中庭の中心で水を受ける貯水槽
石川酒造自噴井戸は、三重県四日市市桜町にある大正5年(1916年)築造の自噴井戸の貯水施設で、平成25年(2013年)3月29日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は24-0144で、昭和29年(1954年)に増設を受けている。
敷地の中央、中庭に位置する。煉瓦造の貯水槽を基とし、その北側にコンクリート造の貯水槽2基とポンプを増設したもので、面積は7.5平方メートルである。15件のうち建物ではない工作物は3件あり、そのうち水そのものに関わるのがこの自噴井戸と井戸屋形である。
「自噴」とは、ポンプで汲み上げなくても、地下の水圧で水が自然に地表へ湧き出すことをいう。石川酒造の酒銘「噴井(ふきい)」はこの自噴水にちなむと蔵元は説明している。蔵の名と酒の名の両方の源にあたる場所である。
登録の理由と価値
石川酒造自噴井戸は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、伏流水が潤沢に湧くことを示す、造り酒屋にふさわしい工作物と評している。
形の組み立ては独特である。筒状に高く立ち上がる貯水槽が中心にあり、その周りを低い貯水槽が逆コの字形に取り囲む。湧き出た水をまず高い槽で受け、低い槽へと落としていく構成と考えられる。大正5年の煉瓦の槽が核で、昭和29年にコンクリートの槽とポンプが加わった。煉瓦とコンクリートという二つの時代の材料が、一つの工作物の中で並んでいる。
大正5年は大蔵が建てられた年でもある。仕込み蔵と水の設備が同じ年に整えられたことは、この時期に石川酒造が酒造りの基盤を大きく更新したことをうかがわせる。蔵元によれば、敷地には深さ200メートルの自噴する掘り抜き井戸があるが、それがこの工作物の下の井戸と同じかどうかは、公開された資料からは確かめられない。
見どころ
石川酒造自噴井戸で見たいのは、中央の筒状の高い槽と、それを囲む低い槽の高低差である。水が高いところから低いところへ移る仕組みが、形そのものに表れている。
材料の継ぎ目も見どころになる。赤い煉瓦の槽と、灰色のコンクリートの槽が並び、大正と昭和の工事の境目が色の違いで分かる。
この工作物は中庭のまさに中心にあり、主屋、大蔵、貯蔵庫及び事務所、井戸屋形といった棟が周りを囲む。敷地全体が水の湧く場所を中心に組み立てられていることを、この位置が示している。
見学方法
石川酒造自噴井戸は中庭の中央にあり、外からは見えない。公開もされていない。
敷地への行き方と問い合わせ先は、石川酒造のページにまとめてある。
Q&A
- 石川酒造自噴井戸とは何ですか?
- 地下の水圧で自然に湧き出す水を受ける貯水施設です。煉瓦造とコンクリート造の貯水槽とポンプからなります。
- 石川酒造自噴井戸はいつ造られましたか?
- 大正5年(1916年)の築造で、昭和29年(1954年)にコンクリートの貯水槽2基とポンプが増設されました。
- 石川酒造自噴井戸はどのような形をしていますか?
- 筒状の高い貯水槽を中心に、低い貯水槽が逆コの字形にその周りを囲んでいます。
- 石川酒造自噴井戸と酒の名前には関係がありますか?
- 蔵元は、酒銘「噴井(ふきい)」がこの自噴水にちなむと説明しています。
- 石川酒造自噴井戸は見学できますか?
- 公開されていません。中庭の中央にあるため、外からも見えません。
基本情報
| 名称 | 石川酒造自噴井戸 |
|---|---|
| 所在地 | 三重県四日市市桜町字南垣内128他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成25年(2013年)3月29日登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 煉瓦造及びコンクリート造、面積7.5平方メートル |
| 所有者 | 石川酒造株式会社 |
| 公開状況 | 非公開(中庭の中央にあり、外からは見えない) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):石川酒造自噴井戸
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009492
- 四日市市:石川酒造主屋・大蔵・自噴井戸など全15件
- https://www.city.yokkaichi.lg.jp/www/contents/1001000002649/index.html
- 石川酒造株式会社 公式サイト
- https://e-sakagura.co.jp/
最終更新日: 2026.09.25