重要文化財「金刀比羅宮」とは

重要文化財「金刀比羅宮」は、香川県仲多度郡琴平町の金刀比羅宮で、石段785段目の本宮地域に建つ明治11年(1878年)完成の御本宮など社殿12棟をまとめた指定名で、令和6年(2024年)8月15日に重要文化財に指定された。

12棟の中心は、明治10年(1877年)に上棟し翌年に正遷宮を迎えた御本宮の本殿・中殿・拝殿である。南渡殿の先には御別宮の本殿・中殿・拝殿が建ち、両宮はそれぞれ神饌殿と直所を備える。両宮をつなぐ南渡殿のほか、祓除殿・神楽殿・御炊舎・神輿庫・神庫が加わる。建物はいずれも金刀比羅宮が所有している。

金刀比羅宮の中で国の文化財になっている建物はほかにもあり、表書院及び四脚門・奥書院・旭社はそれぞれ別の指定である。このページが扱うのは、山上の本宮地域にある12棟である。

金刀比羅宮12棟の構成と年代

文化庁の国指定文化財等データベースによる各棟の年代と形式は次のとおりである。建築面積は小数点以下を省いた。

  • 本宮本殿・中殿・拝殿:明治10年(1877年)。拝殿は建築面積142㎡の入母屋造で、正面と背面に千鳥破風、両側面と正面に軒唐破風を付ける
  • 本宮神饌殿:明治8年(1875年)。入母屋造、北渡殿付き
  • 本宮直所:明治11年(1878年)。入母屋造、渡廊下付き
  • 別宮本殿・中殿・拝殿:明治8年(1875年)。本殿は隅木入春日造
  • 別宮神饌殿:明治8年(1875年)。入母屋造
  • 別宮直所:明治8年(1875年)。入母屋造
  • 祓除殿:明治11年(1878年)。建築面積41㎡の入母屋造
  • 南渡殿:明治11年(1878年)。建築面積72㎡の両下造
  • 神楽殿:明治11年(1878年)。平成15年(2003年)に移築
  • 御炊舎:明治7年(1874年)。切妻造、本瓦葺
  • 神輿庫:宝暦11年(1761年)の土蔵造で、明治7年(1874年)に移築
  • 神庫:安政4年(1857年)の土蔵造二階建で、明治前期に移築

神輿庫と御炊舎、神庫を除く9棟の屋根は檜皮葺である。神輿庫と神庫は江戸時代の土蔵を明治の境内整備のときに移したもので、12棟の中では古い。

金刀比羅宮12棟が重要文化財に指定された理由

江戸時代の金刀比羅宮は金毘羅大権現と呼ばれ、仏教色の濃い霊場だった。明治の神仏分離で権現号を廃して神社として再出発すると、組織の組み替えにあわせて山上の境内も造り直された。12棟はその結果である。

文化庁の解説は、御本宮について、仏教的な要素を排して素木を用い、壁や天井に木地蒔絵を施した複合社殿であり、細部に独特の意匠をもつと評価する。本殿へ向かって床と天井を段々に高める構成と、破風を重ねた屋根が、荘重で格式の高い姿をつくっている。御別宮も御本宮に次ぐ格式で、神饌殿と直所を備える点が共通する。

配置にも特色がある。長大な南渡殿が両宮を結ぶ形は他に例が少なく、神楽殿や御炊舎などの諸殿舎とあわせて、優れた社頭の景観をつくっている。文化庁は、これらが神仏分離による境内改編の様子を伝える点で歴史的価値が高いとし、指定基準には「意匠的に優秀なもの」と「歴史的価値の高いもの」の二つが挙げられた。

金刀比羅宮は、総檜の素木造りに丸金の神紋、各種の錺金物、蒔絵装飾を組み合わせた明治の社殿様式を、先人が仏教的要素を除く苦心の末に生み出したものと説明している。

金刀比羅宮12棟の見どころ

御前四段坂を上りきると、正面に御本宮の拝殿が現れる。彩色をしない檜の柱と、檜皮葺の屋根に重なる千鳥破風と軒唐破風が、この社殿の格式を外からも伝えている。拝殿の背後には中殿と本殿が続き、屋根が奥へ向かって重なっていく。

御本宮からは南渡殿が延びて御別宮へ続く。建築面積は72平方メートルあり、両下造の屋根が長く連なる姿は、12棟をひとまとまりの境内として見るときの軸になる。御本宮前の広場は展望台になっていて、讃岐平野の向こうに瀬戸大橋や讃岐富士を見渡せる。

