和風の外観に洋風の内装を収めた小建物

溝手家住宅ビリヤード場(みぞてけじゅうたくびりやーどじょう)は、岡山県都窪郡早島町の豪農溝手家の屋敷にある昭和11年(1936年)建築の洋風の遊戯室で、令和3年(2021年)に登録有形文化財に登録された。

主屋の北、一号蔵との間に建つ木造平屋建の瓦葺で、建築面積は40平方メートル。江戸時代からの茅葺の主屋と土蔵が並ぶ屋敷に、昭和初期になって加えられた娯楽のための建物である。

登録の理由:10棟のうち唯一の「造形の規範」

溝手家住宅の10棟のうち、9棟は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。溝手家住宅ビリヤード場だけは、登録番号33-0339として「造形の規範となっているもの」の基準が適用されている。

文化庁の解説は、溝手家住宅ビリヤード場を良質な内装を持つ洋風の小建物と評し、文化審議会の答申は、和風の外観ながら内部は本格的な洋風の設えを持つと記す。景観の一部としてではなく、建物それ自体の出来が評価されたことになる。

見どころ:寄木の床とキューラック

外壁は漆喰塗で、腰を縦板張とする。外から見る限りは屋敷のほかの付属屋と変わらない和風の小屋である。

東側は前室で、南面に戸口を開き、東の妻壁には出窓を設ける。主室に入ると印象は一変する。床は寄木張、内壁はクロス張で腰に羽目板を回し、漆喰の天井の周囲には蛇腹(天井と壁の境をめぐる繰形)を付ける。

主室の西の壁には、キューを立てるラックと得点盤が備え付けられている。遊ぶための道具が壁の造作として残っている点に、溝手家住宅ビリヤード場が単なる洋間ではなく、ビリヤードのための部屋として設計されたことが表れている。

見学方法

溝手家住宅ビリヤード場は主屋の北、敷地の内側にあり、道路から見ることはできない。個人の住宅の一部で、内部も公開されていない。

寄木の床や得点盤は外から確かめられないため、溝手家住宅ビリヤード場については文化庁の解説が主な記録となる。

Q&A

Q溝手家住宅ビリヤード場は見学できますか?
A見学できません。個人の住宅の一部で内部は非公開です。溝手家住宅ビリヤード場は主屋の北、敷地の内側にあり、道路からも見えません。
Q溝手家住宅ビリヤード場はいつ建てられたのですか?
A昭和11年(1936年)の建築です。令和3年(2021年)に登録有形文化財に登録されました。
Q溝手家住宅ビリヤード場の内部はどのような造りですか?
A床は寄木張、内壁はクロス張で腰を羽目板とし、漆喰天井に蛇腹を回します。主室の西壁にキューラックと得点盤が備え付けられています。
Q溝手家住宅ビリヤード場はなぜ登録有形文化財に登録されたのですか?
A登録番号33-0339として「造形の規範となっているもの」の基準で登録されました。溝手家住宅の10棟でこの基準が適用されたのはビリヤード場だけです。
Q溝手家住宅ビリヤード場は屋敷のどこに建っていますか?
A主屋の北、一号蔵との間に建っています。東側が前室で、南面に戸口、東の妻に出窓があります。

基本情報

名称溝手家住宅ビリヤード場
所在地岡山県都窪郡早島町早島字頓行1489
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和3年(2021年)2月4日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積40平方メートル
所有者個人
公開状況非公開(敷地外からは見えない)

参考文献

国指定文化財等データベース「溝手家住宅ビリヤード場」(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013636
文化遺産オンライン「溝手家住宅ビリヤード場」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/550625
文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)について 令和2年7月17日(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/pdf/93206101_02.pdf

最終更新日: 2026.09.24