泉穴師神社本殿とは

泉穴師神社本殿は、大阪府泉大津市豊中町の泉穴師神社にある桃山時代の社殿で、慶長7年(1602年)に建てられ、昭和24年(1949年)2月18日に重要文化財に指定された。

文化庁の記録では、泉穴師神社本殿の形式は流造の三間社で、正面に千鳥破風を2か所付け、屋根を檜皮葺とする。指定には、慶長7年の再建を記した札を含む棟札5枚が附として加えられている。

まつられているのは、天忍穂耳尊と栲幡千々姫命の夫婦2柱である。境内では拝殿の奥、鈴門の内側の中央に建ち、東に摂社春日神社本殿、西に摂社住吉神社本殿を従える。

泉穴師神社本殿の価値:2棟をつないだ「相殿造」

泉穴師神社本殿は、三間社とはいっても一つの大きな社殿ではない。大阪文化財ナビの解説によれば、正面に千鳥破風を付けた一間社流造の社殿を2棟並べ、そのあいだを合の間でつないだ連結社殿である。二柱の神を並べてまつる祭祀のかたちが建物の形を決めており、こうした形式はかつて「相殿造」とも呼ばれた。神社は「比翼造」の名で紹介している。

構成は外観にそのまま出ている。千鳥破風は左右に1つずつ載り、高欄の付いた木の階段も両脇の間にだけ据えられる。中央の合の間は床を土間とし、神座を置かない。

泉穴師神社本殿の棟札には、権大納言豊臣秀頼と奉行の片桐東市正且元の名、慶長7年10月の日付、奉行の藤林与左衛門尉定吉と大工の次郎左衛門の名が記されている(神社の境内案内)。大阪府の文化財一覧によると、附の棟札5枚は、慶長7年10月の札と同年11月の造宮の札、寛永8年(1631年)と宝暦13年(1763年)の上葺の札、安政3年(1856年)の葺替の札からなる。秀頼による再建から幕末まで、屋根を葺き直した節目が札の上でたどれる。

再建より前の社殿についても手がかりがある。大阪文化財ナビによれば、中世の社殿には正慶2年(1333年)の棟札の写しや、永徳元年(1381年)と永禄12年(1569年)に檜皮を葺き替えた棟札がある。文亀2年(1502年)の棟札は柿葺用の板に書かれており、旧建物は柿葺だった可能性があるという。外陣の天井まわりの盲連子、天井の格縁、正面の鴨居の上の花菱欄間、垂木の一部は、前身建物の部材と言われている。

泉穴師神社本殿の見どころ

泉穴師神社本殿を前にしたら、まず屋根の2つの千鳥破風と、その下に1つずつ据えられた階段を確かめたい。正面の中央に階段がないことに気づくと、2つの社殿が肩を並べている構成がつかめる。

細部では、向拝の東西にある蟇股がそれぞれ違う彫刻をもち、縁の行き止まりに立つ脇障子も東と西で意匠を変えて彩色されている。両殿の扉には絵が描かれ、合の間には板絵がある。妻飾にも彩色が施されている。

いま目にする色は、平成26年度(2014年度)から3か年で行われた修復によるものである。檜皮屋根を葺き替え、退色した柱や蟇股、組物を、昭和33〜34年(1958〜1959年)の修理のときの状態にできるだけ近づけて塗り直した。

泉穴師神社本殿の見学

泉穴師神社本殿は拝殿の奥、鈴門の内側に建つ。神社の案内では、鈴門は元日の午前0時から午後5時まで開かれ、その間は門内で本殿に参拝できる(歳旦祭の斎行中は閉門)。それ以外の日に門内へ入れるかどうかは公表されておらず、大阪文化財ナビは見学を「一部可能」としている。社殿の内部は公開されていない。

撮影の可否は神社の案内に記載がないため、写真を撮りたい場合は社務所で確かめておきたい。境内への行き方と参拝の条件は泉穴師神社のページにまとめてある。

Q&A

Q泉穴師神社本殿はいつ建てられましたか?
A慶長7年(1602年)です。棟札によれば、豊臣秀頼が片桐且元を奉行として建て直しました。
Q泉穴師神社本殿の屋根に千鳥破風が2つあるのはなぜですか?
A一間社流造の社殿2棟を合の間でつないだ形だからです。夫婦2柱の神を並べてまつるための造りで、千鳥破風と階段は左右の社殿に1つずつ付いています。
Q泉穴師神社本殿の棟札には何が書かれていますか?
A附として指定された5枚には、慶長7年の再建と造宮のほか、寛永8年(1631年)・宝暦13年(1763年)の上葺、安政3年(1856年)の葺替が記されています。
Q泉穴師神社本殿はいつ重要文化財に指定されましたか?
A昭和24年(1949年)2月18日です。棟札5枚が附として指定に含まれています。
Q泉穴師神社本殿は近くで見られますか?撮影はできますか?
A本殿は鈴門の内側にあり、神社の案内では元日の午前0時から午後5時まで門内で参拝できます。ほかの日の扱いと撮影の可否は公表されていないので、社務所に確かめてください。

基本情報

名称泉穴師神社本殿
所在地大阪府泉大津市豊中(神社の住所は豊中町1丁目1番1号)
指定区分重要文化財(建造物)
指定年昭和24年(1949年)2月18日
員数1棟(附 棟札5枚)
寸法文化庁のデータベースに記載なし(三間社流造、檜皮葺)
所有者泉穴師神社
公開状況境内は参拝自由。本殿は鈴門の内側にあり、門内での参拝は元日に可能。内部非公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):泉穴師神社本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2158
文化遺産オンライン:泉穴師神社本殿
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/156695
大阪府:泉大津市の指定等文化財一覧(PDF)
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/26653/032izumiohtsu.pdf
大阪文化財ナビ:泉穴師神社
https://osaka-bunkazainavi.org/bunkazai/%E6%B3%89%E7%A9%B4%E5%B8%AB%E7%A5%9E%E7%A4%BE
泉穴師神社 公式サイト:境内マップ
https://izumi.anashi-jinja.com/map/
泉大津市:泉大津市内の文化財
https://www.city.izumiotsu.lg.jp/kakuka/kyoikuiinkai/shogaigakushu/bunkazai/bunkazai_shinainobunkazai.html
泉大津市:泉穴師神社(豊中)
https://www.city.izumiotsu.lg.jp/kakuka/koushitsu/hishokoho/shinainomeishokyuuseki/izumianashijinnjya.html
泉穴師神社 公式サイト:年間行事
https://izumi.anashi-jinja.com/event/

最終更新日: 2026.10.15