御影堂の背後に控える方三間の堂

善通寺誕生院奥殿は、香川県善通寺市善通寺町にある木造平屋建の仏堂で、昭和11年(1936年)に建てられ、平成22年(2010年)に登録有形文化財に登録された。

誕生院の伽藍の中央に東を向いて建ち、釣屋という短い接続部を介して前方の御影堂につながる。方三間、つまり正面も側面も三間の正方形の平面をとり、屋根は宝形造の本瓦葺。建築面積は98平方メートルである。

総本山善通寺の説明によれば、奥殿の建つ位置は弘法大師空海の生家である佐伯家の邸宅があったころ、母君の部屋があった場所と伝わる。御影堂の地下をめぐる戒壇めぐりの中央部は、ちょうど善通寺誕生院奥殿の真下にあたる。

厨子のような正面をもつ

善通寺誕生院奥殿の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、登録番号は37-0339。誕生院の19件の登録番号のうち先頭に置かれている。

細部は丁寧である。四周に縁をまわし、柱はすべて円柱、組物は三斗組で、中央の間には蟇股を飾る。目を引くのは正面中央間で、ここだけ唐破風の屋根を差し掛け、仏像を納める厨子のような造りにしたうえで、彫刻と彩色で飾っている。文化庁の解説はこの姿を繊細で優美と評し、堂全体が醸す厳粛な雰囲気に触れている。

御影堂が広い礼拝空間をつくる平明な建物であるのに対し、その奥に控えるこの堂は小ぶりで密度が高い。二棟が役割を分け合う関係にある。

正面の一間に注目する

見るべきは正面中央間である。左右の間が平らな軒を保つなかで、中央だけが唐破風の曲線を張り出す。柱間ひとつぶんの幅に彫刻と彩色を集中させているので、離れて全体を眺めるより、縁の下から見上げる距離まで近づいたほうが違いがわかる。

屋根の形も確かめたい。宝形造は四方の屋根面が頂点で一点に集まる形で、方三間の正方形の平面と素直に対応している。御影堂の複雑に交わる屋根を見たあとに善通寺誕生院奥殿の屋根を見ると、形の単純さがかえって際立つ。

見学の条件

善通寺誕生院奥殿は御影堂の背後にあるため、正面から近づくことはできない。堂の姿を確かめるには、御影堂の北側か南側を回り込み、斜めの位置から見ることになる。

堂内に立ち入る形の拝観は案内されていない。ただし御影堂で受け付ける戒壇めぐりに参加すると、暗闇の通路の中央でこの堂の真下を通ることになる。戒壇めぐりは宝物館とセットで大人700円、小人300円、受付は午後4時30分に終了する。撮影については個別の掲示がないので、堂に近づいて撮る場合は御影堂内の受付で確認しておきたい。

Q&A

Q善通寺誕生院奥殿はどんな建物ですか?
A方三間、宝形造本瓦葺の木造仏堂です。建築面積98平方メートル、昭和11年(1936年)の建築で、御影堂の背後に建ちます。
Q善通寺誕生院奥殿の中に入れますか?
A堂内の拝観は案内されていません。ただし戒壇めぐりに参加すると、地下の通路でこの堂の真下を通ります。
Q善通寺誕生院奥殿の場所にはどんな由来がありますか?
A総本山善通寺は、佐伯家の邸宅があった当時この場所に母君の部屋があったと伝えています。あくまで寺に伝わる話です。
Q善通寺誕生院奥殿はどこから見るのがよいですか?
A御影堂の北側か南側から回り込んだ斜めの位置です。正面中央間の唐破風と彫刻はここから確認できます。
Q善通寺誕生院奥殿はいつ登録有形文化財になりましたか?
A平成22年(2010年)4月28日です。誕生院の建造物19件が同じ日に登録され、その登録番号37-0339が先頭にあたります。

基本情報

名称善通寺誕生院奥殿
所在地香川県善通寺市善通寺町3-615他
指定区分登録有形文化財
指定年平成22年(2010年)登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積98平方メートル
所有者宗教法人善通寺
公開状況外観は常時見学可、堂内の拝観は案内なし

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院奥殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008171
総本山善通寺 境内の見どころ
https://zentsuji.com/keidai/
総本山善通寺 拝観時間・料金
https://zentsuji.com/拝観時間・料金/

最終更新日: 2026.09.14