志磨神社手水舎とは

志磨神社手水舎は、和歌山県和歌山市中之島の志磨神社境内に建つ昭和19年(1944年)建築の手水舎で、令和6年(2024年)3月6日に国の登録有形文化財に登録された。

読みは文化庁のデータベースで「しまじんじゃてみずしゃ」。手水舎は、参拝の前に手と口をすすいで身を清めるための水場を覆う建物である。志磨神社手水舎は木造平屋建、瓦葺で、建築面積は5.8平方メートルしかない。

平面は柱間一つ分の正方形、いわゆる方一間で、屋根は切妻造の桟瓦葺。参道の脇に建ち、西を向いて参道に正面を見せる。

志磨神社手水舎が登録された理由

志磨神社手水舎は第106回の登録で、登録番号は30-0345。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、簡素でありながら洗練された意匠をもつ手水舎で、境内の歴史的景観をつくっていると評価する。

建てられたのは拝殿や神門と同じ昭和19年(1944年)。和歌山県は、拝殿と同時期に建てられた手水舎、神門及び袖塀がともに境内の歴史的景観を形づくっているとし、空襲を受けた市の中心部に残る数少ない良質な近代和風建築として貴重だと述べている。志磨神社手水舎は、翌年の和歌山大空襲を境内の社殿とともに免れた。

志磨神社手水舎の見どころ

内側へ傾けた4本の柱

四隅に立つのは、角を落とした面取の角柱である。文化庁の解説によれば、この4本は内転び、つまり上に行くほどわずかに内側へ寄るよう傾けて立てられている。柱どうしは飛貫でつなぎ固める。正面から柱の線を目で追うと、小さな建物が裾を広げて踏ん張るような安定感の理由が分かる。

大仏様風の木鼻

貫の端が柱の外へ突き出た部分、木鼻は大仏様風につくられている。大仏様は、鎌倉時代の東大寺再建で用いられた力強い建築様式で、木鼻にも太く簡潔な曲線を見せるのが特徴。建築面積6平方メートルに満たない手水舎に、そうした大きな建築の語彙が持ち込まれているところが面白い。

組物を省いた架構と蟇股、豕扠首

志磨神社手水舎には、柱の上で軒を支える組物がない。柱の頭に直接梁や桁を架ける簡潔な組み方である。そのかわり柱の間では、貫の上に蟇股を載せて飾る。妻を見上げると、棟木の下に2本の材を山形に組んだ豕扠首が見える。飾りを要所に絞った構成が、文化庁のいう簡素ながら洗練された意匠の中身である。

志磨神社手水舎の見学

志磨神社手水舎は、神門から拝殿へ向かう参道の脇に西を向いて建ち、参道から正面を見られる。文化庁のデータベースには内部を見上げた写真も載っており、軒下に立てば蟇股や梁桁の組み方を間近に確かめられる。内転びの柱は、少し離れて正面から見るほうが分かりやすい。

手水舎は参拝者が身を清める場でもある。撮影の決まりは公表されていないので、手水を使う人が写り込まないよう配慮し、祭事の最中は撮影を控えたい。境内への行き方と参拝の条件は志磨神社のページにまとめてある。

Q&A

Q志磨神社手水舎はいつ建てられたのですか?
A昭和19年(1944年)の建築です。境内の拝殿と神門及び袖塀も同じ年に建てられました。
Q志磨神社手水舎はいつ登録有形文化財になりましたか?
A令和6年(2024年)3月6日に、第106回の登録として登録されました。登録番号は30-0345で、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」です。
Q志磨神社手水舎の建築の特徴は何ですか?
A方一間の切妻造桟瓦葺で、建築面積は5.8平方メートルです。四隅の面取角柱を内転びに立てて飛貫で固め、組物を使わず柱頭に直接梁と桁を架けます。柱間の貫の上に蟇股を載せ、妻飾は豕扠首です。
Q志磨神社手水舎の木鼻が大仏様風とはどういうことですか?
A貫の端を柱の外へ突き出した木鼻を、鎌倉時代の東大寺再建で用いられた大仏様の形にならってつくっているということです。小さな手水舎に、大きな寺院建築の意匠が取り入れられています。
Q志磨神社手水舎は見学できますか?撮影はできますか?
A参道の脇に建っており、参道から外観を見られます。軒下から架構を見上げることもできます。撮影の決まりは公表されていないため、手水を使う人や祭事への配慮をお願いします。

基本情報

名称志磨神社手水舎
所在地和歌山県和歌山市中之島677
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和6年(2024年)3月6日登録
員数1棟
寸法建築面積5.8平方メートル
所有者宗教法人志磨神社
公開状況参道脇に建ち、外観は参道から見学可

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):志磨神社手水舎
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014910
文化遺産オンライン:志磨神社手水舎
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/602910
文化庁:文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)令和5年11月24日 別紙(PDF)
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/93969901_01.pdf
わかやまの文化財(和歌山県教育庁文化遺産課):志磨神社
https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai-spot-1029/
和歌山県教育委員会:国登録有形文化財
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500700/mokuroku/d00155458.html

最終更新日: 2026.10.05