港から見えた煙突と、米を蒸すための平屋

梅美人酒造釜場及び煙突は、愛媛県八幡浜市1557-2に建つ昭和3年(1928年)の木造平屋建で、平成16年(2004年)に国の登録有形文化財に登録された。建築面積は157平方メートル。事務所の西方に、東西に長い棟として据えられている。

釜場とは、米を蒸すための湯を沸かす場所である。大釜の上に甑を据え、立ちのぼる蒸気で米に火を通す。したがってこの建物に求められた性能は、熱を起こすことと、その熱と湿気を逃がすことの二つだった。

屋根は切妻造桟瓦葺。小屋組にはキングポストトラスが用いられ、棟の上には換気のための越屋根が立ち上がる。越屋根は屋根の一部を持ち上げて側面に開口を設けた構えで、蒸気の抜け道になる。梅美人酒造釜場及び煙突は、湯気を出すために設計された建物である。

1件の登録に2つの構造物が入る

名称に「及び」が入っている点は見落とされやすい。梅美人酒造釜場及び煙突は、木造の釜場と煉瓦造の煙突という材料も工法も異なる2つの構造物を、1件・1棟として登録している。両者は機能で結ばれている。釜で焚いた火の煙を抜くのが煙突だからである。

煙突は西の妻面の南寄りに立つ。断面は正方形で、煉瓦を積み上げてつくられている。その南面には白いタイルで「ウメビジンホン店」の文字が表され、遠くからでも蔵元の名が読み取れる。八幡浜市ふるさと観光公社は高さを23メートルと案内し、昭和天皇即位の御大典を記念して建てられたと伝えている。文字の表記については、資料により「ウメビジン本店」と記すものもある。

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。文化庁の解説は、この建物が港から見上げる格好の目印になっていると述べる。造形の規範として登録された事務所とは、選ばれた理由が異なる。登録年月日は平成16年(2004年)3月2日、登録番号は38-0056、員数は1棟である。

見どころ

まず煙突を離れた場所から見たい。八幡浜の市街は港へ向かって開けており、細い路地の突き当たりや橋の上から、煉瓦の柱が不意に立ち上がって見える角度がある。梅美人酒造釜場及び煙突が地域の目印と呼ばれてきたのは、その見え方による。

近づいたら、煉瓦の目地と白タイルの文字の関係を見てほしい。文字は塗られたのではなく、色の違うタイルを積み込むことで壁面の一部として成り立っている。

建物の内部に入れる機会があれば、視線を上げたい。キングポストトラスは、中央に垂直材(キングポスト)を立てて左右の斜材を吊る西洋由来の小屋組で、太い和小屋の梁を積み重ねる方法とは力の流れが違う。大正から昭和にかけて、産業用の建物で急速に採用が進んだ形式である。

越屋根の下がどうなっているかも確かめたい。蒸気は上へ抜ける。床、釜、甑、そして屋根の開口までが一続きの装置になっている。

見学方法

梅美人酒造釜場及び煙突のうち、煙突は敷地外の道からでも眺められるが、釜場そのものは稼働中の酒造場の一部であり、建物へ近づくには許可が要る。愛媛県の公式観光サイトによると、見学は無料で、前日までの予約が必要。営業は午前8時から午後5時で、日曜が休みとされる。土産付きの有料見学は3,000円、完全予約制で期間が限られる。

より詳しく案内を受けたい場合は、八幡浜市ふるさと観光公社が扱う「酒蔵体験」がある。社長が案内し、1名2,640円、所要は1時間程度。受け入れは5月から11月までで、新酒の仕込みが行われる12月から4月は実施されない。定員は2名から10名、申し込みは2週間前までが原則。料金には資料間で差があるので、電話0894-22-0312で確かめてほしい。

撮影の可否を明記した公表資料は見当たらない。屋外から煙突を撮る場合でも、敷地内に立ち入るなら断りを入れるのが筋である。

アクセスは、八幡浜港から車で約5分(約1.3キロ)、JR八幡浜駅からは約7分(約2.1キロ)。伊予鉄南予バス「市立病院前」、宇和島自動車「裁判所前」のいずれからも徒歩2分。無料駐車場が26台分ある。

Q&A

Q梅美人酒造釜場及び煙突の煙突の高さはどれくらいですか?
A八幡浜市ふるさと観光公社は23メートルと案内しています。文化庁の登録原簿には高さの記載がないため、この数値は市の観光公社による案内に基づきます。
Q梅美人酒造釜場及び煙突はいつ建てられ、いつ登録されましたか?
A文化庁の国指定文化財等データベースは年代を昭和3年(1928年)と記録しています。登録有形文化財への登録は平成16年(2004年)3月2日付、登録番号は38-0056です。
Q梅美人酒造釜場及び煙突の煙突に書かれている文字は何ですか?
A白いタイルで蔵元の名が表されています。文化庁の解説と愛媛県の公式観光サイトは「ウメビジンホン店」と記載し、別の資料では「ウメビジン本店」と表記されています。
Q梅美人酒造釜場及び煙突は見学できますか。料金は?
A前日までの予約により見学できます。通常の見学は無料、土産付きの有料見学は3,000円、案内付きの「酒蔵体験」は1名2,640円です。営業は午前8時から午後5時、日曜が休みです。
Q梅美人酒造釜場及び煙突へのアクセスを教えてください。
A八幡浜港から車で約5分(約1.3キロ)、JR八幡浜駅から約7分(約2.1キロ)です。伊予鉄南予バス「市立病院前」、宇和島自動車「裁判所前」から徒歩2分。無料駐車場が26台分あります。

基本データ

名称梅美人酒造釜場及び煙突
所在地愛媛県八幡浜市1557-2
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成16年(2004年)3月2日登録
員数1棟
寸法建築面積157平方メートル、木造平屋建
所有者梅美人酒造株式会社
公開状況稼働中の民有建物。事前予約により見学可。煙突は敷地外の道からも見える

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「梅美人酒造釜場及び煙突」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004055
八幡浜市「文化財について」(国登録有形文化財一覧)
https://www.city.yawatahama.ehime.jp/doc/2022103100010/
八幡浜市観光物産情報サイト(八幡浜市ふるさと観光公社)「梅美人酒造さんに教わる、酒蔵体験」
https://yawatahama-kankou.com/umebijin-sakagura/
愛媛県公式観光サイト いよ観ネット「梅美人酒造」
https://www.iyokannet.jp/spot/1922

最終更新日: 2026.09.04