宇和島城天守とは

宇和島城天守は、愛媛県宇和島市丸之内にある江戸時代中期の天守で、昭和9年(1934年)1月30日に重要文化財に指定された。三重三階、屋根は本瓦葺。天守台の上に独立して建つ層塔型で、外壁は白漆喰の総塗籠に仕上げられている。江戸時代以前から建ち続けている天守は全国に12棟しかなく、宇和島城天守はそのうちの1棟である。

宇和島市街のほぼ中央、標高70メートルほどの丘の上に城山がある。城を最初に築いたのは藤堂高虎で、慶長6年(1601年)ころには天守も建っていた。ただしそれは自然の岩盤の上に載る望楼型で、今のものとは形が違った。宇和島市の説明によれば、現在の天守は伊達家2代の宗利が城の大改修を行った際に、高虎の天守を撤去して石垣の天守台を築き、当時最新の層塔型として新しく建てたものにあたる。

完成した年は、まだ確定していない。文化庁の国指定文化財等データベースは年代を寛文4年から5年、西暦1664年から1665年とする。一方で宇和島市は寛文6年(1666年)頃としており、市は2026年6月、完成年について「確定する資料がなく、現在も様々な資料から検討が進められている」と公表している。数字が一つに定まっていないこと自体が、この建物の研究がまだ動いていることを示している。

重要文化財としての価値

宇和島城天守が重要文化財として重んじられているのは、戦うための装置がほとんど省かれている点にある。鉄砲や矢を放つための狭間がなく、真下の敵に石を落とす石落しもない。かわりに内部には長押が回り、建具が入る。城というより格式ある御殿の内装に近い。

外観にはその意図がもっと露骨に出ている。最上層の屋根には大きな軒唐破風が据えられ、二層目には大きな千鳥破風、一層目にはさらに二つの千鳥破風。破風の下には懸魚が下がる。一階には式台のついた玄関が張り出し、その上にも唐破風がかかる。白い壁を背に破風が段違いに重なる構成で、宇和島市はこれを太平の世を象徴するものと評している。

寸法は宇和島市の資料で高さ15.72メートル、礎石から大棟までを測った値である。一階の軒面積は212.75平方メートル。初層が六四方、二層が五間四方、三層が四間四方と、同じ比率で細っていく塔のような組み立てになっている。なお愛媛県教育委員会は高さを14.5メートルとしており、測り方の違いか記載の差か、数値は一致していない。

万延元年(1860年)に大修理を受け、昭和35年(1960年)から2年をかけた解体修理が昭和37年(1962年)10月に完成した。万延の修理に際して作られた10分の1の天守雛形が現存しており、天守本体と雛形の両方が江戸時代のまま残る例は珍しい。

登って見るべきところ

丘の上まで登ってから、まず正面に立ってみたい。破風が四段に重なる立面は、下から見上げる角度でしか意味が分からない造りになっている。式台のある玄関は、来客を迎えるための構えで、戦時に閉ざす前提の入口ではない。

中に入ったら足元と目の高さを見る。一階には一間半の武者走りが回り、壁には武者窓が開く。長押が通り、敷居や鴨居が入っている。木部は磨かれて年を経ており、床板の減り方に人の通り道が残っている。

三階まで上がると、窓の向こうに宇和島湾が広がる。リアス海岸の入り組んだ湾の最奥に城が置かれているという地形の理屈が、この高さに来て初めて腑に落ちる。三階の内壁には武具掛けと煙出しの窓がある。

外へ出たら天守台の石垣を見ておきたい。宇和島城天守は高虎の岩盤利用型から石垣の上に載る形へ建て替えられた建物なので、この石垣と建物の関係そのものが改修の記録になっている。

見学の方法

天守の観覧時間は、11月から2月が午前9時から午後4時、3月から10月が午前9時から午後5時で、無休。観覧料は大人200円、高校生以下は無料、65歳以上と20人以上の団体は160円で、当日現金のみの扱いとなる。城山そのものは無料で、開門は11月から2月が午前6時から午後5時、3月から10月が午前6時から午後6時30分。天守のライトアップは日没から午後10時まで行われている。

