本願寺本堂とは:丹後に残る唯一の中世仏堂

本願寺本堂(ほんがんじほんどう)は、京都府京丹後市久美浜町にある浄土宗の寺院、本願寺の本堂で、鎌倉時代後期(1275〜1332年)に建てられたとみられる仏堂であり、明治37年(1904年)2月18日に重要文化財に指定された。

京都市下京区にある浄土真宗本願寺派の本山、本願寺(西本願寺)とは別の寺院である。寺は久美浜町十楽にあり、住所は久美浜町1番地にあたる。

京丹後市は、本願寺本堂を市内で最も古い木造建造物としている。市の資料が引く京丹後市デジタルミュージアムの解説は、丹後で最古の木造建築であると同時に、丹後で唯一の中世の仏堂の遺構として貴重なものと位置づけている。

ゆるやかな勾配の檜皮葺屋根と禅宗様の須弥壇

文化庁の記録では、本願寺本堂は桁行5間、梁間5間、一重、入母屋造、檜皮葺である。正面と側面がともに5間の、ほぼ正方形の平面をもつ。

京丹後市の解説によると、檜皮葺の屋根は勾配がゆるやかである。京丹後市観光公社も、なだらかな一重入母屋造檜皮葺の本堂が鎌倉時代の様式の姿を残していると紹介している。屋根の線の穏やかさは、正面から少し離れて全体を見るとよく分かる。

堂内では、内陣の中央に禅宗様の須弥壇と厨子が置かれ、本尊が祀られている(京丹後市)。京丹後市観光公社によると、本堂には2000体の千体仏が祀られ、「命乞いの仏様」「安全守護の仏様」として信仰を集めてきたと伝えられる。

本願寺の縁起と本堂の位置づけ

京丹後市の資料が紹介する縁起では、天平2年(730年)に行基がこの地を訪れた際、1本の大樹に群がっていた鴫(しぎ)がたちまち仏の姿に変わって西の空へ飛び去るという瑞相があった。行基はその大樹で阿弥陀如来の像を刻み、一宇を建てて安置したのが寺の始まりと伝える。その後、恵心僧都(源信)が復興したという。

京丹後市観光公社の紹介では、のちに法然が当寺で浄土宗を広め、現在に至っている。こうした寺の伝えに対し、現存する本願寺本堂そのものは、鎌倉時代後期のものとみられている。

明治44年の大修理と45年ぶりの屋根葺替

京丹後市教育委員会によると、本願寺本堂では令和5年度から2年間の計画で、檜皮葺屋根の全面葺替が進められた。全面葺替は45年ぶりで、事業期間は令和6年(2024年)2月から同年12月末までの予定とされ、修理内容には屋根の葺替のほか耐震補強などが挙げられていた。工事の完了を告げる市の発表は、本稿の執筆時点で確認できていない。

使われる檜皮は屋根全体で約4万2000枚から5万枚、重さ約5.2トン以上と見込まれていた。工事中に屋根の内側の小屋組を確かめたところ、明治44年(1911年)の大修理の際の木材が見つかり、当時京都府の技師として現場を監督した亀岡末吉の名も書かれていたという。

工事期間中には、修理現場の一般公開や地元の小中学生の見学会が開かれた。京丹後市は、檜皮葺の技術が令和2年(2020年)にユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統建築工匠の技」を構成する技術の一つであることも紹介している。

本願寺本堂への行き方と拝観

本願寺本堂へは、京都丹後鉄道宮豊線の久美浜駅が最寄りである。京都府観光連盟の案内では、久美浜駅前から本願寺までは直線距離で約0.6キロで、駅から歩いて向かえる。

本堂内部の拝観の可否や拝観時間、拝観料については、京丹後市や観光公社の公表資料に記載が見当たらなかった。堂内の千体仏を拝観したい場合や団体で訪れる場合は、事前に寺へ問い合わせたい。撮影の可否も、訪問の際に寺で確かめてほしい。

同じ寺には、京都府指定文化財の木造阿弥陀如来立像と、京丹後市指定文化財の勅使門もある(京丹後市の関連文化財群リストによる)。本願寺本堂を訪ねる際は、境内の勅使門との位置関係もあわせて見ておきたい。

Q&A

Q京丹後市の本願寺本堂はいつの建物で、いつ重要文化財に指定されましたか?
A鎌倉時代後期(1275〜1332年)の建物とみられ、明治37年(1904年)2月18日に重要文化財に指定されました。
Q久美浜の本願寺本堂は京都市の西本願寺と関係がありますか?
A別の寺院です。久美浜町の本願寺は浄土宗の寺で、京都市下京区の浄土真宗本願寺派の本山、本願寺(西本願寺)とは宗派も異なります。
Q本願寺本堂はなぜ貴重なのですか?
A京丹後市内で最も古い木造建造物で、丹後で唯一の中世仏堂の遺構とされているためです。
Q本願寺本堂の屋根はいつ葺き替えられましたか?
A令和5年度から2年間の計画で、45年ぶりに檜皮葺屋根の全面葺替と耐震補強などが進められました(令和6年12月末の完了予定)。工事中に明治44年(1911年)の大修理の痕跡も確認されています。
Q本願寺本堂へはどう行きますか?拝観はできますか?
A京都丹後鉄道宮豊線の久美浜駅から直線距離で約0.6キロです。堂内の拝観条件は公表資料に記載がないため、事前に寺へ問い合わせてください。

基本情報

名称本願寺本堂(ほんがんじほんどう)
所在地京都府京丹後市久美浜町1番地(十楽)
指定区分重要文化財(建造物)
指定年明治37年(1904年)2月18日
員数1棟
寸法桁行5間、梁間5間、一重、入母屋造、檜皮葺
所有者本願寺
公開状況堂内の拝観条件は公表資料に記載なし(寺に要問い合わせ)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「本願寺本堂」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2063
京丹後市「本願寺本堂 檜皮葺屋根全面葺替 修理現場公開」
https://www.city.kyotango.lg.jp/material/files/group/1/060206_bkz.pdf
京丹後市教育委員会 報道資料「本願寺本堂 屋根修理事業 地元小中学生の現地見学について」
https://www.city.kyotango.lg.jp/material/files/group/3/20240903_n127.pdf
京丹後市「関連文化財群リスト」
https://www.city.kyotango.lg.jp/material/files/group/43/10sankousiryou2_kanrenbunkazaigunrisuto.pdf
京丹後市観光公社「本願寺」
https://www.kyotango.gr.jp/sightseeing/704/
京都府観光連盟「久美浜朝市」(近くの観光スポット)
https://www.kyoto-kankou.or.jp/info_search/8450

最終更新日: 2026.10.04