川と平行に据えられた発電機室
石岡第二発電所本館は、茨城県北茨城市中郷町石岡69-1にある鉄筋コンクリート造平屋建の発電所建築で、大正2年(1913年)の建設、平成18年(2006年)8月3日に登録有形文化財となった。
大北川に面する敷地に、長手を川と平行にして建つ。桁行18メートル、梁間10メートル、建築面積175平方メートル。屋根は切妻造の鉄板葺で、これを受ける小屋組はフィンクトラスである。中央から斜材が扇状に分かれる形式で、細い部材のまま広い梁間を渡せる。
鉄筋コンクリートが日本の現場に入ってきてまだ間もない頃に打たれた建物であり、石岡第二発電所本館は我が国初期の鉄筋コンクリート造建築物に数えられる。上流にある石岡第一発電所の本館を小さくまとめた造りで、構成をそのまま縮めた関係にある。
装飾の役目を果たしている窓
石岡第二発電所本館の平側には、上部を欠円アーチ形で閉じた縦長の大窓が並ぶ。半円ではなく、円の一部を切り取った浅い弧である。壁面に繰り返されることで一定のリズムが生まれ、立面はほとんどそれだけで成り立っている。他に目を引く要素は置かれていない。
理由は実用にある。発電機室には機械の据わる床面まで届く採光が要り、しかも均質でなければならない。朝9時に計器を読む人と夕方に読む人が同じように見えなければ困る。耐力壁に大きな開口を取ればアーチ形の頭部が必要になり、扁平な欠円形にすれば壁を高くせずに開口の高さを稼げる。
妻面の扱いはこれと違う。トラスが壁に取り付く高さに丸窓が開いている。構造上の言い訳がまったく立たない形で、この建物のなかで唯一、そうしたかったから置かれた要素である。
登録の理由
石岡第二発電所本館の登録番号は第51回登録の第08-0218号、基準は国土の歴史的景観に寄与しているもの。平成18年(2006年)の同じ日に、水路の最上流にある取水堰堤から末端のこの建物まで、発電所の6件が登録された。
建物だけを切り出さず一連の流れごと登録したことは妥当な判断だった。発電所本館は単体で見れば機械の入った小屋にすぎない。意味を与えているのは、水を戸口まで運んでくる750メートルの水路、沈砂池、水槽、そして鉄管のほうである。登録有形文化財として守られることで、この建物は設計されたとおりの働く建物であり続けられる。いまは常駐者を置かず、遠隔で運転されている。
石岡第二発電所本館の見学
登録された6件のうち、もっとも見やすいのが石岡第二発電所本館である。県道の脇に建っているため、妻面と窓の並ぶ壁の一部は公道から無理なく眺められる。内部の公開はない。敷地は東京発電株式会社の所有で、駐車帯も解説板もなく、常駐の職員もいない。
最寄りのJR常磐線南中郷駅からは約5キロ、車でおよそ15分。石岡地区に路線バスは入っていない。道路脇からの撮影に問題はないが、道幅が狭く路肩も乏しいため、他の文化財より車の停め方に気を遣う場所である。窓の並ぶ壁面に光が回るのは午前中が良い。
北茨城市は毎年秋に文化財を公開しており、上流の石岡第一発電所が事前申込制で、抽選により対象になった年もある。石岡第二発電所本館はこの公開に登場していないため、内部を見られる前提で計画しないほうがよい。その年の一覧は市教育委員会生涯学習課が案内している。
Q&A
- 石岡第二発電所本館の内部は見学できますか。
- できません。東京発電株式会社が所有する稼働中の発電機室で、一般公開はありません。外観は敷地脇を通る県道から見ることができます。
- 石岡第二発電所本館はどれくらいの大きさですか。
- 桁行18メートル、梁間10メートル、建築面積175平方メートルです。鉄筋コンクリート造平屋建で、切妻の鉄板葺屋根をフィンクトラスが支えています。
- 石岡第二発電所本館の窓はどのような形ですか。
- 上部を欠円アーチ形で閉じた縦長の大窓で、機械の据わる床を均質に照らすため平側に連続して並びます。妻面にはそれぞれ丸窓が開いています。
- 石岡第二発電所本館では今も発電していますか。
- しています。大正3年(1914年)に発電を始め、現在も常駐者を置かない形で運転が続いています。所有者は登録された構造物を補修しながら現役で使っています。
- 石岡第二発電所本館へはどう行きますか。
- 車になります。JR常磐線の南中郷駅から約5キロ、およそ15分です。地区に路線バスは通っていません。
基本情報
| 名称 | 石岡第二発電所本館(Ishioka No. 2 Power Station Main Building) |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県北茨城市中郷町石岡69-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成18年(2006年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 桁行18メートル、梁間10メートル、建築面積175平方メートル |
| 所有者 | 東京発電株式会社 |
| 公開状況 | 敷地脇の県道からの外観見学のみ。稼働中の発電施設のため内部は非公開。 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 石岡第二発電所本館(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005554
- いばらきの文化財 石岡第二発電所本館(茨城県教育委員会)
- https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-6112/
- 有形文化財(東京発電株式会社)
- https://tokyohatsuden.co.jp/csr/cultural_property/
- 令和8年度北茨城市文化財公開 集中曝涼の開催のお知らせ(北茨城市)
- https://www.city.kitaibaraki.lg.jp/docs/2026080600013
最終更新日: 2026.09.05