漆原家住宅とは
漆原家住宅(うるしはらけじゅうたく)は、香川県高松市三谷町にある郷士の屋敷で、江戸後期(1751年から1830年)の主屋・長屋門・土塀から明治期の土蔵・納屋・湯殿まで8件が、令和5年(2023年)2月27日に登録有形文化財となった。
讃岐平野の南の縁、田畑の広がる一帯に、長い漆喰塗りの土塀で囲まれた約7,000平方メートルの敷地がある。香川県教育委員会の文化財専門員が2023年に寄せた記事によると、漆原家は細川家に仕えた武士の家系とされ、讃岐へ移って川原村の漆原という地区に住んだことから、その地名を姓にしたと伝わる。
一族の大本家は通谷にあった。6代目への代替わりの際、その弟が延享4年(1747年)に西三谷へ移り、これが現在の漆原家の始まりとされる。当主は9代目にあたる。江戸時代には郷士の身分にあり、ふだんは庄屋として農業を営み、高松藩に事があれば兵役も担ったという。屋敷の瓦に藩の御用瓦師の刻印があるのは、藩とのつながりを示すものと説明されている。
本家筋の暮らしについては、高松市歴史資料館が平成25年度(2013年度)に収蔵品展「大本家漆原の調度と生活」を開いている。
登録された8件と年代
漆原家住宅の8件は、同じ日にまとめて原簿に載った。登録番号は37-0477から37-0484まで連番で、登録基準はいずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁のデータベースが示す年代は次のとおり。
- 主屋:江戸後期、明治35年(1902年)ごろと昭和中期に改修
- 長屋門:江戸後期、明治前期に改修
- 土塀:江戸後期
- 土蔵:明治前期(1868年から1882年)、昭和後期に改修
- 水肥納屋:明治前期
- 木納屋:明治前期
- 中門及び袖塀:明治中期(1883年から1897年)
- 湯殿:明治35年(1902年)ごろ
屋敷の骨格にあたる主屋・長屋門・土塀が江戸後期にでき、明治に入ってから蔵や納屋、客をもてなす湯殿が順に加わった、という重なり方が読み取れる。主屋の改修と湯殿の建築がともに明治35年(1902年)ごろとされている点も目を引く。
登録された8件のほかにも、井戸屋や屋外の便所、修繕用の足場材をしまう小屋、敷地内の水路などが残り、屋敷の中の暮らしをよく伝えている。
屋敷の構え
漆原家住宅の敷地は、東・北・西の三方と南面の西半分を延長262メートルの土塀が囲み、三方の外側には堀がめぐる。南面の中央に長屋門が開き、その東に水肥納屋、南東の角に木納屋が並んで、通りに向いた外郭をつくる。水肥納屋も木納屋も、通り側には窓を開けていない。
長屋門をくぐると、正面の主屋に向かってまっすぐ石が敷かれている。その左手、つまり西側には、主屋の式台から長屋門までを結ぶ中門と袖塀が立ち、表の出入口側と座敷の庭とを分ける。
主屋は南を向き、東半分が土間、西寄りが座敷である。座敷の西には濡れ縁伝いに客用の湯殿があり、敷地の北寄りには土蔵が東西に長く建つ。土蔵の東半分は主屋の土間側に、西半分は座敷側に口を開けており、家の表と奥の使い分けが蔵にまで及んでいる。
見学と行き方
漆原家住宅は現在も漆原家が暮らす個人の住まいで、一般には公開されていない。令和8年(2026年)9月28日の時点で、定期的な公開日や見学の受付は公表されていない。敷地の中へは入らず、所有者と近隣の暮らしに配慮して、外の道から眺めるにとどめたい。
外から目に入るのは、南面の長屋門・水肥納屋・木納屋が連なる表構えと、堀に沿って続く土塀である。
所在地は高松市三谷町字西三谷東で、ことでん琴平線の仏生山駅から東へ直線でおよそ2キロの田園地帯にある。見学施設ではないため、駐車場や受付の案内は出ていない。
参考文献
- 国指定文化財等データベース 漆原家住宅主屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014524
- 国指定文化財等データベース 漆原家住宅長屋門(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014527
- 国指定文化財等データベース 漆原家住宅土塀(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014531
- 国指定文化財等データベース 漆原家住宅土蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014526
- 国指定文化財等データベース 漆原家住宅水肥納屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014528
- 国指定文化財等データベース 漆原家住宅木納屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014529
- 国指定文化財等データベース 漆原家住宅中門及び袖塀(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014530
- 国指定文化財等データベース 漆原家住宅湯殿(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014525
- 香川県内の登録有形文化財(香川県教育委員会)
- https://www.pref.kagawa.lg.jp/kenkyoui/shogaigakushu/bunkazai/culturalassets/culturalassets_16.html
- 讃岐一景を訪ねて vol.01(IKUNAS stories、石田真弥・香川県教育委員会文化財専門員)
- https://tao1361.xbiz.jp/story/9866.html
- 高松市歴史資料館 過去の展示一覧(高松市)
- https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/kosodate/bunka/rekishi/rekishi_kako_tenji.html
最終更新日: 2026.09.27
基本情報
| 名称 | 漆原家住宅 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県高松市三谷町字西三谷東1377-1 |
| 所有者 | 個人 |
| 指定 | 登録有形文化財 8件 |
| 座標 | 34.28071, 134.06425 |