酒を搾った西端の棟
石川酒造槽場は、三重県四日市市桜町にある明治後期(1898年から1912年)建築の酒造建物で、平成25年(2013年)3月29日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は24-0140。「槽場」は「ふなば」と読む。
敷地の西の端に建つ2階建てで、屋根は切妻造の桟瓦葺、建築面積は141平方メートルである。東側に下屋が付くが、その部分は隣の釜場に覆われている。構造について、文化庁データベースの構造欄は「土蔵造2階建」、解説文は「木造二階建」と記しており、表記が一致しない。
槽(ふね)とは、発酵を終えたもろみを袋に詰めて並べ、上から圧をかけて酒と酒粕に分ける箱状の器具を指す。槽場はその搾りの工程を行う場所で、酒造りの最後に近い工程を受け持った。
登録の理由と価値
石川酒造槽場は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。外壁は下見板張で覆われ、文化庁の解説は、重厚な酒造施設の一群を構成する建物と評している。
この棟の最大の特色は、建物の北西の隅を床より低く掘り込み、そこをモザイクタイル貼りの槽場としていることである。搾った酒が流れ落ちる場所を掘り下げれば、重力で酒を集められる。床と壁に細かなタイルを貼ったのは、酒が染み込まず、洗い流して清潔に保てるようにするためと考えられる。
明治後期の酒蔵で、搾りの場がこのように造り込まれた形で残る例は多くない。工程に合わせて床の高さそのものを変えた設計は、建物が酒造りの道具の一部として造られていたことを示している。
見どころ
石川酒造槽場の見どころは、北西の隅の掘り込みと、そこに貼られたタイルである。建物の外観からは分からない、内部の床の構成にこそこの棟の価値がある。
外観では、全面を覆う下見板の壁が、南隣の壜詰場へと続いていく。敷地の西端に2階建ての作業棟が並ぶことで、酒造りの後半の工程が一つのまとまりとして見えてくる。
東側の下屋が釜場に覆われているという点も、この建物の来歴を考えるうえで興味深い。釜場が後から寄り添うように建てられたのか、両者が一体で計画されたのかは、記録からは分からない。
見学方法
石川酒造槽場は敷地の西端にあり、内部は公開されていない。見どころである掘り込みの槽場は建物の内部にあるため、通常の訪問で見ることはできない。
敷地への行き方と問い合わせ先は、石川酒造のページにまとめてある。
Q&A
- 石川酒造槽場は何をする建物ですか?
- 発酵を終えたもろみを槽(ふね)で搾り、酒と酒粕に分ける工程を行う建物です。
- 石川酒造槽場の「槽場」はどう読みますか?
- 「ふなば」と読みます。槽(ふね)は、もろみを搾るための箱状の器具のことです。
- 石川酒造槽場の特徴は何ですか?
- 建物の北西の隅を掘り込み、モザイクタイル貼りの槽場としている点です。
- 石川酒造槽場はいつ建てられましたか?
- 明治後期、1898年から1912年の間の建築とされています。
- 石川酒造槽場は見学できますか?
- 内部は公開されていません。特徴である掘り込みの槽場は建物の内部にあるため、通常は見ることができません。
基本情報
| 名称 | 石川酒造槽場 |
|---|---|
| 所在地 | 三重県四日市市桜町字南垣内128他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成25年(2013年)3月29日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土蔵造2階建、瓦葺、建築面積141平方メートル |
| 所有者 | 石川酒造株式会社 |
| 公開状況 | 非公開(敷地の西端にあり内部も公開されていない) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):石川酒造槽場
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009488
- 四日市市:石川酒造主屋・大蔵・自噴井戸など全15件
- https://www.city.yokkaichi.lg.jp/www/contents/1001000002649/index.html
最終更新日: 2026.09.25