松樹館表門及び塀とは
松樹館表門及び塀は、滋賀県東近江市五個荘竜田町にある大正7年(1918年)建立の門と塀で、令和3年(2021年)2月4日に登録有形文化財となった。表門は木造、瓦葺、間口1.8メートル。塀は木造、瓦葺で総延長136メートルに及ぶ。門と塀があわせて1基として登録されている。
松樹館の13棟のうち、通りから常に見えているのはこの一件である。敷地北辺の道に面して表門が開き、そこから塀が敷地の外周を回る。
門を奥へ引く
表門は通りから9.5メートル奥まった位置に立つ。道に直接面してはいない。門の前に一段の空きを置き、そこまでを塀が導く。屋敷に入る前にひと呼吸置かせる配置で、松樹館表門及び塀の輪郭は、この引き込みによって決まっている。
門の造りは切妻造桟瓦葺。表側に格子戸、内側に板戸の引分戸を建て、両脇を壁とする。二重に戸を構えるのは、格子越しに外の気配を通しながら、板戸で完全に閉ざすこともできるようにするためである。間口1.8メートルは人と荷が通る幅で、車を入れる門ではない。
塀は敷地外周を回るほか、表門と主屋の間にも建つ。総延長136メートルという数字は、敷地がおよそ600坪という規模と釣り合っている。文化庁の登録解説は、松樹館表門及び塀を「広大な敷地をもつ近江商人の本宅における重要な構成要素」と位置づける。建物ではなく囲いが、屋敷の輪郭そのものを定めている。
見どころ
塀の上に載る瓦を見上げてほしい。木造の塀に瓦屋根を載せるのは、雨から板と柱を守るためである。屋根のない板塀は数十年で朽ちる。松樹館表門及び塀が大正7年から一世紀を超えて残っているのは、この小屋根による。
門の格子戸と板戸の関係も確かめたい。表から見ると格子だけが見えるが、内側には引分の板戸が控える。閉め方によって門の表情が変わる。
そして塀に沿って歩いてみるとよい。136メートルは、ゆっくり歩けば二分ほどの距離である。角を折れるたびに瓦の稜線が向きを変える。屋敷の内部を見なくても、松樹館表門及び塀だけで敷地の広さは体感できる。
見学方法
松樹館表門及び塀は公道に面しているため、13件のなかで唯一、公開日でなくても外観を見ることができる。塀に沿って歩くぶんには入館料もかからない。ただし敷地内は私有地であり、門から内へ入れるのはマーチャントミュージアム教林坊別院の公開日に限られる。
撮影は可能である。通りからの撮影であれば、門を正面に置き、左右へ伸びる塀を画角に収めると9.5メートルの引き込みが分かる。屋敷内部の見学条件と行き方は松樹館のページを参照してほしい。
Q&A
- 松樹館表門及び塀はいつ建てられましたか?
- 大正7年(1918年)です。門と塀があわせて1基として登録有形文化財になっています。
- 松樹館表門及び塀の塀はどれくらいの長さですか?
- 総延長136メートルです。敷地の外周に加え、表門と主屋の間にも建っています。
- 松樹館表門及び塀は公開日以外でも見られますか?
- 外観は公道から常に見られます。13件のうち、公開日でなくても見学できるのはこの一件だけです。ただし門から中へは入れません。
- 松樹館表門及び塀の門はどのような造りですか?
- 切妻造桟瓦葺で、表側に格子戸、内側に板戸の引分戸を建て、両脇を壁としています。間口は1.8メートルです。
- 松樹館表門及び塀はなぜ通りから離れて建っているのですか?
- 表門は敷地北辺の通りから9.5メートル奥まった位置にあります。門の前に空地をとる配置で、広い敷地をもつ本宅の構えを整えるための工夫と考えられます。
基本データ
| 名称 | 松樹館表門及び塀 |
|---|---|
| 所在地 | 滋賀県東近江市五個荘竜田町字元屋敷396-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 令和3年(2021年)2月4日登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 表門 間口1.8メートル/塀 総延長136メートル |
| 所有者 | 個人(文化庁データベースでは非公開) |
| 公開状況 | 外観は公道から常時見学可。敷地内は春と秋の期間限定公開(マーチャントミュージアム教林坊別院) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 松樹館表門及び塀(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013580
- 教林坊別院 近江豪商(マーチャント)ミュージアム(教林坊公式サイト)
- https://kyourinbo.jimdofree.com/ホーム/教林坊別院-マーチャントミュージアム/
最終更新日: 2026.09.13