松樹館新蔵とは

松樹館新蔵は、滋賀県東近江市五個荘竜田町にある慶応元年(1865年)建立の土蔵造で、令和3年(2021年)2月4日に登録有形文化財となった。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積45平方メートル。敷地の西辺、松樹館主屋の西側に建つ。

桁行四間、梁間三間。梁間三間は五棟の蔵のなかで最も深く、正方形に近い平面をもつ。南北棟の切妻造で、屋根は桟瓦葺の置屋根とする。

幕末最後の年に建った蔵

慶応元年は西暦1865年。徳川の世が終わる三年前にあたる。松樹館新蔵はその年に建てられた。松樹館では、寛政12年(1800年)の北蔵から数えて五棟目の蔵であり、江戸時代に建った最後の蔵でもある。「新蔵」という名は、それまでの蔵に対して新しいという意味で付いたと考えられる。

梁間三間という深さは、この棟の性格を決めている。蔵の梁間を広げると小屋組の負担が増すので、二間ないし二間半に収めるのが通例である。松樹館新蔵はそれを一間ぶん超えた。床面積45平方メートルは五棟中二番目で、文庫蔵の53平方メートルに次ぐ。収蔵量を優先した造りである。

外壁は漆喰塗で鉢巻を廻し、戸口には漆喰塗の両開土戸を建てる。文化庁の登録解説は内部を「丁寧に製材した簡素な造り」とし、松樹館新蔵を近江商人の本宅の屋敷構えの一角と位置づける。幕末の商家がなお蔵を新築していたという事実そのものが、この家の当時の勢いを伝えている。

見どころ

妻側から見て奥行きを測りたい。梁間三間の蔵は、正面に立つと壁面が四角に近く見える。桁行四間との差が一間しかないので、細長い北蔵とは対照的な塊感がある。

屋根の棟の長さにも目を向けたい。桁行が四間あるので棟は長く、置屋根の水平線が敷地西辺に長く伸びる。

内部を見る機会があれば、柱と梁の仕上げを確かめてほしい。松樹館新蔵の材は装飾を持たないが、面が揃い、角が立っている。簡素という言葉が手抜きを意味しないことが分かる。

見学方法

松樹館新蔵は敷地の西辺に建つため、水屋を抜けて西側へ出た区画で外観に接する。内部を開けるかどうかはマーチャントミュージアム教林坊別院の公開時の運用による。公開は春と秋の土日祝日のみで、日程は教林坊の公式サイトに出る。

撮影は可能である。西辺には北蔵と米蔵も並ぶので、三棟をまとめて画角に入れると規模の違いが分かる。屋敷への行き方と入館料は松樹館のページを参照してほしい。

Q&A

Q松樹館新蔵はいつ建てられましたか?
A慶応元年(1865年)です。松樹館の五棟の蔵のなかで、江戸時代に建てられた最後の一棟にあたります。
Q松樹館新蔵の平面はどのような形ですか?
A桁行四間、梁間三間で、正方形に近い形です。梁間三間は敷地の五棟の蔵のなかで最も深い寸法です。
Q松樹館新蔵という名前の由来は何ですか?
Aそれ以前からあった蔵に対して新しく建てられたことによると考えられます。文化庁のふりがなは「しょうじゅかんしんぐら」です。
Q松樹館新蔵はどこに建っていますか?
A敷地の西辺、主屋の西側です。同じ西辺には北蔵と米蔵も並んでいます。
Q松樹館新蔵の広さはどれくらいですか?
A建築面積45平方メートルで、文庫蔵の53平方メートルに次いで二番目の大きさです。

基本データ

名称松樹館新蔵
所在地滋賀県東近江市五個荘竜田町字元屋敷396-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和3年(2021年)2月4日登録
員数1棟
寸法建築面積45平方メートル
所有者個人(文化庁データベースでは非公開)
公開状況春と秋の期間限定公開(マーチャントミュージアム教林坊別院)

参考文献

国指定文化財等データベース 松樹館新蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013577
教林坊別院 近江豪商(マーチャント)ミュージアム(教林坊公式サイト)
https://kyourinbo.jimdofree.com/ホーム/教林坊別院-マーチャントミュージアム/

最終更新日: 2026.09.13