泉穴師神社摂社住吉神社本殿とは
泉穴師神社摂社住吉神社本殿は、大阪府泉大津市豊中町の泉穴師神社にある摂社住吉神社の社殿で、鎌倉時代の文永10年(1273年)に建てられ、昭和24年(1949年)2月18日に重要文化財に指定された。
泉穴師神社摂社住吉神社本殿は本殿の西隣に建つ。文化庁の記録では一間社春日造、正面に軒唐破風付、背面を入母屋造とし、屋根は檜皮葺で、東の春日神社本殿と同じ形式をとる。神社の境内案内によれば、まつられているのは表筒男命・中筒男命・底筒男命の住吉三神と、息長足姫命である。
建立年の根拠は、建物そのものに書かれている。大阪府の文化財一覧は文永10年という年代を棟木銘によるものとし、大阪文化財ナビは「文永十年」と墨書された鎌倉時代の棟木が残っていると記す。時代区分は、文化庁が「鎌倉前期」、ナビが鎌倉時代中期としており、表現がそろっていない。
泉穴師神社摂社住吉神社本殿が貴重とされる理由
泉大津市は泉穴師神社摂社住吉神社本殿を府内最古の神社本殿といわれる建物として紹介し、神社も府内最古の神社建築と案内している。大阪文化財ナビは、府内で最も古い神社建築の一つと、やや幅をもたせた書き方をしている。
評価は古さだけではない。ナビによれば、後世の手法が混じってはいるものの、軒唐破風を付け、支輪を備えた出組の組物をもつ例としては最古の実例で、神社本殿のなかでも特に重要な遺構とされる。この見方に従えば、春日造の正面に唐破風の曲線を添える意匠は、13世紀後半にはすでに用いられていたことになる。
附として指定された棟札2枚は、慶安3年(1650年)と元文3年(1738年)に屋根を葺き直したときのものである(大阪府の文化財一覧)。鎌倉時代の骨組みが、江戸時代の手入れを重ねて残ってきたことが札からうかがえる。
泉穴師神社摂社住吉神社本殿の見どころ:当初材と後補材
泉穴師神社摂社住吉神社本殿を見るときは、どこが建てられた当初の部材で、どこが後から補われた部材かを意識したい。大阪文化財ナビによると、正面の左側にある連三斗の3つの巻斗と、背の高い蟇股の上に載るものが当初の部材である。
柱間の中ほどを飾る中備の蟇股は後補で、室町時代のものと慶長(1600年前後)のものが混じる。正面の虹梁にあたる材には、繰形や絵様の彫りがない。装飾の少ない正面に、鎌倉・室町・桃山の部材が並んでいることになる。
東の春日神社本殿と見比べるのもよい。形式はほぼ同じだが、春日神社本殿の蟇股が菊の葉を長く伸ばした華やかな輪郭をもつのに対し、こちらの正面は簡素である。支輪の形は2棟で共通している。
泉穴師神社摂社住吉神社本殿の見学
泉穴師神社摂社住吉神社本殿は本殿の西、鈴門の内側にある。神社の案内では、鈴門は元日の午前0時から午後5時まで開かれ、その間は門内の各社殿に参拝できる(歳旦祭の斎行中は閉門)。それ以外の日に門内へ入れるかどうかは公表されていない。巻斗や蟇股の違いを見分けるには近くから見る必要がある。社殿の内部は公開されていない。
撮影の可否は案内に記載がないため、社務所で確かめてから撮りたい。境内への行き方と参拝の条件は泉穴師神社のページにまとめてある。
Q&A
- 泉穴師神社摂社住吉神社本殿はいつ建てられましたか?
- 文永10年(1273年)、鎌倉時代です。「文永十年」と書かれた棟木が残っていることが根拠とされています。
- 泉穴師神社摂社住吉神社本殿は大阪府で最も古い神社建築ですか?
- 泉大津市と神社は府内最古の神社本殿・神社建築といわれると紹介しています。大阪文化財ナビは府内で最も古い神社建築の一つとしています。
- 泉穴師神社摂社住吉神社本殿はどのような形式の社殿ですか?
- 一間社春日造で、正面に軒唐破風を付け、背面を入母屋造とし、屋根は檜皮葺です。東の春日神社本殿と同じ形式です。
- 泉穴師神社摂社住吉神社本殿で当初の部材はどこですか?
- 大阪文化財ナビによると、正面左側の連三斗の3つの巻斗と、背の高い蟇股の上のものが当初の部材です。中備の蟇股は室町時代と慶長の後補です。
- 泉穴師神社摂社住吉神社本殿はいつ重要文化財に指定され、近くで見られますか?
- 昭和24年(1949年)2月18日に指定されました。鈴門の内側にあり、神社の案内では元日の午前0時から午後5時まで門内で参拝できます。ほかの日の扱いと撮影の可否は社務所に確かめてください。
基本情報
| 名称 | 泉穴師神社摂社住吉神社本殿 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府泉大津市豊中(神社の住所は豊中町1丁目1番1号) |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物) |
| 指定年 | 昭和24年(1949年)2月18日 |
| 員数 | 1棟(附 棟札2枚) |
| 寸法 | 文化庁のデータベースに記載なし(一間社春日造、檜皮葺) |
| 所有者 | 泉穴師神社 |
| 公開状況 | 境内は参拝自由。社殿は鈴門の内側にあり、門内での参拝は元日に可能。内部非公開 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):泉穴師神社摂社住吉神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2160
- 文化遺産オンライン:泉穴師神社摂社住吉神社本殿
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/123167
- 国指定文化財等データベース(文化庁):泉穴師神社摂社春日神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2159
- 大阪府:泉大津市の指定等文化財一覧(PDF)
- https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/26653/032izumiohtsu.pdf
- 大阪文化財ナビ:泉穴師神社
- https://osaka-bunkazainavi.org/bunkazai/%E6%B3%89%E7%A9%B4%E5%B8%AB%E7%A5%9E%E7%A4%BE
- 泉大津市:泉穴師神社(豊中)
- https://www.city.izumiotsu.lg.jp/kakuka/koushitsu/hishokoho/shinainomeishokyuuseki/izumianashijinnjya.html
- 泉穴師神社 公式サイト:境内マップ
- https://izumi.anashi-jinja.com/map/
- 泉穴師神社 公式サイト:年間行事
- https://izumi.anashi-jinja.com/event/
最終更新日: 2026.10.15