當麻寺東塔は奈良時代後期の三重塔

當麻寺東塔は、奈良県葛城市當麻の當麻寺にある奈良時代後期の三重塔で、昭和27年(1952年)に国宝に指定された。読みは「たいまでらとうとう」。寺によると、當麻寺にいま残る建物のなかでもっとも古い。

當麻寺東塔は金堂の南東の丘に建ち、南西の西塔と一対をなす。文化庁は、古代に建てられた東西両塔がともに残る唯一の例として、この伽藍を位置づけている。建立の年代も沿革も記録にはなく、文化庁は様式と手法から奈良時代後期のものとみている。

上へいくほど柱間が減る:初重は3間、二重・三重は2間

當麻寺東塔でいちばん目を引くのは、層ごとの柱間の数である。文化庁の解説によると、初重は方3間だが、二重と三重は方2間しかない。3間の面では中央に扉が来るが、2間の面では真ん中に柱が立つ。見上げると、二重から上は各面の中央に柱の線が通っているのがわかる。

開口の扱いも層で違う。初重は各面とも中央の間に板扉を開き、両脇の間は盲連子窓とする。二重・三重はすべて連子窓で、扉の構えがない。西塔が各重とも3間で中の間に板扉を開くのと比べると、同じ寺の同じ三重塔でも組み立て方がかなり異なる。

組物は三手先で、柱間に中備を置かない。軒は深く出ていて、下から見ると三段に迫り出す組物が軒を支えるさまがよく見える。

8輪の相輪と魚の骨のような水煙

當麻寺東塔の相輪は、宝輪が8つである。文化庁も解説のなかでこの点を挙げている。塔の相輪はふつう9輪で、當麻寺護念院は、9つの輪は五大如来と四菩薩を表すといわれると説明する。當麻寺の両塔がなぜ8輪なのかは、はっきりしていない。

相輪の上部の水煙も見逃せない。護念院によると、當麻寺東塔の水煙は魚の骨のような意匠で、これも大きな特徴である。西塔の水煙は唐草文様なので、2基を見比べると頂部の飾りの違いがわかる。水煙は高いところにあるので、双眼鏡があると細部まで確かめられる。

南面の伽藍と東の門

文化庁の解説は、當麻寺が丘陵に建てられた寺でありながら、奈良時代の平地の伽藍配置にならって堂塔を無理に南へ向けたと記す。そのため、正門は南ではなく東大門になるなど、変則的なところがある。

東塔と西塔が金堂より高い南の斜面に建つのも、この地形の結果である。當麻寺の中之坊は、中世に曼荼羅信仰の寺として再興されるなかで寺の向きが南面から東面に変わったと説明している。南を向いて建つ當麻寺東塔は、その向きが変わる前の伽藍の姿を伝える建物である。

當麻寺東塔が国宝に指定された理由

當麻寺東塔は明治30年(1897年)に古社寺保存法で保護の対象となり、文化財保護法のもとで昭和27年(1952年)に国宝に指定された。文化庁は、奈良時代の三重塔の遺例として貴重だと評価している。

奈良時代にさかのぼる三重塔はごく少なく、そのうえ同じ寺に平安時代前期の西塔が対で残る。二重・三重を2間とする珍しい形式、8輪の相輪、魚骨状の水煙と、この塔でしか見られない特徴もそろっている。

當麻寺東塔の見学

當麻寺東塔の内部は、寺の拝観案内に公開の記載がない。見学は外観が中心で、境内の開門時間である午前9時から午後5時の間なら、料金はかからない。

二重・三重の中央の柱を確かめるなら、塔の正面から少し離れて見上げるのがよい。本堂の前あたりからは、南の丘に東塔と西塔が並ぶ姿が収まる。當麻寺護念院の庭「双頭園」は東西両塔を一望できる場所にあることが名の由来で、護念院に入れば庭越しに2基を眺められる(護念院の拝観は別料金)。

堂内の撮影可否などの条件は、受付のある本堂で確かめたい。境内への行き方と拝観料は當麻寺のページにまとめてある。

Q&A

Q當麻寺東塔はいつ建てられましたか?
A建立年代を記した記録はなく、文化庁は様式と手法から奈良時代後期のものとしています。寺は當麻寺に残る最古の建物と案内しています。
Q當麻寺東塔の中に入れますか?
A寺の拝観案内に内部公開の記載はなく、外観の見学が中心です。境内は午前9時から午後5時まで無料で散策できます。
Q當麻寺東塔の二重・三重が2間なのはなぜ珍しいのですか?
A初重は方3間ですが、二重と三重は方2間で、各面の中央に柱が立ちます。文化庁の解説もこの構成を記しており、西塔は各重とも3間です。
Q當麻寺東塔と西塔の違いは何ですか?
A東塔は奈良時代後期、西塔は平安時代前期とみられます。東塔は二重・三重が2間で水煙が魚骨状、西塔は各重3間で水煙は唐草文様です。相輪が8輪なのは共通です。
Q當麻寺東塔と西塔を一緒に眺められる場所は?
A本堂の前あたりから南の丘に並ぶ姿が見えます。塔頭の護念院の庭「双頭園」も、両塔を一望できることが名の由来です(護念院は別料金)。

基本情報

名称當麻寺東塔
所在地奈良県葛城市當麻
指定区分国宝
指定年昭和27年(1952年)国宝指定(明治30年(1897年)古社寺保存法により指定)
員数1基
寸法3重の塔婆、本瓦葺。初重は方3間、2重・3重は方2間
所有者當麻寺
公開状況外観は境内から見学可(午前9時〜午後5時、無料)。内部の公開案内なし

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):當麻寺東塔
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2779
文化遺産オンライン(文化庁):當麻寺東塔
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/186926
国指定文化財等データベース(文化庁):當麻寺西塔
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2780
當麻寺護念院:護念院 双頭園、八幡山より望む 當麻寺東塔
https://taimadera-gonenin.or.jp/cate-gonenin/post-1561/
當麻寺中之坊:拝観案内 境内の散策
https://taimadera.org/guide/3/index.html
當麻寺中之坊:ご由緒
https://www.taimadera.org/history/index.html
葛城市:當麻寺
https://www.city.katsuragi.nara.jp/soshiki/shokokankoka/kankou/spot/6/3/2161.html

最終更新日: 2026.09.30