棟梁の名を記す三階建の蔵

主屋の北方に、文庫蔵が東西棟で建つ。主屋西北隅の蔵前座敷に戸口を開く。桁行3間半、梁間2間半ほどの規模で、切妻造、桟瓦葺、建築面積は約29平方メートルの黒漆喰塗の3階建土蔵である。

東面の2階・3階に窓を開き、西面には3段の水切を付ける。

誰が、いつ建てたか

平成16年(2004年)7月、再現することが容易でないものとして登録された(登録番号08-0138)。文庫蔵の地棟には墨書があり、建設の年代とともに、棟梁「廣原文次郎」、左官「山口朝之助」といった職人の名が記される。

建物を起こした手の名を記す例は珍しく、この墨書からこの蔵が明治27年(1894年)の建築と判明する。

黒漆喰と三階建

3階建の土蔵そのものが珍しい。艶のある黒漆喰をまとい、西面を水切で段に刻んだこの蔵は、書類や貴重品を火と湿気から守るために建てられた。

墨書は、名もなき蔵となりかねない建物を、年代と作り手の判る一棟へと変える。黒の仕上げは、屋敷の白漆喰の蔵とは趣を分かつ。

よくある質問

Q文庫蔵とは何ですか。
A書類や貴重品を火や湿気から守って納めるための蔵です。
Q何階建てですか。
A3階建で、この種の蔵としては珍しい高さです。
Qいつ、誰が建てましたか。
A明治27年(1894年)築で、地棟の墨書に棟梁の廣原文次郎、左官の山口朝之助の名が記されます。
Q黒い仕上げは何ですか。
A黒漆喰塗で、艶のある仕上げです。近くの白漆喰の蔵とは趣が異なります。
Q西面の段は何ですか。
A3段の水切で、雨水を壁から離して流すための突出した段です。

基本情報

名称府中誉文庫蔵(ふちゅうほまれぶんこぐら)
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録番号08-0138
登録年月日平成16年(2004年)7月23日(告示8月17日)
時代・年代明治27年(1894年)
構造及び形式土蔵造3階建、黒漆喰塗、瓦葺
建築面積約29平方メートル
員数1棟
所有者府中誉株式会社
所在地茨城県石岡市国府5-9-32
公開状況稼働中の酒蔵。見学は事前問い合わせ

参考文献

Agency for Cultural Affairs, National Database of Designated Cultural Properties
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004205
Fuchu Homare Co., Ltd. (official site)
https://www.huchuhomare.com/

最終更新日: 2026.06.25