撮影について、宇和島市は個人の記念撮影を禁じていない。ただし刊行物や映像の制作にかかわる商業的な撮影は事前申請が必要で、城山が都市公園でもあるため都市整備課への手続きが求められる。城山内は全面禁煙、天守と郷土館へのペットの持ち込みは補助犬を除いて不可である。石垣や建物を傷つけないよう扱うことも市が呼びかけている。

JR宇和島駅から城山の入口までは徒歩約15分、約1キロ。そこから天守までは登りになり、駅から数えて約35分を見ておくとよい。車では宇和島朝日インターチェンジから約1キロ、およそ4分。城山下駐車場は24時間利用でき、料金は1時間100円、普通車46台まで停められる。

登城道の状況は変わることがある。南側の上り立ち門側の登城道は2026年7月に一部区間の通行が止まり、同年8月1日から上り立ち門から城山郷土館へ通じる区間のみ暫定的に通行が再開されている。児童公園へ抜ける区間は通行止めのままである(2026年9月4日確認)。荒天時は臨時に閉城することもあるので、出かける前に市の案内を見ておきたい。

よくある質問

Q宇和島城天守は入場できますか。時間と料金は?
A内部に入れます。観覧時間は11月から2月が午前9時から午後4時、3月から10月が午前9時から午後5時で無休です。観覧料は大人200円、高校生以下は無料、65歳以上と20人以上の団体は160円。支払いは当日現金のみです。
Q宇和島城天守はいつ建てられたのですか?
A完成年は確定していません。文化庁の国指定文化財等データベースは寛文4年から5年、西暦1664年から1665年とし、宇和島市は寛文6年(1666年)頃としています。市は2026年6月に、完成年を確定する資料がなく検討が続いていると公表しました。
Q宇和島城天守は写真撮影できますか?
A個人の記念撮影に制限はありません。刊行物や映像の制作にかかわる商業的な撮影は事前申請が必要で、宇和島市都市整備課への手続きが求められます。
Q宇和島城天守へのアクセスと駐車場は?
AJR宇和島駅から城山入口まで徒歩約15分、天守までは約35分です。車は宇和島朝日インターチェンジから約4分。城山下駐車場が24時間利用でき、1時間100円、普通車46台まで停められます。
Q宇和島城天守は現存12天守のひとつですか?
Aそのとおりです。江戸時代以前から建ち続けている天守は全国に12棟あり、宇和島城天守はその1棟です。狭間や石落しを持たない構成から、江戸時代の様式を代表する天守として位置づけられています。

基本データ

名称宇和島城天守
所在地愛媛県宇和島市丸之内
指定区分重要文化財
指定年昭和9年(1934年)1月30日
員数1棟
寸法三重三階、本瓦葺。高さ15.72メートル(礎石から大棟)、一階軒面積212.75平方メートル
所有者宇和島市
公開状況公開。年間を通じて無休。観覧時間は季節により変わる。観覧料は大人200円

参考文献

国指定文化財等データベース 宇和島城天守(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/3375
文化遺産オンライン 宇和島城天守(文化庁)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/176612
国指定 宇和島城天守(宇和島市)
https://www.city.uwajima.ehime.jp/site/sizen-bunka/1tensyu.html
宇和島城-天守について-(宇和島市)
https://www.city.uwajima.ehime.jp/site/uwajima-jo/ujoutennsyu.html
宇和島城-各種案内-(宇和島市)
https://www.city.uwajima.ehime.jp/site/uwajima-jo/ujouannnai3.html
宇和島城天守の完成年について愛媛新聞に記事が掲載されました(宇和島市)
https://www.city.uwajima.ehime.jp/site/uwajima-jo/castle-tower-ehime-np.html
宇和島城-取材・撮影・興行などについて-(宇和島市)
https://www.city.uwajima.ehime.jp/site/uwajima-jo/ujousyuzai.html
宇和島城南側登城口(上り立ち門側)の暫定通行開始について(宇和島市)
https://www.city.uwajima.ehime.jp/site/uwajima-jo/r8-01tsuukoudome.html
宇和島城天守(えひめの文化財(たから)・愛媛県教育委員会文化財保護課)
https://www.pref.ehime.jp/ehimenotakara/16.html

最終更新日: 2026.09.03