仕込蔵として建てられた平屋の土蔵

松尾酒造西酒蔵は、高知県香美市土佐山田町西本町の松尾酒造に建つ明治初期の土蔵造平屋建の酒蔵で、平成15年(2003年)7月1日に国の登録有形文化財に登録された。仕込蔵として建設され、建築面積は113平方メートルある。

松尾酒造の6件のうち、北酒蔵とともに明治初期とされる2棟の一つで、北酒蔵の西南方、敷地の内側に棟を東西に通して建つ。道路に面した他の蔵とは違い、敷地の奥にまとまった平屋である。

白壁に2段めぐる水切り瓦

規模は桁行8間・梁間4間。1間を約1.82メートルとすれば、およそ14.5メートル×7.3メートルの平面になる。屋根は切妻造の桟瓦葺、外装は白い漆喰塗である。

松尾酒造西酒蔵を特徴づけるのは、壁に2段にめぐらせた水切り瓦である。白壁の途中に瓦の小さな庇を横一線に差し出し、壁を伝い落ちる雨水をそこで切る。文化庁の解説はこれを土佐に特有のものとして挙げている。

水切り瓦が1段なら壁面は上下に二分されるが、2段あると三つに分かれる。平屋の低い蔵でも、白い面に瓦の水平線が重なり、壁の高さ以上に段の多い立面に見える。

6件で唯一の「造形の規範」

松尾酒造西酒蔵の登録番号は39-0077。登録基準は「造形の規範となっているもの」で、ほかの5件がそろって「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で登録されたなかで、この1棟だけが別の基準に拠っている。

景観への寄与ではなく造形が評価の軸になったのは、水切り瓦を2段にまわした壁の造りそのものが見どころとされたためと読める。文化庁が解説のなかで「特徴」と明記しているのも、この2段の水切り瓦である。

文化庁の解説には、登録の時点で西酒蔵を「松翁酒造りとくらしの資料室」としていると記されている。明治初期に仕込みのために建てられた蔵が、酒造りと暮らしの道具を見せる場所に役目を移していたことになる。

松尾酒造西酒蔵の見学

松尾酒造西酒蔵は敷地の内側に建ち、文化庁の解説でも道路に面するとはされていない。外から眺めるのは難しいと考え、蔵元の蔵見学(平日の予約制)で見ることを前提にしたい。

資料室としての公開が現在も続いているかどうかは、蔵元と「こうち旅ネット」の案内では確認できなかった。申し込みの際に、松尾酒造西酒蔵の資料室を見られるか、壁の水切り瓦を外から見られる位置まで案内してもらえるかを尋ねるとよい。撮影の可否もあわせて確かめてほしい。

Q&A

Q松尾酒造西酒蔵は何のための蔵ですか?
A仕込蔵として建設された明治初期の土蔵造平屋建の酒蔵です。登録時には「松翁酒造りとくらしの資料室」とされていました。
Q松尾酒造西酒蔵の見どころは?
A白漆喰塗の壁に2段にめぐらせた水切り瓦です。文化庁は土佐に特有のものとして紹介しています。
Q松尾酒造西酒蔵の大きさはどれくらいですか?
A桁行8間・梁間4間で、1間を約1.82メートルとするとおよそ14.5メートル×7.3メートルです。建築面積は113平方メートルあります。
Q松尾酒造西酒蔵は道路から見えますか?
A敷地の内側に建ち、道路に面するとはされていません。見るには蔵元の蔵見学(平日、希望日の1週間前までに電話で予約)に参加するのが確実です。
Q松尾酒造西酒蔵はなぜ登録有形文化財なのですか?
A平成15年(2003年)7月1日に「造形の規範となっているもの」として登録されました。松尾酒造の6件でこの基準による登録はこの1棟だけで、登録番号は39-0077です。

基本情報

名称松尾酒造西酒蔵(まつおしゅぞうにしさかぐら)
所在地高知県香美市土佐山田町西本町5-1
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号39-0077
指定年平成15年(2003年)7月1日登録
員数1棟
寸法土蔵造平屋建、切妻造、桟瓦葺、桁行8間・梁間4間、建築面積113平方メートル
所有者松尾酒造株式会社
公開状況敷地内のため外からは見えにくい。蔵元の蔵見学(予約制)で要確認

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):松尾酒造西酒蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003474
文化遺産オンライン:松尾酒造西酒蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/116354
こうち旅ネット(高知県観光コンベンション協会):松尾酒造株式会社
https://kochi-tabi.jp/search_spot.html?id=16498

最終更新日: 2026.09.27