四本の控柱で支える門
善通寺誕生院勅使門は、香川県善通寺市善通寺町にある木造銅板葺の門で、昭和11年(1936年)に建てられ、平成22年(2010年)に登録有形文化財に登録された。
仁王門の南方、大玄関の東北にあたる位置に建つ四脚門である。四脚門は本柱二本の前後に控柱を二本ずつ添えた形式で、門としては格の高い形にあたる。間口は3.0メートル。
屋根は正面と背面を唐破風造、側面を切妻造とし、銅板で葺く。床は土間、天井は全面に格天井を張る。柱は本柱を円柱、控柱を几帳面取の方柱とし、太さと断面を変えて役割を示す。善通寺誕生院勅使門は、門という小さな建築のなかに書院の造作を持ち込んだような仕立てになっている。
開かれない門としての設計
善通寺誕生院勅使門の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、登録番号は37-0352である。
この門の正面は極楽堀に面し、堀には勅使橋が架かる。門と橋が対になっているため、この一組は日常の出入りではなく、特別な参向のための入口として構えられたと考えられる。門の南北には太鼓塀が延び、北端には番所が置かれる。門・橋・塀・番所の四件はいずれも昭和11年(1936年)の造営で、東面の構えが一度に整えられたことが年代から分かる。
組物は三斗組で、正面と背面の中備に蟇股を置く。文化庁の解説は、屋根勾配が緩やかであることから生まれる優雅な外観に触れている。装飾を高く積み上げるのではなく、水平方向に穏やかにまとめる方向が選ばれている。
唐破風の輪郭を追う
堀の対岸から正面を見ると、屋根の中央がゆるやかに反り上がり、両端で下がる唐破風の輪郭がはっきりする。銅板葺のため面が平滑で、曲線の連なりが素直に読める。
側面に回ると印象が変わる。正面の曲線に対して側面は切妻の直線で、同じ屋根が方向によって別の形に見える。門の下をのぞけば土間の上に格天井が張られているのが分かる。屋外に開いた通路に格天井を張る例は多くない。善通寺誕生院勅使門で最も意外性のある部分がここである。
見学の条件
善通寺誕生院勅使門は境内東側、公道に面した堀の内側に立つ。門の正面全体は堀端の歩道から見える。境内側からは大玄関前まで進めば背面を確認できる。
この門は日常的に開かれる門ではないため、ここを通って出入りすることは通例できない。参拝は北の仁王門からになる。総本山善通寺で有料になるのは戒壇めぐりと宝物館だけで、門の見学に料金はかからない。撮影について個別の掲示はなく、公道側からの撮影に支障はない。
Q&A
- 善通寺誕生院勅使門はどんな形式の門ですか?
- 四脚門です。本柱を円柱、控柱を几帳面取の方柱とし、屋根は前後を唐破風造、側面を切妻造として銅板で葺きます。
- 善通寺誕生院勅使門は通れますか?
- 日常的には開かれません。参拝の出入りは北側の仁王門を使います。
- 善通寺誕生院勅使門の間口はどれくらいですか?
- 3.0メートルです。床は土間で、天井には全面に格天井が張られます。
- 善通寺誕生院勅使門の見どころはどこですか?
- 正面と背面の唐破風の曲線、そして門下に張られた格天井です。側面は切妻の直線で、方向によって表情が変わります。
- 善通寺誕生院勅使門はいつ建てられましたか?
- 昭和11年(1936年)です。前に架かる勅使橋、南北に延びる太鼓塀、番所も同じ年の造営です。
基本情報
| 名称 | 善通寺誕生院勅使門 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県善通寺市善通寺町3-615他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財 |
| 指定年 | 平成22年(2010年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造、銅板葺、間口3.0メートル |
| 所有者 | 宗教法人善通寺 |
| 公開状況 | 外観は常時見学可、通行は不可 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院勅使門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008184
- 文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院勅使橋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008189
- 総本山善通寺 境内の見どころ
- https://zentsuji.com/keidai/
最終更新日: 2026.09.14