金刀比羅宮12棟の見学方法

12棟は御本宮周辺の境内に建ち、参拝時間内であれば外観を無料で見られる。御本宮は表参道の785段目、海抜251メートルにあり、旭社から先は賢木門を経て133段の御前四段坂を上る。参拝は拝殿の前で行う。

本殿と中殿は拝殿の背後にあり、壁や天井の木地蒔絵は社殿の内部に施されている。参拝者が外から見られるのは、主に屋根と軒まわりの意匠である。例祭(10月9日〜11日)などの祭典の日は御本宮周辺が混み合う。境内への行き方と参拝時間は、金刀比羅宮のページにまとめてある。

Q&A

Q重要文化財の金刀比羅宮12棟にはどの建物が含まれますか?
A御本宮(本殿・中殿・拝殿)、本宮神饌殿、本宮直所、御別宮(本殿・中殿・拝殿)、別宮神饌殿、別宮直所、祓除殿、南渡殿、神楽殿、御炊舎、神輿庫、神庫の12棟です。
Q金刀比羅宮の御本宮はいつ重要文化財に指定されましたか?
A令和6年(2024年)8月15日に、周辺の社殿とあわせた12棟が重要文化財に指定されました。同年5月17日に文化審議会が答申していました。
Q金刀比羅宮の御本宮はいつ建てられましたか?
A本殿・中殿・拝殿は明治10年(1877年)に上棟し、明治11年(1878年)に正遷宮を迎えました。12棟の多くは明治7年から11年(1874〜1878年)に整えられています。
Q金刀比羅宮の御本宮はなぜ色を塗らない白木なのですか?
A明治の神仏分離で金毘羅大権現から神社に改めた際、仏教的な要素を除き、総檜の素木造りに神紋や錺金物、蒔絵を組み合わせた社殿として建て直したためです。
Q金刀比羅宮12棟の内部は見学できますか?
A社殿の内部を見学として公開する案内はありません。参拝は拝殿の前で行い、外観は参拝時間内に無料で見られます。

基本情報

名称金刀比羅宮(ことひらぐう)本宮本殿・中殿・拝殿ほか
所在地香川県仲多度郡琴平町(金刀比羅宮境内、本宮地域)
指定区分重要文化財(建造物)
指定年令和6年(2024年)
員数12棟
寸法本宮拝殿 建築面積142.41㎡、本宮本殿 39.01㎡、南渡殿 72.41㎡ほか
所有者宗教法人金刀比羅宮
公開状況外観は参拝時間内に無料で見学可。社殿内部は非公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):金刀比羅宮 本宮本殿・中殿・拝殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005593
国指定文化財等データベース(文化庁):金刀比羅宮 南渡殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005600
国指定文化財等データベース(文化庁):金刀比羅宮 神輿庫
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005603
国指定文化財等データベース(文化庁):金刀比羅宮 神庫
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005604
文化遺産オンライン:金刀比羅宮 本宮本殿・中殿・拝殿
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/564638
金刀比羅宮:御本宮など国の重要文化財に指定
https://www.konpira.or.jp/articles_2024/20240518_important-cultural-propertys/article.html
金刀比羅宮:参拝ガイド 御本宮編
https://www.konpira.or.jp/articles/20200616_guide/article.htm
香川県観光協会 うどん県旅ネット:参拝ガイド 参拝編
https://www.my-kagawa.jp/konpira/feature/kotohiragu/guide3

最終更新日: 2026.10.02

同エリアの文化財

いずれも同じエリアの徒歩圏内にあるので、あわせての見学がおすすめです。

  1. 金刀比羅宮 祓除殿 0.00 km
  2. 金刀比羅宮 別宮直所 0.01 km
  3. 金刀比羅宮 別宮本殿・中殿・拝殿 0.01 km
  4. 金刀比羅宮 別宮神饌殿 0.02 km
  5. 金刀比羅宮 御炊舎 0.04 km
  6. 金刀比羅宮 神輿庫 0.04 km
  7. 金刀比羅宮 神庫 0.05 km
  8. 金刀比羅宮 南渡殿 0.05 km
  9. 金刀比羅宮 本宮直所 0.07 km
  10. 金刀比羅宮 神楽殿 0.07 km
  11. 金刀比羅宮 本宮本殿・中殿・拝殿 0.08 km
  12. 金刀比羅宮 本宮神饌殿 0.10 km