壁のない九間の廻廊

善通寺誕生院御影堂前廻廊は、香川県善通寺市善通寺町にある木造平屋建の廻廊で、大正4年(1915年)に建てられ、平成22年(2010年)に登録有形文化財に登録された。

御影堂の前に東西棟で横たわる。桁行九間、梁間一間の細長い建物で、四方に壁を設けない吹き放ちとする。屋根は本瓦葺、両端の妻を唐破風造とし、建築面積は114平方メートル。

礎石の上に几帳面取の方柱を立て、柱上に三斗を組み、虹梁形の頭貫で柱同士を固める。棟木は大瓶束が支える。参拝者は御影堂へ向かう途中でこの廻廊をくぐるため、善通寺誕生院御影堂前廻廊は堂へ至る動線の一部として機能している。

彫刻が集まる廻廊

善通寺誕生院御影堂前廻廊の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、登録番号は37-0341である。御影堂の37-0340に続く番号が振られている。

この建物の価値は彫刻の密度にある。梁間の中備には龍の彫刻が置かれ、柱の木鼻には貘鼻と獅子鼻が付く。文化庁の解説はこれらが重畳し、御影堂の参道を飾ると記す。壁のない構造のため部材がすべて露出し、彫刻は隠れる場所なく並ぶ。

大正4年(1915年)という年代は、明治40年(1907年)の宸殿と昭和11年(1936年)の御影堂の中間にあたる。現在の御影堂より21年早く建っており、この廻廊は前身の堂の時代から参道を飾っていたことになる。

見上げて彫刻を追う

吹き放ちの建物なので、くぐりながら見上げるのがよい。柱間ごとに龍の彫刻が現れ、九間ぶんが連続する。中央付近で立ち止まると、東西どちらの方向にも同じ列が伸びているのが分かる。

柱の上部にも目をやりたい。木鼻から突き出す貘鼻と獅子鼻は、正面より斜め下から見上げたときに輪郭が読める。妻側に回れば唐破風の曲線と、その下で棟木を受ける大瓶束が見える。善通寺誕生院御影堂前廻廊は高さがないぶん、細部までの距離が近い建物である。

見学の条件

善通寺誕生院御影堂前廻廊は御影堂の正面に立つため、堂へ参拝する人は必ず通る。壁がなく通り抜けの構造なので、内側からも外側からも見学でき、拝観の受付や料金は関係しない。

総本山善通寺で有料になるのは、御影堂内で受け付ける戒壇めぐりと宝物館の拝観だけである。撮影について個別の掲示は出ていないが、彫刻を見上げて撮る形になるため、参拝者の通行を妨げない位置を選びたい。気になる場合は御影堂内の受付で確認できる。

Q&A

Q善通寺誕生院御影堂前廻廊の見どころは何ですか?
A梁間の中備に置かれた龍の彫刻と、柱の木鼻から突き出す貘鼻・獅子鼻です。壁がないため部材がすべて見えます。
Q善通寺誕生院御影堂前廻廊はいつ建てられましたか?
A大正4年(1915年)です。現在の御影堂が建つ昭和11年(1936年)より21年早い建築にあたります。
Q善通寺誕生院御影堂前廻廊は通れますか?
A通れます。壁のない吹き放ちの構造で、御影堂へ参拝する人はこの下をくぐります。
Q善通寺誕生院御影堂前廻廊の規模はどれくらいですか?
A桁行九間、梁間一間で建築面積114平方メートルです。屋根は本瓦葺、両端の妻は唐破風造とします。
Q善通寺誕生院御影堂前廻廊の見学に料金はかかりますか?
Aかかりません。有料になるのは御影堂内で受け付ける戒壇めぐりと宝物館の拝観だけです。

基本情報

名称善通寺誕生院御影堂前廻廊
所在地香川県善通寺市善通寺町3-615他
指定区分登録有形文化財
指定年平成22年(2010年)登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積114平方メートル
所有者宗教法人善通寺
公開状況常時通行可、拝観料不要

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院御影堂前廻廊
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008173
文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院御影堂
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008172
総本山善通寺 境内の見どころ
https://zentsuji.com/keidai/

最終更新日: 2026.09.14