松樹館北蔵とは

松樹館北蔵は、滋賀県東近江市五個荘竜田町にある寛政12年(1800年)建立の土蔵造で、令和3年(2021年)2月4日に登録有形文化財となった。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積24平方メートル。松樹館主屋の西側に、水屋を介して建つ。

松樹館の13棟のなかで最も古く、同時に蔵としては最も小さい。桁行一間半余り、梁間二間という細長い平面をもち、南北棟の切妻造、屋根は桟瓦葺である。

切り縮められた蔵

松樹館北蔵が今の大きさなのは、当初からではない。文化庁の登録解説は、江戸末期の改修で北側部分を切り縮めて規模を縮小したと記す。桁行一間半余りという半端な寸法は、その結果である。切りのよい間数にならないところに、後から手を入れた痕跡が残っている。

蔵を縮めるという判断は珍しい。建て替えるほうが早い場合も多いからである。それでも縮めて残したのは、寛政12年の躯体をそのまま使い続けたかったか、敷地の都合で北へ張り出せなくなったか、いずれかだろう。松樹館では主屋が文化11年(1814年)、水屋が明治前期に建つので、北蔵の周囲は時代を追って建て込んでいる。

外壁は漆喰塗、軒裏も塗込とする。軒裏塗込は、垂木の見える部分まで漆喰で塗り固める仕上げで、火の粉が軒下に入るのを防ぐ。南には蔵前がつき、戸口に漆喰塗の両開土戸を建てる。二百年を超えて建つ松樹館北蔵は、屋敷のなかで最も古い時間を抱えている。

見どころ

軒裏を下から覗いてほしい。垂木の一本ずつが見える普通の軒とは違い、漆喰でひと続きに塗り込められている。凹凸のない面が軒先まで回る。

北側の壁面も見たい。切り縮めた側である。改修の際に新しく立ち上げた壁だから、南面や東面と塗りの調子が揃わないことがある。

そして水屋から出て見上げるとよい。松樹館北蔵は主屋から直接見えず、水屋の土間を抜けて初めて姿を現す。24平方メートルという小ささは、隣の新蔵や米蔵と並べたときに際立つ。

見学方法

松樹館北蔵は主屋の西側にあり、水屋の土間を抜けた先で外観に接する。内部を開けるかどうかはマーチャントミュージアム教林坊別院の公開時の運用による。公開は春と秋の土日祝日に限られ、日程は教林坊の公式サイトで告知される。

撮影は可能である。細長い平面なので、桁行側の一枚では大きさが伝わりにくい。妻側を入れて撮ると比率が分かる。屋敷への行き方と入館料は松樹館のページを参照してほしい。

Q&A

Q松樹館北蔵はいつ建てられましたか?
A寛政12年(1800年)です。松樹館の13棟のなかで最も古い建物にあたります。
Q松樹館北蔵はなぜ小さいのですか?
A江戸末期の改修で北側部分を切り縮めて規模を縮小したためです。桁行一間半余りという半端な寸法にその痕跡が残っています。
Q松樹館北蔵の軒裏塗込とは何ですか?
A垂木の見える軒の裏側まで漆喰で塗り固める仕上げです。火の粉が軒下に入り込むのを防ぐための防火の工夫です。
Q松樹館北蔵はどこから見えますか?
A主屋からは直接見えません。西側に接続する水屋の土間を抜けた先に建っています。
Q松樹館北蔵の大きさはどれくらいですか?
A建築面積24平方メートル、桁行一間半余り、梁間二間です。敷地の五棟の蔵では最も小さい建物です。

基本データ

名称松樹館北蔵
所在地滋賀県東近江市五個荘竜田町字元屋敷396-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和3年(2021年)2月4日登録
員数1棟
寸法建築面積24平方メートル
所有者個人(文化庁データベースでは非公開)
公開状況春と秋の期間限定公開(マーチャントミュージアム教林坊別院)

参考文献

国指定文化財等データベース 松樹館北蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013576
教林坊別院 近江豪商(マーチャント)ミュージアム(教林坊公式サイト)
https://kyourinbo.jimdofree.com/ホーム/教林坊別院-マーチャントミュージアム/

最終更新日: 2026.09.13