桁行20メートルの座敷建築

善通寺誕生院宸殿は、香川県善通寺市善通寺町にある木造平屋建の書院で、明治40年(1907年)に建てられ、平成22年(2010年)に登録有形文化財に登録された。

御影堂の南方に東西棟で建つ。屋根は入母屋造の桟瓦葺、桁行20メートル、梁間11メートル、建築面積は215平方メートルに及ぶ。三方には組高欄を付けた切目縁がまわる。

内部は南北に四室ずつ、計八室を並べた八間取で、北面には畳敷きの廊下を付設する。仏堂が並ぶ誕生院の北側とは性格が異なり、善通寺誕生院宸殿は人が座り、迎え、応対するための建物である。

上段の間をもつ格

善通寺誕生院宸殿の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、登録番号は37-0347である。

八室のうち南面の西端が上段の間で、床の間と床脇の棚を構え、天井は二重折上の小組格天井とする。折上格天井は座敷の格式を示す仕立てで、それを二重に重ねているのだから、この一室が最も上位に置かれていることは形から読み取れる。文化庁の解説も規模の大きさと風格に触れている。

宸殿という呼称は本来、天皇の御座所を指す語である。誕生院がこの名の建物を明治40年(1907年)に構えた背景には、勅使門や勅使橋を伴う境内の構成が関わっていると考えられる。ただし建築の由来を直接記した一次資料は確認できていない。

縁の高欄と屋根の伸び

外から見るなら、まず三方にまわる縁と高欄を追いたい。切目縁は板を柱筋と直交させて張る形式で、20メートルの桁行に沿って水平線が長く伸びる。その上に組高欄が載ることで、線がもう一段強調される。

屋根は入母屋造だが、桁行が長いため妻の三角形は建物全体のなかで小さく見える。善通寺誕生院宸殿を斜めから眺めると、低く伸びる屋根と縁の水平線が重なり、御影堂の垂直な構えとは対照的な姿になる。

見学の条件

善通寺誕生院宸殿は寺の生活と応接に用いられる建物のため、内部は公開されていない。東側に取り付く大玄関及び小玄関の前まで進めば、屋根と縁の東半分は確認できる。

総本山善通寺が拝観を受け付けているのは戒壇めぐりと宝物館で、いずれも御影堂内が受付である。宸殿はその対象に含まれない。撮影について個別の掲示はないので、玄関前から建物へカメラを向ける程度にとどめ、気になる場合は受付で確認するのが確実である。

Q&A

Q善通寺誕生院宸殿はどんな建物ですか?
A明治40年(1907年)建築の書院です。桁行20メートル、梁間11メートル、建築面積215平方メートルで、南北に四室ずつの八間取をとります。
Q善通寺誕生院宸殿の中に入れますか?
A内部は公開されていません。東に取り付く大玄関及び小玄関の前から外観の一部を見ることができます。
Q善通寺誕生院宸殿の上段の間はどこですか?
A南面の西端の一室です。床の間と棚を構え、二重折上の小組格天井を張ります。
Q善通寺誕生院宸殿はどこにありますか?
A御影堂の南方です。東西に長い棟で、東端に大玄関及び小玄関が接続します。
Q善通寺誕生院宸殿はいつ登録有形文化財になりましたか?
A平成22年(2010年)4月28日で、登録番号は37-0347です。同じ年の大玄関及び小玄関も同時に登録されました。

基本情報

名称善通寺誕生院宸殿
所在地香川県善通寺市善通寺町3-615他
指定区分登録有形文化財
指定年平成22年(2010年)登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積215平方メートル、桁行20メートル、梁間11メートル
所有者宗教法人善通寺
公開状況内部非公開、外観の一部のみ見学可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院宸殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008179
文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院大玄関及び小玄関
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008180
総本山善通寺 境内の見どころ
https://zentsuji.com/keidai/

最終更新日: 2026.09.14