境内の輪郭をつくる石の擁壁

善通寺誕生院極楽堀石積は、香川県善通寺市善通寺町にある石造の護岸と石柵で、明治22年(1889年)に築かれ、平成22年(2010年)に登録有形文化財に登録された。

誕生院の境内の東端には極楽堀と呼ばれる堀が掘られている。深さ1.3メートル、幅6.5メートル、南北の長さは90メートルに及ぶ。この堀の四周に切石を積み上げて擁壁としたものが登録の対象で、石積の延長は193メートルを測る。

通り側には石柵が構えられる。布石の上に方形の柵子を立て、六本おきに太い柱を挟み、その間に笠石を渡す。堅固な構えというのが文化庁の評である。境内の内と外を分ける境界が、生垣でも塀でもなく石で組まれている点にこの場所の性格が出ている。

建物でない1件が登録された意味

善通寺誕生院極楽堀石積の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、登録番号は37-0354である。員数は1棟ではなく1基と数える。

誕生院の19件には、仏堂や門だけでなく塀・橋・土蔵、そしてこの石積が含まれる。個々の建物の意匠を選び出すのではなく、堀と石積と塀に囲まれた区画をひとまとまりの景観として捉えた登録であることが、この1件からよくわかる。堀に架かる勅使橋と二十日橋、堀の中に建つ弁天社も、この石積が水面を保っているからこそ成り立っている。

明治22年(1889年)という年代は、同じ年の仁王門と並んで誕生院の登録物件のなかでは古い部類に入る。堂舎の多くが昭和戦前に建て替えられたなかで、境内の輪郭は明治の姿を保っている。

柵の柱を数えてみる

通りから眺めるとき、石柵の柱の太さに目をやりたい。細い柵子が並ぶなかで六本おきに太い柱が入り、そこが構造の節目になっている。上に載る笠石は、柱と柱の間を横に渡して雨から石積を守る役割を持つ。

水面まで視線を落とすと、切石の積み方が見える。角を揃えた石を水際から積み上げているため、堀の断面が箱のように整っている。善通寺誕生院極楽堀石積は総延長193メートルに及ぶので、南北に歩きながら石の目地の通り方を追うと、施工の手数が見えてくる。

見学の条件

善通寺誕生院極楽堀石積は境内の東端、公道に面した位置にある。誕生院に入る前、堀端の歩道から全体を見渡せるため、参拝の始めと終わりに立ち止まるとよい。門が閉まる時間でも外側からは見える。

堀の中に立ち入ることはできず、内部という概念もない構造物なので、拝観の受付や料金は関係しない。撮影について個別の掲示はないが、公道側からの撮影であれば妨げるものはない。石積の上を歩いたり柵に登ったりすることは避けたい。

Q&A

Q善通寺誕生院極楽堀石積とは何ですか?
A誕生院の東端にある極楽堀の護岸石積と石柵です。延長193メートル、明治22年(1889年)の築造で、建物ではなく1基として登録されています。
Q善通寺誕生院極楽堀石積の堀はどれくらいの大きさですか?
A極楽堀は深さ1.3メートル、幅6.5メートル、南北90メートルです。四周の擁壁が石積として登録されています。
Q善通寺誕生院極楽堀石積はどこから見られますか?
A境内東側の公道に面した堀端から見渡せます。仁王門や勅使門へ向かう途中で自然に前を通ります。
Q善通寺誕生院極楽堀石積の見どころはどこですか?
A石柵で六本おきに太い柱を立て、その間に笠石を載せる構成です。水際まで切石を積み上げた擁壁の目地も見どころです。
Q善通寺誕生院極楽堀石積の見学に料金はかかりますか?
Aかかりません。公道側から見える位置にあり、拝観の受付を通らずに見学できます。

基本情報

名称善通寺誕生院極楽堀石積
所在地香川県善通寺市善通寺町3-615他
指定区分登録有形文化財
指定年平成22年(2010年)登録
員数1基
寸法石造、延長193メートル、柵付
所有者宗教法人善通寺
公開状況公道側から常時見学可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院極楽堀石積
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008186
文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院弁天社
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008187
総本山善通寺 境内の見どころ
https://zentsuji.com/keidai/

最終更新日: 2026.09.14