敷地の中央で酒と帳場を預かる

石川酒造貯蔵庫及び事務所は、三重県四日市市桜町にある明治後期(1898年から1912年)建築の酒造建物で、平成25年(2013年)3月29日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は24-0142で、昭和23年(1948年)に改修されている。

敷地のほぼ中央に建つ2階建てで、屋根は切妻造の桟瓦葺、建築面積は155平方メートルである。文化庁データベースの構造欄は「土蔵造2階建」、解説文は「土蔵造一部木造二階建」と記しており、主体は土蔵造で、一部を木造としたものと読める。

名称のとおり、一棟の中に酒を寝かせる貯蔵庫と、帳簿や取引を扱う事務所を併せ持つ。製品を守る蔵と、商いの帳場とが同じ屋根の下にある、造り酒屋らしい複合の建物である。

登録の理由と価値

石川酒造貯蔵庫及び事務所は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、特徴的な外観をもつ建物としてこの棟を取り上げている。

東側に下屋を設け、出入口を2か所開ける。外壁は白漆喰塗で、腰は縦に板を並べる竪板張とする。ここまでは土蔵としてごく標準的な仕立てだが、事務所の前だけは違う。縦長の窓をはめ込み、その周りを漆喰で意匠的に縁取っている。

貯蔵庫に窓は少ないほうがよい。温度を一定に保ち、光を避けるためである。一方で事務所には、人が座って仕事をするための光が要る。一棟の中で用途の違いが、窓の有無と縁取りの装飾という形で外壁に表れている。昭和23年の改修で手が入った部分がどこかは記録に示されていないが、機能に応じて壁の表情を変える考え方ははっきり読み取れる。

見どころ

石川酒造貯蔵庫及び事務所でまず見たいのは、事務所の前に並ぶ竪窓とその漆喰の縁取りである。白い壁から一段盛り上げた枠が窓を囲み、土蔵の壁に洋風とも和風ともつかない端正な表情を与えている。

その横の貯蔵庫部分は、窓の少ない白壁と竪板張の腰だけで構成される。同じ一棟の壁でも、事務所側と貯蔵庫側で性格がまったく違う。

東側の2か所の出入口は、貯蔵庫と事務所それぞれの入口と考えられる。中央の建物として、周囲の釜場や大蔵、主屋との行き来を受け止める位置にある。

見学方法

石川酒造貯蔵庫及び事務所は敷地のほぼ中央にあり、外からはほとんど見えない。内部も公開されていない。

敷地への行き方と問い合わせ先は、石川酒造のページにまとめてある。

Q&A

Q石川酒造貯蔵庫及び事務所はどのような建物ですか?
A酒を貯蔵する蔵と、帳簿や取引を扱う事務所を一棟にまとめた建物です。敷地のほぼ中央に建っています。
Q石川酒造貯蔵庫及び事務所はいつ建てられましたか?
A明治後期、1898年から1912年の間の建築とされ、昭和23年(1948年)に改修されています。
Q石川酒造貯蔵庫及び事務所の外観の特徴は何ですか?
A白漆喰の壁に竪板張の腰を持ち、事務所の前だけに竪窓をはめ込み、周りを漆喰で縁取っています。
Q石川酒造貯蔵庫及び事務所の大きさはどのくらいですか?
A2階建てで、建築面積は155平方メートルです。
Q石川酒造貯蔵庫及び事務所は見学できますか?
A内部は公開されていません。敷地の中央にあるため、外からもほとんど見えません。

基本情報

名称石川酒造貯蔵庫及び事務所
所在地三重県四日市市桜町字南垣内128他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成25年(2013年)3月29日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積155平方メートル
所有者石川酒造株式会社
公開状況非公開(敷地のほぼ中央にあり、外からはほとんど見えない)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):石川酒造貯蔵庫及び事務所
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009490
四日市市:石川酒造主屋・大蔵・自噴井戸など全15件
https://www.city.yokkaichi.lg.jp/www/contents/1001000002649/index.html

最終更新日: 2026.09.25