅(水村園)新蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002005
安政四年創業 茶舗 水村園 公式サイト:水村園の歴史
https://mizumuraen.jp/wp/

最終更新日: 2026.09.24