白牡丹酒造延宝蔵南端棟とは
白牡丹酒造延宝蔵南端棟は、広島県東広島市西条本町にある江戸中期から後期(1661〜1830年)の土蔵造の酒蔵で、平成29年(2017年)6月28日に登録有形文化財となった。白牡丹酒造が延宝3年(1675年)の創業地とする延宝蔵のなかで、最も古い棟にあたる。
桁行10間、梁間3間の総二階建で、建築面積は115平方メートル。土蔵造の外壁に瓦屋根を載せ、延宝蔵の敷地の西側を一列に画している。内部は1階を一室、2階を二室に分け、小屋組は斜めに架けた登梁で屋根を受ける。昭和中期(1946〜1965年)に改修の手が入っている。
南端棟には延宝3年(1675年)の棟札の写しが残り、島家が酒造りを始めたときの蔵と伝わる。東広島市は建築年代を17世紀末から18世紀前半とみており、文久2年(1862年)の「四日市町並絵図」でもこの位置に「醸造蔵」の書き込みがある。
白牡丹酒造延宝蔵南端棟が登録された理由
登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。登録番号は34-0234で、同じ日に登録された白牡丹酒造の8件のうち最初の番号が付いている。
評価の中心は街路に向いた外観にある。石垣の上に海鼠壁の腰を回し、その上を白い漆喰で塗り上げ、壁の途中に水切瓦を2段通して、小さな窓を数多くあける。軒も漆喰で塗り込めた塗籠とし、木部を外に見せない。文化庁の解説は、この組み合わせを特徴的な外観として挙げている。
もう一つの価値は位置にある。江戸時代の四日市宿では、広島藩に認められた家が街道沿いの主屋の裏に小さな酒蔵を設け、細長い敷地のなかで酒を造っていた。白牡丹酒造延宝蔵南端棟はその奥行き方向に並ぶ蔵の先頭に立ち、宿場町の酒蔵がどういう場所に建っていたかを実物で示す。延宝蔵はこの点を評価され、令和6年(2024年)2月21日に史跡「西条酒蔵群」の構成施設にも加えられた。
見どころ
白牡丹酒造延宝蔵南端棟でまず目に入るのは、壁面を横切る2本の水切瓦の線である。雨水を壁から切り離すための瓦だが、白壁の上に黒い帯が二重に走ることで、総二階の立ちの高い壁面に水平の区切りが生まれている。
足元に目を落とすと、石垣、海鼠壁、漆喰の順に素材が切り替わる。海鼠壁の目地は漆喰を盛り上げて仕上げるので、斜めの光が当たる時間帯には格子の凹凸がはっきり浮かぶ。
小窓の多さも見ておきたい。桁行10間、約18メートルの壁に小さな開口が点々と並び、大きな窓を一つも設けない。開口を小さく抑えるのは土蔵の防火性を保つ定石で、そのうえで数を増やしているところに、蔵として使う側の工夫がうかがえる。
軒先は垂木を見せずに漆喰で包んでいる。軒の出の下側まで白く塗られているので、壁と軒が一続きの量感をもち、少し離れて見ると建物全体が一つの白い箱のように見える。
見学方法
白牡丹酒造延宝蔵南端棟は非公開で、敷地に入ることも内部を見ることもできない。白牡丹酒造は延宝蔵について、建物の老朽化のため原則非公開とし、一般の立ち入りを断っている。東広島市も史跡の構成施設のなかで延宝蔵を非公開施設としている。
文化庁の解説が「街路側」と書くとおり、南端棟は外観の一部が道に面している。見学はその道からの外観に限られる。建物に手を触れたり、敷地に踏み込んだりしないよう注意したい。撮影は公道から外観を撮る範囲にとどめ、蔵の出入りや作業の妨げにならないよう配慮がほしい。
本社展示室の開館日や西条駅からの道順は、白牡丹酒造のグループページにまとめてある。
よくある質問
- 白牡丹酒造延宝蔵南端棟の中に入ることはできますか?
- できません。延宝蔵は老朽化のため原則非公開で、一般の立ち入りは断られています。見学は道から見える外観に限られます。
- 白牡丹酒造延宝蔵南端棟はいつ建てられたのですか?
- 文化庁のデータベースは江戸中期から後期(1661〜1830年)とし、東広島市は17世紀末から18世紀前半とみています。延宝3年(1675年)の棟札の写しが残り、創業時の蔵と伝わります。
- 白牡丹酒造延宝蔵南端棟はいつ登録有形文化財になりましたか?
- 平成29年(2017年)6月28日です。登録番号は34-0234で、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」です。
- 白牡丹酒造延宝蔵南端棟の外観の特徴は何ですか?
- 石垣の上に海鼠壁の腰、上部に白漆喰を塗り、水切瓦を2段通して小窓を多くあけています。軒まで漆喰で塗り込めた塗籠の造りです。
- 白牡丹酒造延宝蔵南端棟は史跡にも含まれていますか?
- 延宝蔵は令和6年(2024年)2月21日に史跡「西条酒蔵群」を構成する4か所の一つとなりました。東広島市はその構成に南端棟を挙げています。
基本データ
| 名称 | 白牡丹酒造延宝蔵南端棟 |
|---|---|
| 所在地 | 広島県東広島市西条本町709 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 2017年(平成29年)6月28日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土蔵造2階建、瓦葺、建築面積115平方メートル |
| 所有者 | 白牡丹酒造株式会社 |
| 公開状況 | 非公開(敷地への立ち入り不可) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 白牡丹酒造延宝蔵南端棟(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011823
- 国指定文化財等データベース 西条酒蔵群(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/401/00004190
- 白牡丹酒造延宝蔵(史跡 西条酒蔵群)(東広島市)
- https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/kyoikuiinkaishogaigakushu/3/11/bunkazai/town/saijo/sakaguragun/39656.html
- 史跡 西条酒蔵群(東広島市)
- https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/kyoikuiinkaishogaigakushu/3/11/bunkazai/town/saijo/sakaguragun/index.html
- 蔵めぐり・見学(白牡丹酒造)
- https://www.hakubotan.co.jp/sakagura/
最終更新日: 2026.09.16