本屋仲間が寄進した書物の蔵

住吉大社御文庫は、大阪市住吉区住吉の住吉大社で、本宮域の北側に建つ土蔵造の文庫で、享保8年(1723年)ごろの建立とされ、平成30年(2018年)5月10日に国の登録有形文化財に登録されたのち、令和7年(2025年)3月24日に大阪府指定有形文化財となった。土蔵造2階建、寄棟造本瓦葺で、建築面積は28平方メートル。読みは「おぶんこ」。

享保8年、大坂・京都・江戸の本屋仲間に属する書肆20名が、住吉大社に出版物を納める蔵を寄進する発願書を出したことが建立のきっかけである。神社の文庫は社内で必要な文献を収めるのが普通だが、住吉大社御文庫には版元から多くの書籍が奉納され、それが一般にも公開されたことから、大阪最古の図書館とも称される。

300年続く御文庫講

御文庫の建立後、蔵の運営を担う「住吉御文庫講」が結成され、奉納本の虫干し、蔵書の点検と修理、目録づくりを続けた。明治43年(1910年)には、享保15年(1730年)に結成された天満宮御文庫講と合併して「大阪書林御文庫講」となり、その活動は現在まで引き継がれている。大阪府の指定説明は、本屋仲間による寄進で建てられ、所蔵書を一般に公開し、地域の組織が今も運営を担っている点で、府内に類例のない江戸時代の文庫だと評価している。

建物は漆喰壁で、腰を海鼠壁とする。窓は八角に縁取った鉄扉を嵌めた丸窓で、1階は北側面に1か所、2階は南北両側面に2か所ずつある。正面の扉には軒唐破風の庇が掛かり、虹梁・蟇股・笈形付きの大瓶束で飾られる。この唐破風は、発願書に描かれた図や虹梁の絵様から、江戸時代末期に後から付け加えられたものと推定されている。

当初は現在地より約30メートル西、第二本宮の北側に建っていたが、昭和前期に現在地へ移された。享和2年(1802年)の火災で本宮が焼けた際にも焼失を免れており、平成23年(2011年)に修理が行われている。

見どころと見学

住吉大社御文庫の外観では、正面の唐破風の庇と、側面の八角縁取りの丸窓を見たい。白い漆喰の壁に、海鼠壁の格子と鉄扉の窓が並ぶ姿は、土蔵でありながら社殿の一つとして格式を整えた建物であることを示している。

内部は公開されていない。国の登録有形文化財としての記録は、令和7年の大阪府指定ののち文化庁のデータベースから見当たらなくなっている。外観は境内の開門時間内に見ることができ、拝観料はかからない。参拝時間と行き方は住吉大社のページにまとめてある。

Q&A

Q住吉大社御文庫とは何ですか。
A享保8年(1723年)ごろ、大坂・京都・江戸の本屋仲間の書肆20名の寄進で建てられた、書籍を奉納するための土蔵です。蔵書を一般に公開したことから大阪最古の図書館とも称されます。
Q住吉大社御文庫は文化財ですか。
A平成30年(2018年)5月10日に国の登録有形文化財に登録され、令和7年(2025年)3月24日に大阪府指定有形文化財となりました。
Q住吉大社御文庫はいまも使われていますか。
A蔵の運営を担う講が今も続いており、明治43年(1910年)に天満宮御文庫講と合併した大阪書林御文庫講が活動しています。
Q住吉大社御文庫の外観の見どころは。
A正面の唐破風の庇と、八角に縁取った鉄扉の丸窓、海鼠壁の腰です。唐破風は江戸末期に付け加えられたと推定されています。
Q住吉大社御文庫の中は見学できますか。
A内部は公開されていません。外観は境内の開門時間内に見ることができ、拝観料はかかりません。

基本データ

名称住吉大社御文庫(すみよしたいしゃおぶんこ)
所在地大阪府大阪市住吉区住吉2丁目9-89
指定区分大阪府指定有形文化財(建造物、令和7年指定)。指定以前は国の登録有形文化財(平成30年登録)
指定年平成30年(2018年)5月10日国登録、令和7年(2025年)3月24日大阪府指定
員数1棟
寸法土蔵造2階建、寄棟造本瓦葺、建築面積28平方メートル
所有者宗教法人住吉大社
公開状況内部は非公開(外観のみ)

参考文献

大阪府 — 大阪府指定文化財 住吉大社 指定説明(境内の文化財建造物一覧を含む)
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/26540/01_sumiyoshitaisya_sitei.pdf
住吉大社 公式サイト — 歴史と遷宮年表
https://www.sumiyoshitaisha.net/about/history.html

最終更新日: 2026.10.01