金光酒造門及び塀:広島・黒瀬に息づく酒造りの歴史的景観
広島県東広島市黒瀬町の豊かな自然に囲まれた場所に、地域唯一の酒蔵として140年以上の歴史を刻む金光酒造があります。その敷地の東側に佇む「門及び塀」は、2020年(令和2年)4月に国の登録有形文化財として登録された貴重な建造物です。酒蔵の正面玄関を飾るこの門と塀は、単なる境界構造物ではなく、金光家が代々受け継いできた酒造りの伝統と地域の歴史的景観を今に伝える文化遺産です。
金光酒造の歩み
金光酒造は1880年(明治13年)に創業し、「賀茂の露」「鬼酔」「桜吹雪」などの銘柄で酒造りを行ってきました。長年にわたりメインブランドとして親しまれてきた「桜吹雪」は、地域の人々に愛され続けています。
転機が訪れたのは2003年(平成15年)のことでした。5代目当主・金光秀起氏が、均一的な酒質しか生み出せない自動プラントでの製造をやめ、社員蔵人による手造りへの回帰を決断。地元「賀茂」の地名と自身の名前から「金」と「秀」の字を取り、新銘柄「賀茂金秀」を立ち上げました。「フレッシュ&ジューシー」をコンセプトに、敷地内の井戸から湧く中硬水と徹底した低温管理のもとで醸される酒は、2009年の全国新酒鑑評会での金賞受賞をはじめ、数多くの品評会で高い評価を獲得しています。
なぜ登録有形文化財に登録されたのか
金光酒造門及び塀は、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という登録基準のもと、登録有形文化財として認められました。2020年4月3日には、門及び塀をはじめ、離れ、瓶詰所、包装所、仕込蔵、貯蔵蔵、井戸小屋、煙突の合計8棟が一括して登録されています。
門及び塀が文化財として評価された背景には、いくつかの重要な意義があります。まず、主屋から東側に延びる門と塀は、酒蔵の敷地を画する重要な構造物として、敷地全体の歴史的な佇まいを形成しています。隣接する井戸小屋とも一体となり、酒造りに不可欠な水源施設を囲い込む機能的な役割も果たしています。さらに、農村部における酒造家の格式と伝統を示す建造物として、地域の歴史的景観に大きく貢献しています。
見どころと建築的特徴
門は伝統的な木造建築で、丁寧に組まれた木造の骨組みと瓦屋根が特徴です。周囲の蔵や建物と調和するよう設計されており、広島地方の地域建築の特色をよく伝えています。門から続く塀は敷地の東側を囲み、酒造りに欠かせない井戸を保護する井戸小屋と接続しています。
酒蔵の全景を見渡すと、レンガ造りの四角い煙突がそびえ立ち、大きな仕込蔵が中心に構え、そしてこの門と塀が優美に敷地を画しています。国道沿いから眺めることができるこの景観は、明治時代から続く酒造業の文化を今日に伝える貴重な歴史的風景です。
金光酒造の酒造り
門と塀が歴史的景観を形成する一方で、その内側では今も生き生きとした酒造りが行われています。門及び塀に隣接する井戸小屋の井戸から汲み上げられる中硬水は、酒造りに最適な水質を持ち、金光酒造の酒の味わいの基盤となっています。
代表銘柄「賀茂金秀」は、赤磐雄町をはじめとする厳選された酒米を使用し、搾りたてから低温で熟成させることで、新鮮な果実のような香りとみずみずしい味わいを実現しています。また、伝統銘柄「桜吹雪」も根強い人気を誇ります。レモンやイチゴを使ったリキュールも製造しており、日本酒以外の楽しみ方も提案しています。
蔵元直売所のご案内
金光酒造の敷地内には蔵元直売所があり、「賀茂金秀」「桜吹雪」をはじめ、季節限定のお酒やリキュールなど、ほぼ全種類の製品を購入することができます。なお、金光酒造はインターネット販売を行っていないため、直売所でしか手に入らない商品も多数あります。店内では全ての日本酒が冷蔵保存されており、品質へのこだわりが感じられます。
なお、登録有形文化財の建物群(門及び塀を含む)は会社の建物および個人宅の一部となっているため、一般の方への内部公開や見学は行われていません。外観は国道沿いから鑑賞することができます。
周辺情報
金光酒造がある黒瀬町は、東広島市の南部に位置する自然豊かな地域です。日本三大銘醸地のひとつに数えられる西条の酒蔵通りまでは車で約20分。賀茂鶴酒造をはじめとする7つの酒蔵が連なる酒蔵通りでは、蔵見学や試飲を楽しむことができます。
広島空港からは車で約20分とアクセスも良好です。JR山陽本線西条駅から黒瀬方面へのバスを利用する場合は「西門前」バス停で下車。JR山陽新幹線東広島駅からはタクシーで約15分です。瀬戸内海方面へ足を延ばせば、呉市の大和ミュージアムや、とびしま海道のサイクリングなども楽しめます。
Q&A
- 登録有形文化財の建物の内部を見学できますか?
