敷地の北を占める仕込み蔵

石川酒造大蔵は、三重県四日市市桜町にある大正5年(1916年)建築の酒造蔵で、平成25年(2013年)3月29日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は24-0138で、昭和21年(1946年)に改修を受けている。

敷地の北の端に建つ。土蔵造の2階建てで、屋根は切妻造の桟瓦葺、平面は桁行32.8メートル、梁間14.6メートル、建築面積は566平方メートルに及ぶ。高さは10メートルを超え、15件のなかで群を抜いて大きい。

蔵元は公式サイトで、大蔵を2階建ての木造の建物として紹介し、その落ち着いた空間で酒を醸していると説明している。文化庁データベースの「土蔵造」は、木の骨組みに厚い土壁を塗り重ねる造りを指すので、両者の記述は矛盾しない。石川酒造大蔵は、登録から十年以上を経たいまも仕込みの場として使われている。

登録の理由と価値

石川酒造大蔵は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、黒い下見板張を軒下まで張り上げた外観が地域のランドマークになっていると述べる。四日市市の案内も、15件の中でまずこの大蔵を取り上げている。

酒の仕込みには、温度が安定し、大量の桶やタンクを据えられる広い空間が要る。梁間14.6メートルという奥行きと、10メートルを超える高さは、その要求に応えるための寸法である。大正5年は、同じ年に中庭の自噴井戸が造られた年でもあり、仕込み水と仕込み蔵がそろって整えられた時期だったことがうかがえる。

外壁を板で覆うのは、土壁を雨から守るためである。多くの土蔵は腰だけを板張りにするが、石川酒造大蔵は軒の下まで全面を黒い板で包む。この処理が、敷地の他の棟にも通じる黒い色調を、最も大きな面積で示している。

見どころ

石川酒造大蔵の見どころは、なによりその量感である。桁行32.8メートルの黒い壁面が敷地の北辺いっぱいに延び、切妻の屋根が大きな三角形を描く。周囲の平屋や2階建ての棟と比べると、同じ2階建てでも階高がまったく違うことが分かる。

黒い下見板は、板を少しずつ重ねて横に張っていく仕上げで、重なりの一枚ごとに細い影の線ができる。遠目には一面の黒に見えても、近づくと水平の線が軒下まで規則正しく積み重なっているのが分かる。

南側には釜場が接して建つ。蒸した米を仕込みへ送る動線上、この2棟が直接つながっていることは、配置からも読み取れる。

見学方法

石川酒造大蔵は稼働中の醸造蔵であり、内部は公開されていない。ただし建物が大きいため、敷地の外からも屋根と黒い壁面の上部を眺めることができる。敷地の周囲を歩きながら、低い平屋の向こうに大蔵の壁が立ち上がる様子を確かめたい。

敷地への行き方と問い合わせ先は、石川酒造のページにまとめてある。

Q&A

Q石川酒造大蔵はいつ建てられましたか?
A大正5年(1916年)の建築で、昭和21年(1946年)に改修されています。
Q石川酒造大蔵の大きさはどのくらいですか?
A桁行32.8メートル、梁間14.6メートル、建築面積566平方メートルで、高さは10メートルを超えます。
Q石川酒造大蔵は今も使われていますか?
Aはい。蔵元は公式サイトで、大蔵の中で酒を醸造していると説明しています。
Q石川酒造大蔵の内部は見学できますか?
A稼働中の醸造蔵のため内部は公開されていません。建物が大きいので、敷地の外からも屋根と壁面を見ることができます。
Q石川酒造大蔵の外観の特徴は何ですか?
A黒い下見板を軒下まで全面に張り上げた外観で、文化庁の解説は地域のランドマークになっていると評しています。

基本情報

名称石川酒造大蔵
所在地三重県四日市市桜町字南垣内128他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成25年(2013年)3月29日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積566平方メートル(桁行32.8メートル、梁間14.6メートル)
所有者石川酒造株式会社
公開状況外観のみ(敷地北端の大きな棟で、敷地外からも屋根と壁面が見える。稼働中の醸造蔵のため内部非公開)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):石川酒造大蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009486
四日市市:石川酒造主屋・大蔵・自噴井戸など全15件
https://www.city.yokkaichi.lg.jp/www/contents/1001000002649/index.html
石川酒造株式会社 公式サイト
https://e-sakagura.co.jp/

最終更新日: 2026.09.25