二種類の屋根材を使い分けた堂
善通寺誕生院聖霊殿は、香川県善通寺市善通寺町にある木造平屋建の仏堂で、昭和15年(1940年)に建てられ、平成22年(2010年)に登録有形文化財に登録された。
御影堂の北に並んで建ち、桁行三間の渡廊下で御影堂とつながる。正面三間、側面四間。内部は内陣と外陣に分かれ、天井には小組の格天井を張る。建築面積は118平方メートルである。
屋根の構成に特徴がある。主屋根は宝形造の銅板葺だが、その四周に裳階と呼ばれる差し掛けの屋根をめぐらせ、こちらは檜皮葺とする。さらに正面中央の一間だけ裳階を切り上げ、その部分を銅板葺に戻す。文化庁の登録データが構造を「銅板葺及び檜皮葺」と記すのはこのためである。
端正という評価
善通寺誕生院聖霊殿の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、登録番号は37-0342である。
柱は方柱、柱上は舟肘木、軒は緩やかな一軒の疎垂木で、部材は控えめにまとめられている。文化庁の解説はこの堂を端正と評しており、装飾を積み上げるのではなく、寸法と勾配の整え方で品格を出す方向が取られている。同じ年に建った護摩堂が復古的な彫りを見せるのとは対照的で、二棟は近い場所に建ちながら別の性格を与えられている。
檜皮葺は樹皮を重ねて葺く伝統的な工法で、瓦や銅板に比べて手数も費用もかかる。昭和15年(1940年)の建築でこれを裳階に用いた点は、この堂の位置づけをうかがわせる。
正面中央の切り上げを見る
正面に立ち、軒の高さを左右に追ってみたい。両脇では檜皮葺の裳階が低く水平に伸びるのに対し、中央の一間だけが持ち上がり、そこだけ銅板の色に変わる。入口の位置が屋根の形で示されている。
素材の違いも近くで確かめられる。檜皮葺の軒先は幾重にも重なった樹皮の層が縞になって見え、銅板の平滑な面と質感が異なる。善通寺誕生院聖霊殿は、この二つが一棟のうちで隣り合う数少ない例にあたる。
見学の条件
善通寺誕生院聖霊殿は御影堂の北隣にあり、御影堂前の広場から北へ回ると正面が見える。渡廊下でつながっているため、御影堂と一続きの塊として眺めることもできる。
堂内に立ち入る形の拝観は案内されていない。総本山善通寺が有料で受け付けているのは戒壇めぐりと宝物館の拝観で、いずれも御影堂内が受付である。撮影の可否について個別の掲示は出ていないので、堂の内部に向けて撮る場合はその受付で確認するのが確実である。
Q&A
- 善通寺誕生院聖霊殿の屋根はなぜ二種類の材でできているのですか?
- 主屋根が宝形造の銅板葺、四周にめぐる裳階が檜皮葺だからです。正面中央の一間だけ裳階を切り上げ、銅板葺に戻しています。
- 善通寺誕生院聖霊殿はどこにありますか?
- 御影堂の北隣です。桁行三間の渡廊下で御影堂と結ばれています。
- 善通寺誕生院聖霊殿の中に入れますか?
- 堂内の拝観は案内されていません。外から正面と側面を見ることができます。
- 善通寺誕生院聖霊殿の規模はどれくらいですか?
- 正面三間、側面四間で建築面積118平方メートルです。内部は内陣と外陣に分かれます。
- 善通寺誕生院聖霊殿はいつ登録されましたか?
- 平成22年(2010年)4月28日、誕生院の19件が一括で登録有形文化財となった際の1件で、登録番号は37-0342です。
基本情報
| 名称 | 善通寺誕生院聖霊殿 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県善通寺市善通寺町3-615他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財 |
| 指定年 | 平成22年(2010年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、銅板葺及び檜皮葺、建築面積118平方メートル |
| 所有者 | 宗教法人善通寺 |
| 公開状況 | 外観は常時見学可、堂内の拝観は案内なし |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院聖霊殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008174
- 総本山善通寺 境内の見どころ
- https://zentsuji.com/keidai/
- 総本山善通寺 拝観時間・料金
- https://zentsuji.com/拝観時間・料金/
最終更新日: 2026.09.14