- 門及び塀を含む登録有形文化財の建物は、現役の酒蔵および個人宅の一部であるため、一般公開や見学は行われておりません。外観は国道沿いからご覧いただけます。また、敷地内の蔵元直売所にはお立ち寄りいただけます。
- 金光酒造へのアクセス方法は?
- お車の場合は、山陽自動車道「高屋」JCTより東広島呉道路に入り、「馬木」ICで下りて国道375号線を呉方面へ約10分です。公共交通機関の場合は、JR山陽本線「西条」駅より黒瀬方面行きのバスに乗り「西門前」で下車。JR山陽新幹線「東広島」駅からはタクシーで約15分です。
- 金光酒造のお酒はどこで購入できますか?
- 蔵元直売所(営業時間10:00〜17:15、日曜・祝日・お盆・年末年始休業)でほぼ全種類のお酒を購入できます。インターネット販売は行っておりませんが、全国の特約酒販店でもお取り扱いがあります。詳しくは公式サイトのショップリストをご確認ください。
- 登録有形文化財にはどのような建物が含まれていますか?
- 2020年(令和2年)4月3日に、離れ・瓶詰所・包装所・仕込蔵・貯蔵蔵・井戸小屋・門及び塀・煙突の合計8棟が国の登録有形文化財(建造物)として登録されました。いずれも酒造業の文化を体現する歴史的建造物です。
基本情報
| 名称 | 金光酒造門及び塀(かねみつしゅぞうもんおよびへい) |
|---|---|
| 文化財種別 | 登録有形文化財(建造物) |
| 登録年月日 | 2020年(令和2年)4月3日 |
| 登録基準 | 国土の歴史的景観に寄与しているもの |
| 所在地 | 広島県東広島市黒瀬町乃美尾字東門前1364-2 |
| 創業 | 1880年(明治13年) |
| 所有者 | 株式会社金光酒造 |
| 直売所営業時間 | 10:00〜17:15(定休日:日曜・祝日・お盆・年末年始) |
| 電話番号 | 0823-82-2006 |
| 公式サイト | https://www.kamokin.com/ |
参考文献
- 登録有形文化財 — 株式会社金光酒造 Gallery
- https://www.kamokin.com/gallery/gallery_b.html
- 金光酒造|東広島おでかけ観光サイト「ヒガシル」
- https://higashihiroshima-kanko.jp/spot/kanemitsu/
- 広島県・黒瀬町《金光酒造》— Discover Japan
- https://discoverjapan-web.com/article/80169
- 金光酒造井戸小屋 — 文化遺産オンライン
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/378407
- 株式会社金光酒造 — Company
- https://www.kamokin.com/about_us/company.html
- 実は黒瀬にも酒蔵が!「恋のしずく」登場酒も造った「金光酒造」へ — 東広島まるひネット
- https://hhhitomusubi.net/kanemitsushuzo/
最終更新日: 2026.03.24