三棟をつなぐ屋根付きの通路
善通寺誕生院護摩堂廻廊は、香川県善通寺市善通寺町にある木造平屋建の廻廊で、昭和15年(1940年)頃に建てられ、平成22年(2010年)に登録有形文化財に登録された。
聖霊殿を起点に、地蔵堂の側面と背面を回り込み、護摩堂へ至る。屋根は切妻造の銅板葺で、建築面積は56平方メートル。床は土間で、天井を張らずに化粧屋根裏とする。
地蔵堂に面した側は開け放たれ、北面と西面は真壁造として連子窓を並べ、出入口を一か所だけ開ける。開いた側と閉じた側をはっきり分けたことで、歩く人の視線は自然に地蔵堂のほうへ向く。
通路が建築として登録された理由
善通寺誕生院護摩堂廻廊の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、登録番号は37-0345である。
廻廊は単独では用をなさない建物である。それでも1件として登録されたのは、聖霊殿・地蔵堂・護摩堂という同時期の三棟を一体の構成にまとめる役割を担っているからにほかならず、文化庁の解説もこの廊下が閑静な空間を画すると述べている。誕生院の北側の一画は、堂と廊下が交互に現れる構成で計画されており、廊下を抜くとその筋書きが崩れる。
東に続く閻魔堂及び渡廊下も同じ意匠でそろえられており、二つの廊下は兄弟のような関係にある。
天井を見上げながら歩く
この廻廊の性格は上を見ると分かる。天井板を張らないため、棟木を支える蟇股、梁間に渡した虹梁、柱上の舟肘木といった骨組みがそのまま目に入る。柱は円柱ではなく方柱で、飾りを抑えた構えである。
足元は土間のままで、履物の音がよく響く。善通寺誕生院護摩堂廻廊を地蔵堂側から見ると、柱の間に切り取られた庭と堂の姿が連続する額縁のように並ぶ。北側の連子窓からは、細く分けられた光が土間に落ちる。
見学の条件
善通寺誕生院護摩堂廻廊は御影堂の北、聖霊殿と護摩堂の間にある。参拝の動線上にあるため、堂から堂へ移動する際に屋根の下を歩くことになる。
廊下として通行できる状態にあることが多いが、法要の際は使われるので、そのときは外から眺める。総本山善通寺が堂内拝観として案内しているのは戒壇めぐりと宝物館で、この廻廊は拝観の受付を経ずに見られる。撮影について個別の掲示はないため、堂の内部を含めて撮る場合は御影堂内の受付で確認しておきたい。
Q&A
- 善通寺誕生院護摩堂廻廊はどこからどこをつないでいますか?
- 聖霊殿から地蔵堂の側面と背面を回り込み、護摩堂に至ります。三棟をひと続きに歩ける構成です。
- 善通寺誕生院護摩堂廻廊はいつ建てられましたか?
- 昭和15年(1940年)頃です。結んでいる三棟も同じ時期の建築にあたります。
- 善通寺誕生院護摩堂廻廊は通り抜けできますか?
- 通行できる状態にあることが多いものの、法要で使われる時間帯は外から眺めることになります。
- 善通寺誕生院護摩堂廻廊の見どころは何ですか?
- 天井を張らない化粧屋根裏です。蟇股や虹梁、舟肘木といった骨組みが歩きながら見えます。
- 善通寺誕生院護摩堂廻廊の規模はどれくらいですか?
- 木造平屋建で建築面積56平方メートル、屋根は切妻造の銅板葺です。
基本情報
| 名称 | 善通寺誕生院護摩堂廻廊 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県善通寺市善通寺町3-615他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財 |
| 指定年 | 平成22年(2010年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、銅板葺、建築面積56平方メートル |
| 所有者 | 宗教法人善通寺 |
| 公開状況 | 外観は常時見学可、通行できる時間帯あり |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院護摩堂廻廊
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008177
- 文化庁 国指定文化財等データベース 善通寺誕生院地蔵堂
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008176
- 総本山善通寺 境内の見どころ
- https://zentsuji.com/keidai/
最終更新日: 2026.09.14