名は新しいが、敷地でいちばん古い蔵
末廣酒造嘉永蔵新蔵は、福島県会津若松市日新町にある造り酒屋の蔵座敷で、明治25年(1892年)に建てられ、平成30年(2018年)11月2日に登録有形文化財となった。土蔵造2階建、瓦葺で、建築面積は45平方メートルと敷地の9件のなかでは最も小さい。
新蔵という名は、建った当時この敷地で最も新しい蔵だったことによる。ところが明治39年(1906年)の大火で蔵の大半が焼けたため、現在は嘉永蔵に残る建物のうち最も古い1棟となった。名と実が入れ替わったまま、呼び名だけが残っている。
位置は主屋事務所の南側。東西を棟の向きとする切妻造で、西・南・北の三面に扉口を開き、東面に窓を取る。主屋事務所と対になって敷地の正面に並び、通りに向いた表構えをつくっている。
なぜ登録されたのか
末廣酒造嘉永蔵新蔵は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録された。登録番号は07-0186である。
評価の中心は二つある。ひとつは、主屋と並んで街路に面し、風格のある表構えの一方を担っていること。もうひとつは、内部が蔵座敷であることである。1階は二室の続き間で、後の改変はあるものの、欄間や箱階段といった造作に建てられた当初の姿が残る。
米や酒を納める土蔵ではなく、人が使う座敷を土蔵造でつくるのは、火災を繰り返した城下町では理にかなった選択だった。大火を生き延びた事実が、その判断を裏づけている。
蔵喫茶として使われている内部
末廣酒造嘉永蔵新蔵は、現在は蔵喫茶「杏」として使われている。コーヒーや大吟醸を使った菓子を出す店で、客として入れば蔵座敷の内部をそのまま見ることができる。敷地の9件のうち、案内を待たずに内部へ入れるのはここだけである。
見るべきは天井までの高さと壁の厚みである。土蔵造の壁は厚く、開口部は小さい。夏に入ると外との温度差に気づく。
外観では三面に開く扉口の配置を確かめたい。東の窓を除けば壁は閉じており、通りに向いた面がほとんど無開口であることが、蔵らしい量感を生んでいる。
見学方法
末廣酒造嘉永蔵新蔵の外観は街路から常時見られ、撮影に制限はない。
内部は蔵喫茶「杏」の営業時間中に利用できる。午前10時から午後4時30分まで、ラストオーダーは午後4時。定休日は毎週水曜日と第1・第3木曜日で、祝日にあたる場合は営業する。店内の撮影は他の客への配慮が要る。
敷地全体の見学時間・定休日・行き方は、末廣酒造嘉永蔵のページにまとめてある。
Q&A
- 末廣酒造嘉永蔵新蔵の内部に入れますか。
- 入れます。現在は蔵喫茶「杏」として使われており、営業時間中は客として内部を見られます。午前10時から午後4時30分まで、ラストオーダーは午後4時です。
- 末廣酒造嘉永蔵新蔵はなぜ「新蔵」と呼ばれるのですか。
- 明治25年(1892年)に建った当時、この敷地で最も新しい蔵だったためです。明治39年(1906年)の大火で他の蔵が焼けた結果、現在は敷地で最も古い建物になっています。
- 末廣酒造嘉永蔵新蔵はどのような建物ですか。
- 土蔵造の2階建で、瓦葺、建築面積は45平方メートルです。1階は二室の続き間の蔵座敷で、欄間や箱階段に当初の造作が残ります。
- 蔵喫茶「杏」の定休日はいつですか。
- 毎週水曜日と第1・第3木曜日です。祝日にあたる場合は営業します。酒蔵ショップや酒蔵見学とは定休日が異なります。
- 末廣酒造嘉永蔵新蔵はいつ登録有形文化財になりましたか。
- 平成30年(2018年)11月2日です。登録番号は07-0186で、同じ敷地の9件がまとめて登録されました。
基本データ
| 名称 | 末廣酒造嘉永蔵新蔵 |
|---|---|
| 所在地 | 福島県会津若松市日新町159他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成30年(2018年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土蔵造2階建、瓦葺、建築面積45平方メートル |
| 所有者 | 末廣酒造株式会社 |
| 公開状況 | 外観は街路から常時見学可。内部は蔵喫茶の営業時間中に利用可 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 末廣酒造嘉永蔵新蔵(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012471
- 嘉永蔵見学(末廣酒造株式会社)
- https://sake-suehiro.co.jp/museum
- 末廣の歴史(末廣酒造株式会社)
- https://sake-suehiro.co.jp/history
最終更新日: 2026.09.17