煉瓦の防火壁から生まれた浴室棟

小見家住宅(水村園)湯殿は、群馬県高崎市本町の茶舗・水村園の敷地に大正中期に建てられた煉瓦造平屋建の浴室棟で、平成12年(2000年)12月4日に国の登録有形文化財に登録された。瓦葺で、建築面積は12平方メートル。8棟のなかでもっとも小さい。

敷地の東辺に沿い、路地をはさんで新座敷と向かい合う位置に建つ。つくりは独特で、隣地との境の塀を兼ねる煉瓦造の防火壁から、西へ長さ1間の煉瓦壁を3枚立て、それを風呂場・ボイラー室・便所の間仕切りとしている。その上に桟瓦葺寄棟造の屋根を架ける。

つまり湯殿は、既にある防火壁を背骨として、そこから枝のように壁を出して部屋をつくった建物である。独立した建物というより、防火壁に寄り添う設備の棟と見るほうが実態に近い。

登録の理由と、フランス積の丁寧な仕事

小見家住宅(水村園)湯殿の登録番号は10-0049、登録基準は「再現することが容易でないもの」である。種別は住まいの建物に分類される。

文化庁が評価しているのは、煉瓦の積み方である。解説は、便益施設でありながらフランス積にするなど丁寧な仕事ぶりがうかがえると述べる。フランス積は、同じ段のなかに煉瓦の長い面(長手)と短い面(小口)を交互に並べる積み方で、表面に長短が市松状に並ぶ。

店の説明によれば、東側の煉瓦では湯殿がフランス積、レンガ蔵がイギリス積と、積み方が使い分けられている。風呂と便所のための小さな建物に、手間のかかる積み方が選ばれていることになる。

間取りにも時代が表れている。ボイラー室を独立して設けていることから、湯を沸かす設備を浴室と切り離して置いていたことが分かる。

小見家住宅(水村園)湯殿の見どころ

小見家住宅(水村園)湯殿でまず見たいのは、壁の表面に現れる煉瓦の並びである。一段のなかで長手と小口が交互に続くフランス積の模様は、近くで見るとすぐに分かる。

次に、同じ東側に建つレンガ蔵の壁と見比べたい。店の説明どおりなら、こちらは長手の段と小口の段が一段おきに重なるイギリス積で、同じ煉瓦でも表情が違う。

路地の向かいには新座敷がある。土と漆喰の座敷蔵と、煉瓦の浴室棟が向き合う配置は、火に備える二つの方法を一つの路地にまとめて見せている。

見学方法

小見家住宅(水村園)湯殿は、営業中の茶舗の奥にある私有の建物で、内部は公開されていない。風呂場と便所のための建物であり、見学や撮影を望むときは必ず店に申し出て相談したい。

敷地に入ることができた場合は、湯殿の煉瓦の目地に顔を近づけて、積み方の模様を確かめてほしい。フランス積の模様は、少し離れるより近づいたほうが読み取りやすい。

Q&A

Q小見家住宅(水村園)湯殿とはどんな建物ですか。
A大正中期に建てられた煉瓦造平屋建の浴室棟です。境界塀を兼ねる煉瓦の防火壁から3枚の煉瓦壁を西へ出し、風呂場・ボイラー室・便所を仕切って寄棟の瓦屋根を架けています。
Q小見家住宅(水村園)湯殿はいつ登録有形文化財になりましたか。
A平成12年(2000年)12月4日に登録されました。登録番号は10-0049、登録基準は「再現することが容易でないもの」です。
Q小見家住宅(水村園)湯殿の煉瓦はどんな積み方ですか。
Aフランス積です。同じ段に煉瓦の長手と小口を交互に並べる積み方で、文化庁は便益施設でありながら丁寧な仕事がされていると評価しています。
Q小見家住宅(水村園)湯殿とレンガ蔵の煉瓦は同じですか。
A店の説明によれば積み方が違い、湯殿はフランス積、レンガ蔵はイギリス積です。同じ敷地の東側で、二つの積み方を見比べることができます。
Q小見家住宅(水村園)湯殿の内部は見学できますか。
A一般公開はされていません。茶舗の奥にある私有の建物のため、見学や撮影を希望する場合は店に相談してください。

基本データ

名称小見家住宅(水村園)湯殿(こみけじゅうたく(みずむらえん)ゆどの)
所在地群馬県高崎市本町123-1
指定区分国登録有形文化財(建造物) 登録番号10-0049
指定年平成12年(2000年)12月4日登録
員数1棟
寸法煉瓦造平屋建、瓦葺(寄棟造)、建築面積12平方メートル
所有者個人
公開状況内部非公開(表の茶舗は営業中)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):小見家住宅(水村園)湯殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002007
安政四年創業 茶舗 水村園 公式サイト:水村園の歴史
https://mizumuraen.jp/wp/

最終更新日: 2026.09.24