龍口寺大書院 ― 屋根を幾重にも重ねた2階建の接客殿

龍口寺大書院は、神奈川県藤沢市片瀬の龍口寺境内の南東に建つ木造2階建の書院で、文化庁の記録では昭和7年(1932年)の建築とされ、令和3年(2021年)に登録有形文化財となった。登録番号は14-294である。

建築面積は399平方メートルに及び、屋根は瓦葺。一階に大小6室、二階に大広間2室を備え、文化庁の解説は大規模な接客施設と位置づけている。龍口寺の登録4棟のなかで群を抜いて大きく、また唯一の2階建である。

龍口寺大書院の出自をめぐる二つの記述

龍口寺大書院の成り立ちについては、公的な記録と寺の案内とで説明が異なる。文化庁の記録が示す年代は昭和7年(1932年)で、移築についての記載はない。

寺の公式サイトはこれとは別の経緯を伝えている。明治初年に信州松代、いまの長野県松代地域で蚕糸業を営んでいた窪田家が「蚕糸御殿」を建て、その建物を昭和10年(1935年)に龍口寺へ移して大書院にしたという。

二つの記述が建物のどの段階を指しているのか、公開されている資料からは判断できない。本記事では登録上の年代として昭和7年を採り、寺の伝える移築の経緯を併せて記しておく。

重ねた屋根がつくる豪壮な外観

龍口寺大書院の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説が評価するのは、屋根の重ね方の巧みさだ。

主屋根は入母屋造で、妻入とする。その正面に、切妻造の平屋と、庇の付いた入母屋造の式台を張り出している。式台は客を迎える正式な玄関にあたる。高さの違う三つの屋根が手前から奥へ段になって重なり、2階建の大きな本体を正面から受け止める形になる。解説はこの外観を豪壮と表現している。

折上格天井の大広間と座敷飾

龍口寺大書院の一階は大小6室に分かれ、二階は大広間2室を取る。二階の広間はいずれも天井の中央を一段持ち上げた折上格天井で、文化庁の解説は広々とした空間と記す。

床の間や棚などの座敷飾は、部屋ごとに意匠を変えてある。同じ形式を並べるのではなく、室ごとに違う設えを用意しているところに、客をもてなす建物としての性格が出ている。

寺の案内によれば、建物は欅造りで、両側面の大廊下には一本通しの杉柱が12間(約22メートル)にわたって並ぶ。

龍口寺大書院の見学

龍口寺の公式サイトには、龍口寺大書院の内部を一般に公開するという案内は見当たらない。見学は境内からの外観が中心になる。内部を見たい場合は、寺(電話0466-25-7357、午前9時30分から午後4時まで)に事前に問い合わせたい。

屋根の重なりを読むには、正面にまっすぐ立つより、斜め前へ少し回り込んで眺めるほうがよい。式台と切妻の平屋、その奥の入母屋の妻が、角度を変えるとそれぞれ別の面として見分けられる。

寺の案内では、龍口寺大書院と鐘楼堂のあいだに手洗いがある。大書院の位置を探すときの目安になる。

Q&A

Q龍口寺大書院はいつ建てられましたか?
A文化庁の記録では昭和7年(1932年)の建築です。寺の案内は、明治初年に長野県松代で建てられた建物を昭和10年(1935年)に移築したと伝えています。
Q龍口寺大書院の内部は見学できますか?
A寺の公式サイトに内部公開の案内はありません。見学を希望する場合は寺に事前に問い合わせてください。
Q龍口寺大書院はどのくらいの大きさですか?
A木造2階建で、建築面積は399平方メートルです。一階に大小6室、二階に大広間2室があります。
Q龍口寺大書院の外観の特徴は何ですか?
A入母屋造妻入の本体の正面に、切妻造の平屋と庇付きの入母屋造の式台を張り出し、屋根を重ねた豪壮な姿になっている点です。
Q龍口寺大書院が登録有形文化財になったのはいつですか?
A令和3年(2021年)2月26日です。登録番号は14-294です。

基本情報

名称龍口寺大書院
所在地神奈川県藤沢市片瀬3丁目2822
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和3年(2021年)登録
員数1棟
寸法木造2階建、建築面積399平方メートル
所有者宗教法人龍口寺
公開状況外観は見学可、内部公開の案内なし

参考文献

国指定文化財等データベース 龍口寺大書院(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013697
龍口寺大書院(文化遺産オンライン)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/517307
龍口寺を知る(寂光山龍口寺)
https://ryuukoji.com/about/
よくあるご質問(寂光山龍口寺)
https://ryuukoji.com/faq/

最終更新日: 2026.09.15