神門の脇に建つ大正期の手水舎

水無瀬神宮手水舎は、大阪府三島郡島本町広瀬の水無瀬神宮にある大正期の手水舎で、平成28年(2016年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは文化庁のデータベースで「ちょうずしゃ」。神門をくぐってすぐ北寄り、境内の正面に南北に棟を通して建っている。

建物は入母屋造の桟瓦葺で、面積は5.5平方メートル。内部に石の手水鉢と井戸枠を据える。参拝者が最初に立ち寄る建物であり、神門と並んで境内の入口の構えをつくっている。

小さな建物に本格的な形式

水無瀬神宮手水舎は、平成28年(2016年)8月1日に「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された(登録番号27-0645)。文化庁の解説は、本格的な形式をもつ手水舎だと評価している。

平面は一間四方を基本にしながら、桁行だけを3.0メートルに延ばしている。柱は角柱で、柱の上部に長押を回し、柱頭に舟肘木を置いて桁を受ける。天井は格天井に組む。わずか5.5平方メートルの建物に、社殿と同じ部材と天井の形式を一通りそろえているところが、「本格的」という評価の中身である。

大正期は、水無瀬神宮の境内が近代の姿に整えられていった時期にあたる。文化庁は同じ大正期の神庫について、近代に再編された境内景観に寄与すると書いており、水無瀬神宮手水舎もその再編の一部として建てられたと考えられる。

水無瀬神宮手水舎の見どころ

まず妻を見上げたい。入母屋の妻には格子を組んだ木連格子を張り、その中央に懸魚を下げている。梅鉢懸魚は、すぐ隣に立つ神門の妻にも使われている。江戸前期の門と大正期の手水舎が、同じ懸魚の形でそろえられている点は、二つを見比べるとよくわかる。

次に石の手水鉢。水無瀬神宮によると、鉢の正面には「奉納盥漱」、側面には「構社」と刻まれている。盥漱は手を洗い口をすすぐことを指す語で、手水鉢の用途そのものを刻んだ銘である。鉢の脇には井戸枠も置かれている。

水無瀬神宮は手水舎を「離宮の水」とあわせて紹介している。昭和60年(1985年)に名水百選に選ばれたこの湧水の取水場も、神門をくぐった左側、手水舎のすぐ近くにある。

水無瀬神宮手水舎の見学方法

水無瀬神宮手水舎は境内の入口にあり、参拝の際に自由に見られる。参拝の作法として手水を使うことができ、建物の中に入って手水鉢の銘や格天井を間近に見ることもできる。

神門を背にして手水舎の妻側に立つと、木連格子と梅鉢懸魚がよく見える。周辺は早朝から水を汲む人が多く、取水の列ができていることもあるため、建物を眺めるときは列の妨げにならないようにしたい。撮影の可否について神宮は公式サイトで特に案内していない。境内への行き方と参拝の時間は、水無瀬神宮のページにまとめてある。

Q&A

Q水無瀬神宮手水舎はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは大正期(1912〜1926年)の建築とされています。境内の神庫と同じ時期です。
Q水無瀬神宮手水舎はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A小規模ながら入母屋造の屋根、内法長押、舟肘木、格天井を備えた本格的な形式の手水舎として、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準で平成28年(2016年)に登録されました。
Q水無瀬神宮手水舎の読み方は?
A文化庁のデータベースのふりがなは「みなせじんぐうちょうずしゃ」です。
Q水無瀬神宮手水舎の手水鉢には何と刻まれていますか?
A水無瀬神宮によると、正面に「奉納盥漱」、側面に「構社」と刻まれています。盥漱は手を洗い口をすすぐことを意味します。
Q水無瀬神宮手水舎の近くで離宮の水は汲めますか?
A取水場は神門をくぐった左側にあり、午前6時から午後5時まで汲めます。1回に20リットルを汲んだ人は列の最後尾に並び直す決まりです。

基本情報

名称水無瀬神宮手水舎
所在地大阪府三島郡島本町広瀬三丁目10-24
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成28年(2016年)登録
員数1棟
寸法面積5.5平方メートル(桁行3.0メートル)
所有者宗教法人水無瀬神宮
公開状況境内の入口にあり自由に見学可(境内は24時間参拝可)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):水無瀬神宮手水舎
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011159
文化遺産オンライン:水無瀬神宮手水舎
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/280496
水無瀬神宮:手水舎(離宮の水)
https://www.minasejingu.jp/chouzu-sha.html
水無瀬神宮:よく頂く質問
https://www.minasejingu.jp/faq.html
島本町:島本町の文化財
https://www.town.shimamoto.lg.jp/site/rekishi-bunka/2412.html

最終更新日: 2026.10.02